2 最低姫、決意する
カイルが部屋から出て行ったあと、
頭を抱えた。
カイルは私の態度が急に変わったのは、何か国の危機に関する重大なことが絡んでると思ってる。
間違いではない。
でもそれだけが理由でもない。
だって、これまでの私は政治なんて興味も関心もなければ、
なんなら、国の危機より自分の恋愛の方が大切だったから••••カイルは頭は格別良いしよく気がつくけれど、女心には少々疎いのよね••••
一度、頭を整理しよう。
昨日起きた出来事に想いを巡らす。
カイルが言ってたとおり、昨日、蒼の間にある青い石が突然その輝きを失った。
その場にいたのは、私、カイル、そして神官のハムル
来月に控えた私の第一王女としてのお披露目のための清めの儀式の最中だった。
「これは、、、」
最初その色が変わる様を目にした時、ハムルは言葉がないようだった。
石が青から白へとその色を変える時、私は突然思い出してしまったのだ!!
そして、気づいた時には私は気を失っていた。
薄れゆく意識の中、ハムルの
「凶兆••••こんなことは大昔、隣のカイラス国との戦のとき以来、ここ何百年も起きたことがなかったのに•••」
という言葉を聞いていた、、、
目覚めてまず最初に思ったことは
「ああ、どうして気づかなかったのだろう。青の石はいつも目にしていたのに!!」
私は青の石の、色が目の前で変化するのを見てはじめて、ここが前世、何度かプレイした「蒼き騎士と聖女」という乙女ゲームの世界だということに気づいたのだ!!
そして私自身が、そのゲームの中で、恋愛にかまける悪役令嬢であるばかりでなく、国の危機を招く「最低姫」で、最後には殺されてしまうということに!
そう、どのルートでも私は死ぬ。
冗談じゃない!!
以前のアーシャとしての意識は私の中に確かにあるけれど、
日本人としての前世を思い出した私は、もうこれまでのようにわがまま放題ではいられない。
何より国が滅ぶなど恐ろしくて黙って見ていられない。
自分が殺されるのももちろん嫌だ!
そして何よりも、、
とゲームの知識をこの世界に当てはめる。
石の色が変化した翌日に「それ」は起こった!!
私はどうしても、アーシャ姫、としてではなく、万が一にも正体がバレないよう、「男」として彼に会わなければ!!!
そして、怪しまれずにその後の動きへ繋げるためには、わが国の「騎士」の姿でいるのがきっと都合が良いはずだ!!
そう心に決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます