220.ベリト戦決着

 身体強化!


 体が軽くなっていき力が湧いてくる感じがし、ベリトの攻撃や動きも少し見えてくる。


 水簾の如しで攻撃を受け流し、ベリトの体が流れ隙ができる。そこに連撃をお見舞いする。この剣技 小技 連撃は使いやすく、なによりリキャストタイムがないのがいい。コンボにも使えそうだし戦術を組み立てやすくなる。


 四連撃を喰らい後ろに後退るベリトだが、奴もどうやら一段ギアを上げるようようだ。全身が赤く淡い光に纏われ、持っている槍から炎が噴き出し倍の長さに変わった。


 俺にとっては炎はあまり怖くない。装備している黒炎神狼の鎧には炎半減、炎帝の小手には炎耐性が付いている。それに受け流し技の水簾の如しは炎無効だしな。


 ハイランクキラーのアイテムドロップ率上昇のおかげで、特殊効果付きの装備が多く手に入る。そのおかげで、耐性や半減付の装備を身に着けられる。


 うち以外のホルダーはこうはいかないだろう。ハイランクキラー様様だ。なので、うちのホルダーは本来のレベルの強さより、レベル5くらいは上の力を発揮しているはずだ。


 ベリトの炎の槍が襲いかかってくる。さすが、ネームドの悪魔、強い。そして、勉強になる。ステータスは上がっても、まだまだ経験不足。戦いの駆け引きに技量は相手が上。いいようにやられている。


しかし、俺とてやられてばかりではない。水簾の如しで受け流す。それでも少しBPが減ったのはベリトの純粋な攻撃力によるものだろう。炎の中を突っ込みベリトの懐に入り込み獅子連撃。宙に浮いたところを回し蹴りで吹き飛ばす。


 向こうは方が付いたようだ。


 瑞葵をちょいちょいと呼ぶ。


「まだやれるか?」


「BPは問題なく、TPは半分くらいですわ」


 瑞葵も炎耐性は持っている。瑞葵の訓練にはもってこいの相手だ。


「じゃあ、TPが切れるまで連携で攻撃するぞ」


「望むところですわ!」


 使役化生モンスターたちには遠距離攻撃持ちだけ攻撃させる。ほかは待機だ。三軍は素振りをやっていろ。


 麗華が勇撃の波動を使用。また少しだが体が軽くなった気がする。瑞葵も再度身体強化を使いベリトを睨みつけてから斬りかかる。


 なんとも好戦的なことで。そんな瑞葵の後ろに付いていき、瑞葵のHit and Awayの後に続いて攻撃を加える。


 俺がベリトから離れると使役化生モンスターたちの魔法攻撃が始まり、瑞葵の回復もしてくれる。瑞葵は今の状態のベリトだと、近づくだけで炎のダメージを受けるようだ。俺にとっては微々たるものだが、瑞葵にとっては結構なダメージになっているようだからな。


「近づくだけでダメージを受けますわ」


「一旦下がって、麗華にプチフレイムアーマーを掛けてもらえ。おそらく、プチ炎魔法レベル4で覚えているはずだ」


 一瞬、赤い光に包まれる。


「……今、掛けてくれましたわ。効果は炎耐性の強化で五分間だそうですわ」


 意思一対のイヤリング、便利だな。


「じゃあ、もう一度仕掛けるぞ」


「了解ですわ。ここですべてのTPを使い切りますわ!」


 使役化生モンスターたちの攻撃が止み、瑞葵が仕掛ける。


 麗華の水氷の杖から氷嵐が放たれベリトを襲う。氷嵐が止んだところで瑞葵がプチウォーターバレットを放ちけん制。ベリトが炎の槍を振るうがあらぬ方向に振たかと思えば態勢が崩れる。瑞葵のスキルだな。スキル自体の威力も上がり、使い方にも磨きがかかってきている。


 態勢を崩したベリトの懐に潜り込み、真・三段突きを喰らわせ横に回転しながら場所を空ける。


 止めを刺せってことだな。


 ならば、見せて進ぜよう。俺の新たな必殺技。


 実戦で使うのはこれが初めて。構想は一週間くらい。おそらく上手くいく。いや、できる!


 身体強化、直撃、並列思考による秘剣ソリッドスラッシュWダブル


 金属破断音がし、世界が四分割になる。なるほど、こうなるのか。


 一瞬、ベリトが悔しそうな顔を見せた。ざまぁ。


『レベルが28になりました』


 ーーーー

 ーーー

 ーー

 ー



 さすがの有名処の大物だったな。戦い応えがあった。


 そして嬉しいことに麗華と三軍が全員身体強化と投擲を覚えた。車もあることだし、明日からは三軍に七等呪位狩りをさせよう。代わりに二軍に六等呪位狩りに参加させるか? まあ、明日のことは明日考えよう。


 今日はこれで終わり。


「撤収準備!」


 わらわらと三軍が石拾いを始める。行方不明になった石も結構あるので買い足しをしないとな。


 俺も赤星さんと撮影機材を片付ける。


 すべてを片付け駐車場に戻るが、まだ二軍は戻ってきていない。


 早く戻ってこ~い!


 歓迎会が待っているぞ~。


 早くビールが飲みて~!




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