第20話 自己紹介?
「諸注意などの諸々の連絡は後でやる。だからそうだな…最初は
先生のあまのじゃくの性格が出たな。普通に最初からやればいいのに。
窓側の後ろの席に座っていた生徒から、自己紹介が進んでいくことになった。
「初めまして…名前は
緊張した面持ちで話し始めた若林さん。いきなり先生に雑に振られた生徒は運悪く編入組であったらしい。自己紹介が終わった後も教室はシーンとしたままだった。
これには先生もにっこり、な訳はなく、ヤベッとした表情を浮かべている。
いや、何で先生がその表情をしてるんだよ…
どんまい、眼鏡っ子。自己紹介なんて、ただの一番最初のきっかけに過ぎないし大丈夫よ!時間が経てば、自ずと自分にあった居場所が見つかるさ。
心の中で、アーメンと祈りを捧げているとさすがに自分が惨いことをしたと自覚したのであろう。流石にフォローを出した。
「あ~部活はなにをやってたんだ?」
「え!?え~と…天体観測…ですかね?」
会話下手かよ…消化試合のやる気の無いお見合いかよ…
再び訪れる無言の時間。かわいそうにこれではただの生殺しだ。さっさと介錯してあげろよ(他人事)
「次」
「はぃ…」
無情にも告げられる死刑宣告。
消え入りそうな声で座り込む眼鏡っ子
「じゃあ、次はボクかな?初めましての人は初めまして、ボクの名前は
完璧に自己紹介をこなす、我らが黒幕系。
久しぶりに会った幼馴染?がコミュ強になっていた件について~今更陰キャの幼馴染なんてもう遅い、私は新天地で陽キャやっています~
違うだろ!!!!!どうして後半部分、なろうのクッソ長い題名みたいになってるんだ??
え??!?!何、なんか俺の幼馴染様いえ、幼馴染というのにはおこがましいですね。ハイ
なんか陽キャになってる…(感動)
これからの自己紹介の完璧な典型例を作った碧唯に感激していた。あの陰キャでメンヘラな小学校時代からちゃんと成長していたらしい。
こいつはモテます(断言)
だって可愛いし、可愛いし!(大切)
忘れてたけど、可愛くて社交的な奴は何処の世界でもモテるんだったわ。あとイケメンでコミュ力ある奴。
ほら見てみろ、クラスの男子が釘付けだ。
「つぎ~」
先生がやる気のない進行し始めた。
分かったぞ、先生。自己紹介の最初は碧唯にさせたかったんだな。それが、名簿順がかわり、若林さんが犠牲になったと…
本当に救われないな…
「はい」
立ち上がったのはイケメンだった。なんというか爽やかなイケメンだった。彼を一言で言い表すと言ったら、好青年だろうか。
「まずは編入組の皆、入学おめでとう。
はい、質問があります!!!!
どうすればそんな好青年になれますか?
何を食べればいいですか?
人生のリセマラ何回目ですか?
うん。きっとコイツこのクラスのまとめ役になるだろう。
俺は生粋の暗黒面の住人なので、クラスを引っ張るなんていう狂気じみたことはできない。クラスを引っ張るというか引きずり回してボロボロにするのが関の山だろう。
つうか何なにこの陽キャ2連続。次の人が可哀そうだろうが。あれだ、ウノでドロ4を2連続で出された気分だろうな。
次に自己紹介する人物を憐れみながら、やる気のない拍手を
「あれ?じゃあ次は私かな?」
次も、まさかの美少女。
どうやら違ったようだ。ドロ4、2連続じゃなくて3連続だった。
「
ボーイッシュに自己紹介する彼女はどうやら編入組のようだった。彼女は編入組の陽キャの最高峰であろう。
そして、きっと男子から絶大な人気を獲得するだろう。
女子からは、どうだろう。男子人気と女子人気はトレードオフの関係にあると勝手に思っているのだか…
それから、
みんなの視線が僕に集まる。少し居心地が悪くなる。人生で何度も自己紹介をするとある程度理解をしてしまう。こんな自己紹介はそれほど重要ではないと。
ここで素晴らしい自己紹介をしたところで、別に彼女が出来るわけでもないし、皆を笑いに誘う自己紹介をしてもこれからの学生生活の一時しのぎにしかならない。
別に面白くないやつは面白くない。
だからこそ、自己紹介は無難に済ませよう。身の程をわきまえた紹介をしようじゃないか。
「どうも、編入組の
「チッ」
教卓から舌打ちが飛んできた。それを除けば疎らな拍手が起きる。
無難イズ無難。これから、話しかけるための話題も提供することで話すときの話題作りにも困らない。
これが年の差というものだ。キリッ
いい自己紹介だったと、一人ほくそえみながら着席すると、俺と入れ替わるように、前の席の人が立ち上がリーヨ。
「…あ~
ちらっと横顔を見てみればワイルド系のイケメンであった。彼はかったるそうに頭を掻きながら座る。
フツメンがこれをやれば、ただのイタイ人だが、不器用なイケメンであればどうだろうか…
こういう奴がたまに見せる優しさにときめくんだよな~女子って。
けっ。
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