232.おばさんからばばあ
せっかくなので、もう一煽りしてみる。
「おばさん。いや、ばばあ」
ガングレトの顔が般若に変わって、動きのギアが一段上がった。効果てき面じゃね? これは面白くなった。と思ったが、怒りで身体強化状態になった感じだが、動きが良くなった反面、攻撃が単調になった。バーサーク状態か!?
クレバーな戦い方のほうが面白かったのに、力技に頼るつまらない戦いになってしまった。
つまらないのでこちらも戦い方を変えよう。小太刀・威霙を地獄の槍に変えヘルフレイムザッパーを使う。大きな扇状に炎の刃が広がっていく。ガングレトだけでなく範囲内にいたエルフとドワーフにもダメージを負わせた。範囲攻撃なのはわかっていたが、これほど広範囲だとは思っていなかった。これは使いどころが難しいな。
まあ、そのおかげでエルフとドワーフは全滅したけどな。ガングレトは地団太を踏んで悔しがり、また地面に箒を叩きつける。今度は十二体のエルフとドワーフが現れた。まさかのお替り大盛りですか!?
「恢斗! なにをやっているのですか!」
瑞葵の怒りの声が飛んでくる。そうだな。これはたしかに俺が悪かった。
「ごめんなさい……」
こういう時はすぐに謝るのが吉。
向こを見れば麗華と鬼、
そんな、乱戦状態の中でもランクFになった
麗華も珍しく接近戦で戦っている。合気道をやっていたというのは伊達ではなかったようだ。合気道で相手を崩し、そこに魔法を放つという武道と魔法の融合を行っている。
瑞葵は……斬りまくっているな。
ガングレトは冷静さを取り戻し、最初のクレバーな戦い方に戻っていてやり難くなった。訓練にはいいけどな。
瑞葵たちのほうも決着がついたようで、こちらに向かてくる。
「もうほとんどTPがありませんわ。ですけど、あのババアに一発喰らわせないと気が済みませんわ!」
お嬢様がババアって言葉を使うのはどうかと思うのですが?
麗華も勇撃の波動を使った後に首を振ったのでTP切れなみたいだな。
まあ、その気概やよし。
「了解。一発かましてこい」
身体強化を使い、捨て身のように突っ込み真・三段突きを繰り出す。一瞬、ガングレトが態勢を崩したのは瑞葵のスキルの力だろう。地味なスキルだが、使い勝手はいいスキルだ。
だが、残念ながら倒し切れなかった。
「このクソババアですわ!」
だから、お嬢様がそんな汚い言葉を使ってはいけません!
仕方がない、俺が行くか。
身体強化、直撃、秘剣ソリッドスラッシュ!
『レベルが29になりました』
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全体的になかなかいい訓練になったな。それと、このくらいのほうが戦いが面白い。ただ、六等呪位が2PTで戦うってのもわかる。六等呪位は援軍ありきの
さあ、帰ろう。
帰りに何を食べるか考える。瑞葵はファミレスっていうだろうな。だがしかし、ファミレスはもういいかなぁ~。なのでファミレスはファミレスでも中華のファミレスにしよう。四谷にあるチェーン店だ。
機材を片付け、レッツらごー!
「ここがファミレスですの?」
「ファミレスだな。中華の」
安い、旨い、早いの三拍子が揃っている。ファミレスの定義を満たしている。なので、ファミレスには違いない。
三軍は文句がないようでさっそく料理を頼んでいる。店員さんに許可をもらいテーブルを繋げての大所帯。料理は小皿ではなく普通のものを頼んで好きな物を取る形にした。
俺と瑞葵と赤星さん以外はビールを頼む。麗華は紹興酒を頼んでいた。赤星さんはもちろんハンドルキーパーだから飲酒は駄目。俺はそれに付き合う形。瑞葵はたんにソフトドリンクが飲みたかったようだ。
注文を聞いていたからこうなることはわかっていたが、テーブルが料理の皿で埋まっていく。冷菜、点心、そのほかの一品料理がどんどん届いては、三軍の腹に消えていく。負けてはいられぬ。
「いつものファミレスに比べるとたいしたことありませんわね」
相当にいつものファミレスがお気に入りらしい。買い取ればいいんじゃね?
それにしても、小籠包などの点心を食べているとビールが飲みたくなる。そこをジンジャーエールで我慢する。北京ダックも食べたが、これってお肉のほうはどうなっているのだろうか? まあいいや、美味しければ。
食べ終わった皿が隣の空いているテーブルに載せられていく。自分たちのことながら凄ぇなって思う。それから瑞樹さん、中華ファミレスに来てまでフライドポテトはないんじゃないですか?
最後は麺にするか飯ものにするか迷った。選んだの天津チャーハン。これだってビビッときたね。
デザートはいちご豆花と台湾カステラ。
旨かった。ごちそうさまでした。
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