252.引っ越し

 次の日、午前の講義を終えて部屋に戻る。少しずつではあるが引っ越しの準備はしていた。といっても、ゴミの分別をして、持っていくものをホルダーに収納するだけの簡単なお仕事だ。


 これからやることは、大物の家具と家電製品をホルダーに収納すること。ベッド、クローゼット、タンス、ソファ、テーブル、テレビ、冷蔵庫くらいだ。1Kの部屋にあるものなんてたかが知れている。


 最後に掃除機をかけて終了。掃除機もホルダーに収納だ。荷物がなくなると1Kでも広く感じる。


 クレシェンテの事務所に行き、月山さんの案内の下マンションへ移動。歩いて二十分くらい、すぐ前に新宿中央公園と東京都庁があるんですけど……。


 鍵はカードと認証コード。部屋もカードで開くそうだ。四十二階まではエレベーターでほんの十数秒、速ぇ……。


 玄関だけで四畳くらいあり、そこを抜けると左右に長い通路。右奥がリビング、大きなガラス窓があり新宿を一望できる。本当に無駄に広いな。


 反対側の奥がメインベッドルーム、デカいの一言。ほかに部屋が二つあり、一つは普通の部屋だが、もう一つがお客様用のトイレバス付の部屋となっている。ビジネスホテルなんか比べ物にならないほど立派な部屋。


 お客様用も合わせてトイレは三つにバス二つ、シャワールーム一つを完備。まじかよ……。


「ここに住めと?」


「風速くんはメインベッドルームね。妹さんはもう一つのベッドルーム。グランドルームはお客様用にしなさい」


 キッチンに冷蔵庫を置く。サイズが小さすぎて、合わねぇー。そのほかのキッチン用具も出して置く。み、みすぼらしいな……。


 寝室に行き荷物をすべて出す。空間が余っている……。三十二型のテレビが小さく見える。向こうの部屋では邪魔だったのに……。ベッドもパイプベッドの安物、恥ずかしい……。


 備え付けのクローゼットも大きいので、持ってきたクローゼットやタンスは必要なさそう……。


「あと、どのくらいあるの?」


「これで全部です……」


「そ、そう。全部、新しいものにしたほうがよさそうね。取っておきたい家具はある?」


「ないです……」


「じゃあ、こちらですべて手配しておきます。家具は処分でいいわね?」


「はい……」


 家電製品以外、すべてリサイクル品の安物だ。処分してもらっても構わない。


 日曜日に全部運び入れることになった。それまでは我慢してと言われたが、今まで使っていたものだから我慢はするもないのだが……。


 かりんは広くなった部屋で走り回って嬉しそうだ。


 俺は、なんか疲れたな……。


 次の日、いつもと同じ時間に目覚ましをかけていたので、今自分がどこにいるか気づいて大焦り。大学までの距離があることを忘れていた。満員電車に飛び乗りなんとか遅刻ぜすに間に合った。


 新しい部屋に戻っても使うのは寝室くらいなもの。リビングはガラーンとしていて、何も無い。大きな窓から見える東京の夜景だけが、やけに眩しく見えた。


 土曜、昼前にクレシェンテの事務所に来て資料整理。今日は副顧問の面接があるので日勤組も出勤している。夜勤組は休みのようだ。


 昨日時点で瑞葵はLv16からLv26に、麗花はLv13からLv25になった。このレベルになると七等呪位では一度にレベルが上がらなくなり、いい感じで差が縮まった。


 強くなった。だが、適合率の違いで俺とのステータス値は半分程度。最初からの適合率が違うとこれだけの差が出る。


 適合率は水島顧問が引退した時の適合率にほぼ並んだ。おそらくだが、神将トップの塚原さんは適合率250%を超えていると考える。だが、超えたのはそう前ではないと思っている。


 それを考慮すると、瑞葵と麗華は塚原さんと同等、いや上回る実力を持つことになるだろう。ずっと、ホルダーを続ければの話だがな。


 将来的なことを考えると勇樹を育てて俺の相棒にするか、新たな高適合率者を探して育てる必要がある。


 二人のスキル構成はほとんど変わっていない。レベルが上がったくらいだ。


 いや、一つあったな。瑞葵の王女の威圧が進化して、の威圧に変わった。怖いんですけど……。


 装備品関係は六等呪位を狩っていないので、変更はない。使えるものは合成して使役化生モンスターたちに装備させている。余ったものは、月曜から来る訓練生に渡す。


 それと一昨日、瑞葵と麗華が麒麟美酔きりんびすいと戦った。そして、美酒散乱が四本ドロップした。残念ながら美酒満開は出なかった。また、オークションに出品することになっている。


 特殊アイテムで不思議アイテムや課金アイテムが出てはいるが、めぼしいものはそれほどない。それでも、数人、剣技の書を手に入れた者もいる。


 変わったところでは、二軍が迷い茸という化生モンスターからトリュフ詰め合わせと松茸詰め合わせ、三軍は黄牛という化生モンスターからA5和牛丸々一頭分を特殊アイテムで当てていた。


 トリュフは食べ方がわからないので月山さんたちにプレゼントされ、松茸は全員に配られた。A5和牛は肉屋に運び込まれ解体されたのちに全員に配られた。松茸もお肉も旨かったとだけ言っておこう。


 昼時になったのでどうするか聞きに行くと瑞葵と麗華がいた。いつもの中華屋から出前を取ることになったので、俺は中華飯とチャーシュー麺、唐揚げを頼んだ。女性陣はいつもどおり別々の定食を頼んでシェアするみたいだ。


 かりんはみなさんからいろいろな料理を食べさせてもらってご満悦。なのにだ、俺のから揚げを全部掻っ攫っていきやがった。この食い意地、誰に似たんだ?


 俺じゃないと思いたい。





 神薙 瑞葵 Lv16→26

 ホルダー5390(643UP)

 ホルダー適合率222%(11UP)

 BP 1342(1120+222)

 TP 1482(1260+222)

 STR 100(78+22)

 VIT  90(68+22)

 INT  90(68+22)

 AGI  95(73+22)

 DEX 90(68+22)

 LUK 90(68+22)


 引力 Lv5→6

 斥力 Lv5→7

 女王の威圧 Lv2 new

 剣術 Lv1

 二刀流(同種)

 プチBP回復 Lv6→9

 水魔法 Lv1

 身体強化 Lv3→5

 気配察知

 睡眠耐性

 毒耐性

(戦術の書 TP+50)

(力の書 STR+10)


 ハイランクキラー

 BP・TP回復4.0倍 取得経験値4.0倍 アイテムドロップ率4.0倍



 雪乃 麗花 Lv13→25

 ホルダー5280(697UP)

 ホルダー適合率223%(10UP)

 BP 1373(1150+223) 

 TP 1563(1340+223)

 STR 90(68+22)

 VIT  90(68+22)

 INT  100(78+22)

 AGI  90(68+22)

 DEX 90(68+22)

 LUK 90(68+22)


 勇撃の波動 Lv4→6

 プチ鑑定 Lv1→2

 追撃 Lv3→4

 投擲 Lv1→2

 炎魔法 Lv2

 氷魔法 Lv1

 プチ精霊魔法 Lv1→3

 プチBP回復 Lv6→9

 身体強化 Lv1→2

 気配察知

 混乱耐性

(知識の書 INT+10)


 ハイランクキラー

 BP・TP回復3.7倍 取得経験値3.7倍 アイテムドロップ率3.7倍


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る