第5話 回想
僕は、あの幼馴染にいつもちょっかいをかけていた。幼馴染のスカートはめくるし、からかったりもした。けど、彼女はいつもそばにいてくれた。いつしか僕は彼女に恋をしていた。僕はこの恋がすぐに枯れるものだとは思わなかった。
ある日、彼女が死んだという話を聞いた。小児がんを患っていたらしい。僕はその話を聞いた瞬間、急いで外に飛び出した。そして今まで走ったことのない速さで彼女の家に向かった。そこには、見慣れない黒い車があった。僕は、無性に彼女に謝りたくなった。気持ち悪くて仕方なかった。でも、彼女はもういない。僕は泣き崩れた。なんでもっと早く病気に気付けてやれなかったのか。なんで医者は助けてくれなかったのか。僕は医者を恨んだ。その瞬間、僕の初恋はあっけなくおわった。
僕は、気付いてやれなかった悔しさと、医者への恨みから猛勉強した。絶対に彼女を助ける。僕は助けるんだ。助けてやる。助けてやる。
『助けてみたい。』
僕は病院のベットからさっとでた。
「どこ行くの?もうしんじゃだめだよ?」
妹は心配してくれた。これは僕が望んだ未来ではない。そう思った。
「死なないよ。ただ、助けたいんだ。自分とみんなを。」
「?」
自分でも何を言ってるのかわからなかった。でも、後から理解した。僕が言った言葉を。
僕は、友達のLINEを全部ブロックした。電話番号も電話帳から全部消した。僕には、友達なんていらなかった。友達は、僕なんていらなかったんだ。僕は自分が嫌いになった。すぐに違う動きをして、自分を困らせる。僕はただただ、彼女と結婚したかっただけなのに。なのに、なんで。
「なんで、僕は死なないんだーーーー!!!!」
「ちょっと、何言ってるのお兄ちゃん!!」
確かにあれは事故だった。でも、一歩間違えてたら事故じゃなかったかもしれない。僕は僕に同情した。
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