265.謎の閃光 その二
瑞葵のほうは一進一退って感じだ。
ラタトスクはあのモフモフのせいで物理系の耐性をもっているっぽく、そのうえ回復能力も持っている。
ラタトスクを倒すには精霊・
まあ、俺の秘剣なら力押しで倒せると思うけどな。
麗華に近づき作戦を伝える。
「じゃあ、やるぞ?」
麗華が頷く。瑞葵とは意思一対のイヤリングで意思の疎通は済んでいるはず。
「下がれ!」
瑞葵並びに
一瞬、何が起きたのかわからず動きの止まるラタトスク。
「やれ!」
瑞葵、麗華、
俺も氷炎の杖でフレイムを放ち続いて氷嵐を放つ。並列思考で氷狼剣の水球、氷烈、ヒートレイを連続で放っていく。
ラタトスクを中心に、まるで太陽のような光を放つ。
『レベルが32になりました』
ーーーー
ーーー
ーー
ー
ヤバいな……。やってからまずかったことに気づく。代々木公園内とはいえ、今の光は遠くから見えた可能性がある。それくらい眩しいものだった。
「急いで撤収準備!」
わけがわからない連中に、いいから早くやれ! と叱咤して急がせる。水島顧問も俺の恐れていることを理解したようで、率先して石拾いをしている。
逃げるように駐車場に向かい急いで出発した。
「なんでそんなに慌て撤収したのかな?」
事情を知らない一佳が無邪気に聞いてくる。
かりんを抱っこした瑞葵と麗華に目を向けると、目を逸らしやがった。
「七月の中旬に新宿中央公園辺りで騒ぎがあったのを覚えているか?」
「七月半ば? あー、あったねぇ、そんなことが。テロとか宇宙人だとか……って、まさか?」
「俺たちだ」
「「まじ!?」」
聞き耳を立てていた悠斗とハモったな。
「次の日、ホルダー管理対策室、要するに警察に呼ばれてな、事情聴取された。俺だけな」
また、瑞葵と麗華が目を逸らす。
「こ、今回もそうなるのかな?」
「わからん。一瞬……数秒だからな、どれだけの人が見たか、あるいは映像が残っているかで変わってくる。花火だと思った人もいるかもしれない」
「今調べた限りでは、まだ話題には出ていないね」
一佳がスマホを調べているが、話題には出ていないようだ。問題は定点観測カメラだ。お天気カメラに記録が残っているとかがヤバい。
事務所に着いて、すぐに今日の歓迎会のために残っていた月山さんに報告。
「風速くん、あなたねぇ……」
「いやいや、俺だけのせいだけじゃないでしょう?」
だ~か~ら~、瑞葵と麗華、目を逸らすな!
「すぐに連絡を入れるわ。あなたたちは歓迎会の準備をしなさい」
準備といってもちゃちゃっとシャワーを浴びて着替えるだけ。着替え終わって、中央テーブルに行くと二軍と三軍が帰ってきたところだ。
光について聞いてみると気がつかなかったと全員言っている。二軍は青山、三軍は中野方面にいたようだ。セーフか?
二軍と三軍がシャワーをしている間に月山さんの電話が終わった。
「話題には上がっていないようだけど、テレビ局とかの定点カメラには手を回すと言っていたわ」
「それで?」
「一つ貸し、だそうよ。撮った映像は回せと言われたわ」
「くっ……」
一つ貸しで済んだだけましか……。呼び出されても大学があるから無理だし、休んでまで行きたくない。
仕方ない、あの攻撃技は封印だな。
「一つだけ、沢木管理官に言ってください。今回のような
「そうね。確かに風速くんの言うことは正論ね。間違っていることはちゃんと間違っていると言っておくわ」
「それと、どうしても貸し一つというなら、情報漏洩の件でチャラにしろと言ってください」
せっかくの札を使うのは口惜しいが仕方がない。
そもそも、ルールを作っていないホルダー管理対策室がおかしいのだ。
依頼は出すけど、すべての責任はそっちだよと言っているようなものだ。
下手なホルダーなら死人が出るぞ?
それともやはり、お役所仕事ってことなのか?
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