第2話 訪問

僕は、言っちゃあ悪いが女の子が痴漢されてたから助けたのではない。なんだか見覚えがある子が痴漢されていたから助けたのだ。

 僕は、その子にどうしても会いたくなった。

「可愛かったな。会いたいけど、どうやって、、」

気づいたら、独り言をこぼしていた。そうしていると、

「お兄ちゃーん!!」

「おう」

「ねえねえ!宿題やってよー!!」

「こらこら。自分でやりなさい。」

妹が帰ってきた。学校から、直接塾に行ったらしい。彼女の名は、中村夢子。小学3年生のちょっと頭のねじが外れている子だ。とにかく、バカだ。僕との血の繋がりを考えさせないぐらい、バカだ。でも、ついつい面倒を見たくなってしまう可愛い妹だ。

 僕は、その子に会いたいと思い、制服の柄を僕の優秀な頭脳で思い出して、Google先生に聞いてみた。でも、結果は廃校になった学校。僕は、疑問に思った。

「なんで、廃校になってるのに、あの子は、、、?」

「ん?何?お兄ちゃん?」

「ナンデモナイヨ」

「あ〜、何かある顔だ〜」この小娘、バカなのに勘はいいのだ。

「うるせえな。」

そんな時だった。

「ピンポーン」

「はーい。」

「昨日頼んだぬいぐるみかなあ?」

「はは。そうかもな。」

僕は、念のためにドアアイを覗き込んだ。そこには誰も映っていなかった。

子供のいたずらかと思い、ドアを開けてみたらそこには、その子が立っていた。

「えぇぇえっ!!」

僕は、腰を抜かしてその場に倒れ込んだ。

「大丈夫?」妹が駆けつけてきて、声をかけてくれた。

「ああ、大丈夫だ。にしても、なんで、」

「ん?誰と話してるの?ここには、お兄ちゃんと私しかいないよ?」

僕は、耳を疑った。

「え、確かにいる。」

「いないよ。」

彼女は、聞かなかったかのようにその場を離れて、家の中へ入っていった。3枚目の座布団を置いた時、ふと何か懐かしい感じがした。 

「なんでここがわかったんですか?」

「いい天気ですね。」

「僕のこと、どう思ってます?」

何を言っても、無視された。一言も話さない。しかも、妹はこちらを不思議そうに見ている。

「誰に話してるの?」

「いや、独り言だ。」

無意識に、その子のことを隠していた。なぜだ。なぜなんだ。自分で考えて見てもわからない。僕は、勉強以外は全部できない。もちろん、恋愛なんてしたこともないし、知識もない。恋自体が初体験だった。

「ちょ、ちょっと待って!!」

その子は、突然帰って行った。

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