259.星熊童子戦
星熊童子の持つ武器は薙刀。腰に太刀を佩いでいる。
空中からは
なんか、このまま倒しちゃうんじゃなねぇ? なんて思ってしまうほど、いい動きを見せている。が、そうは問屋が卸さないのも知っている。
星熊童子が何枚かの紙を懐から取り出し、周囲にばら撒く。その紙が徐々に人の形を造り始め、山伏姿の鬼が現れた。十体もいる。多いな。
そろそろ、参戦しますか。麗華に目配せすると頷き、麗華の
「そいつは俺が遊んでおく。向こうを先に片付けろ」
「もう! 仕方ありませんわね!」
はいはい、頑張ってくださいね。
星熊童子の獲物は薙刀。そういえば、あんまり長物の武器って使っていないな。少しは練習してみるか。
地獄の槍を取り出し構える。日本と西洋の槍の使い方が違うということは知っているが、どう違うかまでは知らない。俺の
だから、適当に使ってみる。ちゃんとした訓練は訓練ルームでベリト相手にしよう。ただ、上から目線のあいつを絶対に師匠とは言わない。
何度か攻撃を仕掛ける。やはり、付け焼き刃は駄目だな。完全に星熊童子に遊ばれている。パワー負けもしていて捌ききれず、攻撃を受け徐々にBPが減っている。
瑞葵たちが鬼を倒すまでに三分の一のBPが減ってしまった。
「代わりますわ!」
じゃあ、一旦引きますかね。
「だいぶ攻撃を受けていたようだが、大丈夫かい? 恢斗」
「ちょっと、遊び過ぎたかもな。だが、ちょうどいい。
「持てばわかる」
手にアンクーシャを持つと理解できたようで俺を回復した。一度で回復し切らないので、今度は
これで、ほぼTPは空だろう。筋トレも終わっているようなので、投擲の練習に入らせる。一佳はバテバテだな。
「あっ!? もう!」
瑞葵が変な声を出すので見てみれば、また星熊童子が鬼を再度召喚していた。お代わり案件だ。いいじゃないか!
「こっちは俺がやる。そっちは瑞葵がやってもいいぞ」
「なら、そうしますわ!」
氷炎の杖に持ち替えてフレイムで鬼を燃やし、太刀・霧獣で鬼の首を刈る。麗華も冷魔女の杖を振りかざし、氷嵐で鬼の氷像を作っていき
訓練生も星熊童子に投石しているが、結構瑞葵に当たっている。当る度に瑞葵がイラッとした表情を見せ、こちらを睨むので後が怖いなぁと思っている。俺は知らない。ぶつけたの俺じゃないし。
ちなみに、一佳の石はまったく届いていない。どうして、自分の手前に落ちる? 投擲フォームから教えないと駄目か? まあ、錬成要員だからな。
『レベルが31になりました』
ーーーー
ーーー
ーー
ー
結局、俺が手を下さず、瑞葵が真・三段突きを何度か決め勝負がついた。瑞葵も強くなったものだ。
「じ、じぬぅ……」
大丈夫、死にはしないから安心しろ、一佳。
「恢斗、訓練ルームとはなんですの?」
「レベルが上がった時のアナウンスに出てきたぞ? 恢斗」
瑞葵と麗華も今回で六等呪位を五回倒したことで、訓練ルームが解放されたみたいだ。
「撤収準備をしながら教える」
早く教えろと目で訴えかけてくるが、その訓練ルームのおかげで瑞葵がイラつきが吹っ飛んだ。もう少し引き延ばして、完全に忘れさせよう。
感謝しろよ、訓練生。
撤収準備をしながら簡単に訓練ルームの仕様を教え、撤収を済ませて駐車場に戻ってきた。
「話を聞かせてもらえるのだろうな」
「帰ってから、話をする時間を取る」
一条さんが何度も説明しろとウザい。訓練生、さすが鍛えているだけあって肉体的疲労は少なそうだが、精神的疲労が酷い。二軍や三軍よりメンタルが弱い感じがする。
二軍や三軍連中なら、喉元過ぎれば熱さを忘れるですぐに馬鹿騒ぎをしていた。なのに、訓練生は病人かと思うほど顔が真っ青だ。
「取りあえず、腹が減ったからファミレスだな」
「はっ?」
「なんで、ファミレス!?」
早乙女さんはなんで? って感じで、今宮さんはナイス突っ込みって感じだ。
「ファミレスではご不満でして?」
ほら今宮さん、瑞葵に睨まれてるぞ? 本家のお嬢様のご機嫌を損ねる気か?
「お、仰せのままに……」
麗華は苦笑いしながら、水島顧問が抱っこしていたかりんを奪ってモフモフを堪能。かりんは癒やし要員という大事な役目を授かっている。本来の役目とは違うが……。
今日も大人数だが仕方がない。何度か来ているファミレスだから、店員も覚えていて角席を含め数席を用意してくれた。今日の売り上げに貢献するからな。ある意味VIP待遇だ。
俺と瑞葵、麗華以外は全員私服。
「風速くん、その服格好いいな。俺も着れるのか?」
「これは俺たちの戦闘服だ。私服だと動き難いし、破損する恐れがあるからな。着たいなら月山さんに相談してくれ。明日、訓練生用の服を作るから業者を呼んでいるはずだ」
さすがに自衛隊の迷彩服はまずい。俺たち以上に目立つ。
訓練生のお通夜状態を尻目に瑞葵と麗華、一佳がタブレットを使い注文していく。一佳は二軍、三軍連中と同じで、意外と図太い性格のようだな。
「俺も好きなの選んでいいのかな?」
「好きなだけ頼んでくれ。経費で落とす。だが、今宮さんはハンドルキーパーだから、酒は駄目な」
「うひょ~。ラッキー!」
水島顧問が訓練生と教官組と早乙女さんに、好きな物を頼みなさいと言ったことから向こうも動き出した。
この後。話し合いが残っているので、俺も酒は控えよう。
ドリンクバーだな。
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