276.その言葉聞き飽きた

 麗華が指示を出しているので訓練生はいい感じで戦っている。


 今はおんぶに抱っこ状態だが、慣れていけば訓練生の中から指揮者を選定していく。候補者は三人、真尋、岳人、千夏だな。詩織が後衛なので任せたいが性格的に無理そう。真尋はメインアタッカーっぽいので、できれば岳人と千夏に任せるべきかな。


 蛇女ラミアは物理攻撃が主体で魔法は使ってこない。代わりに硬い鱗での高い防御力を持ち、いやらしい毒攻撃を使ってくる。


 アンクーシャを使いつつなんとか蛇女ラミアに止めを刺した。すぐに麗華の指示が飛び、投擲の訓練組と素振り組に分かれて動き出す。情け容赦ないように見えるが、それでいい。負荷をどんどんかけてやれ。


 悠斗組もそろそろ倒せそうだ。黒鬼くろおにがいるのがデカいな。一撃一撃が重いうえに鬼神化すると短い時間だが、おそらく六等呪位クラスにパワーアップする。葵の使役化生モンスター猿猴えんこうから進化したハヌマーンと同じで、攻撃特化の使役化生モンスターだ。


 ダメージや毒を受ける度にせっせと回復してやったおかげで、なんとか悠斗組も蛇女ラミアを倒すことに成功。アンクーシャを使わせ回復した後、投擲訓練に移らせる。


 瑞葵のほうはいい訓練になっているようだ。万能型の化生モンスターだけあって攻撃が多彩。気が抜けない攻撃が多いから必要に合わせ緊張感を持続させたり、気を抜く時間をどう作るかが鍵になる。


 こうして見ている間、俺は何もしていないわけではない。ちゃんと俺なりに訓練している。例えば手にTPを集めて維持したり、TPだけを外に放てないかなどいろいろ工夫して訓練をしている。


 前にも考えたがこういう訓練は厨二くらいがちょうどいい。思いついたことを手あたり次第やってみる。上手くスキルが発現すれば儲けものだ。


 どうやら、お替りはないみたいだな。残念。仕方がない、止めを刺しに行くか。


「止めを刺しに行くぞ。合わせろ」


「チッ、簡単に言いますわね!」


 身体強化、神仙剣舞!


 俺の連続攻撃がエンプーサを襲い俺の攻撃が切れた瞬間、瑞葵の真・三段突きがエンプーサに止めを刺す。


『レベルが34になりました』


 ーーーー

 ーーー

 ーー

 ー


「あの化生モンスター、吸血鬼というのにアンデッドではなかったですわ!」


 そういえば、エンプーサは吸血鬼だったな。


 瑞葵の覚えている小技 屍斬りはアンデッドにクリティカルを与える技らしい。それを使ったが効果がなかったようだ。


 そもそも、アンデッドの定義ってなんだ?


 単純に訳せば不死者だな。死んでない者、命を失ったまま存在し続ける者ってことだ。一般的には幽霊とかゾンビとかだな。じゃあ、なんで吸血鬼はアンデッドに分類されるんだ? 吸血鬼って死んでないよな? ようわからん。


 さて、撤収準備をしよう。


 今回はお替りがなかったので、ある程度体力が残っている。一佳と川中さん以外な。一佳はレベルが上がっているから少しはましになっているがまだまだだ。


 坂井さんはなんか不完全燃焼って顔をしている。


「不満って顔だな。なんで、戦いに参加した? 最初に戦いには参加させないと言っていたはずだが?」


「体が勝手に動きました……」


 バトルジャンキーかよ!?


化生モンスターに挑む気概は買うが、無謀は死を招くぞ。自殺願望があるならほかでやってくれ。こちらの指示を聞かず、勝手をするなら話はチャラだ」


「すみません……」


 まあ、怪我なく良く動けていたからよしとしよう。始めてであそこまで動ける奴はそうはいない。意外といい拾い物か?


 飯は何を食うかの多数決を取ったら、パスタになった。


 パスタかぁ。


 西新宿駅近くの店でこの時間でもテイクアウトできる店を見つけた。電話でメニューを聞き人数分プラスアルファを注文をしておく。


 俺はパスタよりハンバーガーの気分だったので、帰り道のドライブスルーに寄って注文。なぜか横からいろいろと注文が入る。特にサイドメニュー。


 どうせ、エルフォルク二軍我威呵三軍も食べるだろうと思いセットを十に単品バーガー二十個も注文。食べきれなくてもホルダーに入れておけばいい。


 注文しておいたパスタ屋にも寄り受け取り。凄い量だ。パスタだけでなく、グラタンやローストビーフ、サラダなども注文したからこうなるのは当然か。


 クレシェンテに着く手間のコンビニで降ろしてもらい、酒類を買ってからクレシェンテに戻った。


「買ってきましたねぇ……」


 その言葉、聞き飽きました。どうせ、みんなで食べるから問題ないでしょう? 今までそう言って、残したことありませんから。


 そうこうしていると、エルフォルク二軍我威呵三軍が帰ってきた。


「わーい! パスタだ~」


 葵はお子ちゃまか!?


「さすがアニキ、バーガー、ポテトにはコーラっすよね!」


 我威呵三軍の場合、なんでもコーラだけどな。俺も嫌いじゃないぞ?


 大会議室に移動して買ってきたものすべてを出す。壮観だ。かりんが興奮して走り回っている。


 人数も多いので立食形式にした。


「このジャンクさがたまらないんですよね~」


 目の下に隈を作った倉木さんが、ハンバーガーに齧りついている。今日も徹夜で作業か?




 高骸骨戦士ハイ・スケルトンウォリアー・☆ レベル27→29

 大天使アークエンジェル・☆ レベル18→20

 夜哭鳥やこくちょう・☆レベル13→16

 貉浪人むじなろうにん・☆ レベル12→15

 中位精霊ミドルスピリット・☆ レベル23→25

 黒鬼くろおに・☆ レベル20→22






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