第4話 枝豆の詩

湯上がりのビールは格別でしょう、と冷蔵庫に入ったままのあなたが囁く

トパアズ色に光ったビールジョッキを握り一気にゴクリとやる


その時 僕はふとあなたのいないことに気付く

嫌なんです、あなたがいないのは

嫌なんです、あなたのいないこの食卓は


冷蔵庫から緑色の束を取り出して、ゴシゴシとシンクで洗う

ガスレンジに鍋をかけ 湯を沸かす

塩をひとつまみ、ふたつまみ、最後のみつまみ目を入れると沸騰し始める

洗ったあなたを勢いよく鍋に入れよう


アクが出て艶が出てきたら、ざるで湯切りをしよう

一握いちあくの塩をその上にまぶし 振り子のように笊に入ったあなたを揺らす

無邪気にゆであがった緑色の美味

あどけない豆の話である


それであなたが美味しくなったのなら 僕は幸せさ

何が出来たかわかるかな? 明智くん

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