第25話 ツンデレヒロインVS光堕ち系以下略
【
だが…極めて強力な技ゆえに避けられないデメリットも存在する。
これだともって3分、いや2分かしら。
自分の体から何か力が抜けていくような感覚に不快感を覚えながらも、冷静に評価する。
本来であれば、3秒ともたない究極の御業であるが、500年という歴史の中で改良を重ねられ、ついぞ3分という時間まできた。
性能や
正に宝蔵寺家の虎の子。
さて…ここからどうしようかしら。此方に絶対的な防御があるとはいえ、攻撃が通じなき千日手だし――――
どんどんと迫ってくる制限時間。
少しばかりの焦りと共に、次の攻撃の準備を始めようとするが、いつの間にか間合いの中に入っている碧唯に驚愕する。
「え…?」
―何が起こって
疑問を呈する時間もなく、ドゴォォォンという爆音とともに気を取り戻し、気づいた。
碧唯が一撃を加えたということに。
「凄いね…これ。結構力を込めて突いたつもりだったけどびくともしないよ」
今、私…攻撃されたっ……!?
恐る恐る視線を下げてみれば、どうやら納刀された状態で突かれたらしいことが分かった。
初手で
「でも、ある程度は理解したかな…次は当てる」
「ハッタリかしら…?そう安々と当てれる訳ないわ!」
「それはどうかなッ―――」
碧唯の攻撃を認識し、冷や汗を流していると、またしても碧唯の姿が消える。
驚く暇もなく殺気、悪寒。
感覚のすべてが、体のすべてが死を感じ取る。
鳴り響く
「……い…痛い…イタイ?」
自分の頬に温かいナニカが伝る感覚を感じ取る。
「やっぱり。今度は通ったね」
嬉しそうに碧唯は微笑む。
痛みを…感じている。ということは…
考えたくはない。考えたくはないが…
どうしても1つの恐ろしい結論に至ってしまう
「
「まさか、君のその骨董品はちゃんと動いているさ、現にボクの斬撃を少しばかりずらしたしね」
「……」
絶句した。言葉が出てこなかった。
人間、理解出来ない程圧倒的な差を突きつけられるとこうなるのね…
数度の攻防で突きつけられた実力の差。
「ほら、無様に這いつくばってないで立ったらどうだい?ボクは次の一撃で君を屠れるよ?」
「…ふふっ。うふふふ!あははは!!」
もう、ここまで来るといっそ清々しい。
圧倒的に理不尽で、絶望的な程の実力の壁。
「あぁ、ごめんなさい、別に頭がいかれたわけじゃないの…こんなに苦戦しそうなのは初めてだから」
今まで挑まれる立場にあった自分が挑む立場に、見下ろす立場から見上げる立場に。
「苦戦とは随分と大きく出たね。ご自慢の虎の子が効かなくてあれ程呆然としていたのに」
「そうね…でもこれからは違うわ。本気で勝ちを取りにいく…そのニヤケ
「まあ、せいぜい頑張りたまえ。間抜けヅラした
「逝きなさい!【
碧唯めがけた超近距離からのレーザービーム。炎を集約し熱の散乱がほぼゼロの高威力の光が疾走する
たとえ防御魔法にいくら精通していようとダメージはやむを得ない。それどころか、触れた瞬間焼け消えるほどの死の光。
まあ、それを受けるのが常人であればの話だが。
キュイ〜〜〜ン
碧唯の顔めがけて飛んでいった
並大抵の人であれば顔面に穴が開くほどの攻撃を受けてなお、碧唯は無傷。
勝利への道はまだ遠い。
§
「…【
共通術式によって生み出されたピンポン玉ほどの火球は、後追いで唱えられた式により、合わせ鏡のように何十にも威力が増幅され放たれた。
炎の弾丸となって碧唯へと肉薄する。苛烈な熱の奔流が容赦なく碧唯に襲いかかる。
「―――【
対する碧唯は納刀していた太刀に
空気は瞬間的に1万℃程度に熱せられて爆発的に膨張し,
――おかしい、最初と打って変わって今度は全く攻撃をしてこなくなった…
「す、すげえ名家同士がやり合ってるぜ!」
「あの
「あの新入生中々やるじゃない」
「あのお姫様、手加減してるんじゃないか?」
「あんなに戦闘が続いたのっていつ以来?」
近接戦闘は自分の得意ではない。どちらかというと、中距離からのコスパの良い術式で相手に甚大なダメージを与えるのが基本的な戦術であるから、この流れは自分の理想とも言える。
だが、感じるのは不可解。奥歯に何かが挟まっている位のほんの少しのだけどそこに存在を主張しているほどのナニカ。
現にこちらが押しているとはいえ、水野碧唯は無傷だし…
あ~~!!!もう気になる!!
…気になるけどこっちが優位に立っているのは事実。このまま高火力で押し切ってやればこっちの勝利は揺るがない!!!
最悪
大丈夫問題ない!!!
「【
壮絶極まる不可視の斬撃の嵐。
「【
が、しかし…天からの雨のような稲妻の槌がその斬撃の全てを撃ち落としていく。
お互いがお互いの術式を消し飛ばしていく。その隙に詰めてきた碧唯の
碧唯と宝蔵寺の攻撃が衝突する事に空間が軋み、耳を覆いたくなるほどの悲鳴を上げる。
地面はとうにボコボコに凹み、桜の花は舞い散る。
触れれば一周にして蒸発させることのできる雨、爆撃、迅列な熱風は幾度となく碧唯によってかき消されていく。
碧唯の掠れば一瞬にして意識を刈り取られるであろう鋭い刃の猛攻をしのぎ切る。
本来であれば、拮抗するはずもなく一瞬にして押し勝てるこの勝負は
こちらの攻撃が碧唯との間に大きな壁があるように、磁石が反発するように逸れていく。
――まずい…そろそろ
こっちは限界だというのに、何であいつは余裕そうなのよ!
水のように柔軟でしなやかな体術に的確な術式運用。自分の攻撃を見透かされ、まるで操り人形の様に踊らされているのではないかと錯覚してしまうほどの完璧な読み
以上を
「戦闘センス」っと
技や駆け引きだけじゃないそこにはあるもう一個の大事な
彼女にはあって自分にはない
私の前に立ちふさがって押しつぶしてくる。
「さて、そろそろ時間かな…」
「何よ。私はまだ…まだ戦えるわよ」
「あはっ!違う!違う!!こっちの準備が整ったのさ。君の術式。
「……何?そんなのに騙され――っ!!!??」
「――【
碧唯が
今までの施行してきた術式よりも遥かに綺麗で、比にならないほどの出力。
今にも爆発しそうなほどの
な、なんていう
宝蔵寺の爆炎、術式で底上げされた紅の矢でさえも、竜巻に飲み込まれていく有象無象の様に碧唯の膨大な魔素にかき消されていく消えていく。
回避なんてものはしない。絶対にその攻撃は通らないから。
相手に近寄りもしない。何処に逃げても次の一撃で屠ることができるから。
逃げはしない、強者は自分だから。
「【鳴り響く断罪の声に応えん】―――」
碧唯はおもむろに太刀を振り上げ、振り下ろす構えを取る。
それは偶然にも先日碧唯たちも前で披露された
「―――――【
そのどこまでも美しい紫電の太刀が振り下ろされた。
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