225.三軍、七等呪位狩り

 次はリクライニングチェアを探そう。


 いろいろと探した結果、オットマン付きのゲーミングチェア二種類と重役椅子みたいなものを一種類選びプリントアウト。それを月山さんに渡す。


「じゃあ、瑞樹さんと麗華さんのも決まったらお願いしておくわ」


 それにしてもみなさん、かりんにべったりだな。仕事しないでいいのか?


 まあいい。せっかくなので聖者の敷布を試してもらう。すでに、七等呪石を使っている。


 月山さんの椅子に被せるように設置する。


「あら? 体がすぅーっと軽くなっていく気がするわ」


 気分ではありません。本当に効いているんです。効果を説明する。


「す、凄いアイテムね……。もう何が起きても驚かないと心に決めていたけど、無理……」


 遠くを見つめる月山さん。


 和泉いずみさんとすめらぎさんも交互に使用して、はふぅ~って顔をしているので効果が出ているとみえる。


 さて、昼飯はどうしようかな? 中央テーブルの上を見ると出前のチラシがいくつも置かれている。おっ、中華があるじゃないか。これにしよう。月山さんたちにどうするか聞くと同じ店に注文すると言ってきた。


 じゃあ、俺は天津飯とラーメンかな。


 起きたかりんとじゃれ合いながら待つ。時間を忘れてしまう。月山さんたちの気持ちが少しわかった。かりんは魔性の女だ。間違いない。


「きゅ~?」


 出前が届いた。さあ、昼飯だぜ。月山さんは酢豚定食、和泉いずみさんはエビチリ定食、すめらぎさんはタンメンだ。


 俺が天津飯を食べているとかりんが天津飯の匂いをすんすんと嗅いでいる。食いたいのか? 紙皿を持ってきて天津飯を少し載せてかりんの前に置くと、少し俺を窺うような顔をしてからがっつがっつと食らいついた。


「食べさせて大丈夫なの?」


「動物じゃなくて霊獣だから大丈夫じゃないですか?」


 そう言ったら、みなんさん少しずつ紙皿に各々の料理を載せていく。かりんはお姉さまたちの前に行き、愛嬌を振りまいてから皿に盛られた料理をぺろりと完食。普通に食ったな。TPいらないんじゃね?


 あ~、天津飯旨いわぁ~。ちなみに、天津飯って大陸の料理じゃないって知ってた? ってみなさんに言ったら、知らなかったと驚かれた。まあ、作った人は大阪に店を構えていた大陸の人なんだけどね。


 昼飯も食べ終わりまったりしていると、死にそうな顔の三軍がやってきた。柊以外な。


「「「「死ぬぅ……」」」」


 仕方がない、回復してやろう。


「「「「おっ、おふぅ~」」」」


 だが、完全には回復してやらない。こいつらに対しての戒めなのだ。そこに俺は含まれない。


 少し回復したところでフィットネスクラブに向かいトレーニングで汗を流す。また、途中から三軍はヨガ、俺はプールに分かれる。しっかりとトレーニングしたことから二日酔いは回復したようだ。代わりによたよたしているが……大丈夫か?


「「「「「死ぬぅ……」」」」」


 一人増えているな。


 クレシェンテに戻り、一人三十分交代で聖者の敷布を使わせる。効果は絶大。


 そうこうしていると、夜勤組が姿を現す。


「きゃー! 可愛いぃ~!」


「もふもふぅ~」


 星野さんと清和せいわさんも魔性の女かりんにやられてメロメロ状態。罪作りな女だぜ。


 遠野さんは頭を撫でただけだが、顔はニンマリしていた。隠れモフラーか!?


 さて、今日の狩りの選定をしましょうかね。今日は三軍に七等呪位を狩らせる。俺はサポートだけで狩りはしない。少しくらい遠出をしてもいいだろう。


 江東区の夢の島公園にしよう。ここも化生モンスターが多いな。狩り放題って感じだ。車で一時間足らず。出発しようか。


 かりんは連れて行かない。今日は俺が狩りをしないから検証は明日以降だ。


 三軍の特攻服……もとい、作業服が届いていたようで着替えて出てきた。うーん。あまり近寄りたくないな。


 俺たちが出発しようとしたときに健志たち二軍もやって来た。


「今からっすか? アニキ」


「ああ。お前たちもちゃんとトレーニングしろよ。それと、鑑定のスクロールは相談して朱珠か昌輝に使わせろ」


「うぃ~っす」


 朱珠と葵は俺の話を聞かず、もふもふにまっしぐら……。お前ら猫か!


 車の運転は遠野さんに任せ、現場に着くまでひと眠りする。道が混んでいたようで、一時間ちょいかかって到着。


 駐車場に車を停め、目的地の野球場へと向かう。


 瘴気の木人ミアズムウッディ 七等呪位 元は霊樹であったが長い間瘴気に当てられ闇に落ちた。人の生気を好み徘徊する。


 これといって、参考になるようなことはない。もしかすると瘴気とあるから異常状態くらいはあるか? まあ、戦ってみないと何とも言えないな。


 遠野さんに指示してカメラを設置してもらう。


「今日はお前たちに七等呪位を倒してもらう」


「アニキ、俺たちに死ねと……」


「サポートはしてやる。即死じゃなければ傷も治る……はず」


「「「「「はず!?」」」」」


「どこまで治るかの検証ができていないだけだ。誰か検体にならないか? 報酬は出すぞ?」


 全員、勢いよく首を横に振ったな。


 根性なしが。


 ちゃんと報酬は出すと言っているのにな。それに、お前たちの犠牲は、世の為人の為になるんだぞ?


 今まで世間様に迷惑を掛けてきたんだ、少しは世間様に貢献しろ!




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