273.人材不足
取りあえず、着替えてもらいうちのメンバーに紹介。ジャージ姿とスエット姿……。まあ、いいか。
「アニキばっかりずりぃ~」
「俺たちのチームにも華を寄こせ~」
「お嬢さんたち、ぜひうちのチームに!」
「久しぶり、川中さん」
「柊、てめぇ抜け駆けか!?」
中央テーブルでかりんとお菓子を食べていると月山さんに捕まった。
「いいの? 風速くん」
「今回は体験させるだけです。報酬も無しで納得しています」
「その後はうちに所属するのかしら?」
「今日の結果次第ですが、一人は脈あり、一人は悩んでいるといったところですね。できれば悠斗と組ませたいと思っています」
月山さんは渋い顔つきだ。悠斗はサポート役としてうちに来たからな。春塚さんの紹介とはいえ、サポート役がいなくなるのは困るからだろう。
悠斗チームができるとクレシェンテは四チームになり、サポート役が一人足りなくなる。訓練生が帰った後に新人が入ってきた場合、更にサポート役一人と車が一台足りなくなる
「ご当主を通して春塚さんに文句を言ったらいいんじゃないですか?」
「言えるわけないでしょう!」
「
「もっと無理でしょう!」
じゃあ、どうしようもない。
「呼ばれたような気がしましたが、何か御用ですか? 恢斗さん」
呼んではいないんだけどな。
「悠斗、早乙女さんがホルダーとして仕事をするようになった場合、サポート人員が不足するって話だ」
「その件は父に話しています。借りを返すつもりが、逆に借りを作り迷惑をかけてしまって申し訳ないと仰っていました。早乙女さんは春塚の遠縁に当るので信頼できると思って紹介したのですが、こういう話になるとは思っていませんでした」
「遠縁か。ということは、倉木さんもか?」
「はい。母方のはとこになります」
はとこか、似てねぇな。タラとイクラの関係か? ハーイ、バブ~? うん、似てねぇ。
「さて、どうしますかねぇ。自衛隊のチームリーダークラスを引き抜けないですかねぇ?」
「前にも言ったでしょう。そんなことをしたらホルダー管理対策室が黙っていないわよ」
ですよねー。報酬で釣れればおそらく引き抜ける。だが、今後協力体制を取っていく自衛隊との関係は悪くなる。下手するとご破算ということもあり得る。
「引き抜きじゃななくて、引退するホルダーを再雇用とかいうのは駄目ですかね?」
「どこの組織も優秀なそういう人材を狙っているわ。競争倍率が高いわよ?」
「かといって、一般人を引き込むのはこれ以上は難しいんですよね?」
「そうなのよねぇ。ご当主に相談してみるわ」
「私も父に相談してみます」
春塚さんかぁ。神薙ご当主はどう考えているんだろうな。土曜日に会った時に聞いてみるか。
そうこうしていると、瑞葵、麗華、一佳がやってきた。
「今日、明日、俺たちのチームに入る川中さんと坂井さんだ。お試しだから今後どうなるはわからない」
「「よろしくお願いします」」
「そう。がんばりなさい」
「「はい!」」
おうおう、さすが瑞葵、上から目線だな。人のことは言えんが。
「お試しってどういうことかな? 恢斗」
そりゃあ、疑問に思うよな。なので、悠斗のチームメンバー候補で何もかも未定と説明。
「ということは、私たちのチームに入れるのかい?」
「そうなるな」
訓練生チームに空きがないから仕方がない。
「そうすると、
「そうなんだよなぁ。まあ、なんとかなるだろう」
「恢斗が頑張るということですわね。任せましたわ」
「善処する……」
移動中の車の中が姦しい。俺と悠斗以外は女性五人。さすがにあの中に座る勇気はないので、助手席に座っている。
目的地に到着して荷物を持って移動。
今日は水島顧問はついてきていない。一条さんと鍋島さんだけだ。
「それで二軍と三軍を見て、何か感じたか?」
「正直、驚きだ。あれでホルダーになって三か月しか経っていないとは……」
二軍はホルダーになったのは三か月前だが、実際にレベル上げを始めたのは先々月から、三軍は先月からだけどな。俺だってホルダーになって五か月程度だ。
「こいつらが二か月後にはあれになる」
「……」
「認めたくないか? 水島顧問も自分の目で見ていながら、未だに認めようとしない。愚かなことだ」
「愚かだと?」
キッと睨んでくるが悔しいのか?
「そうだろう? こうして現実に七等呪位を倒すホルダーに育っているんだぞ? 今、自衛隊にいるホルダーはどうしようもないが、これからホルダーになる者たちは程度の差はあれど強くなれる。違うか?」
「まだそうなるとは決まっていない……」
「往生際が悪いな。まあいい、黙って見ていろ。その目でしっかりとな。如何に自分たちが愚かだったと気づくだろうからな」
それでも認めないなら、あとは無視だ。
付き合い切れない。
自衛隊との協力体制も考えるべきだな。
猫(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ猫
現代日本にダンジョンが⁉
古来より続く
スメラミクニラビリンス~月読命に加護をもらいましたがうさぎ師匠には敵いません~
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