218.サポート要員紹介
踏ん切りがついたというか、諦めたというか微妙な表情をしているな。
「それで、私も戦うのですかな?」
「いえ、
「そうですか。それはそれで少し残念ですな」
ホルダーの素質があったとしても年齢的に無理がある。やはり、正義のヒーローになりたかったのか?
「遠野さんには二軍か三軍のサポートをお願いする予定です。彼らはホルダーになってまだ間がなく、そして若いこともあって精神的に安定していません。そいつらが、馬鹿をやらないように目を光らせてもらうのが仕事です」
「もちろん、車での送迎、その他のサポートもお願いすることになりますわ。ですが、あとで顔合わせを行いますが、風速くんが言うように精神的に子どもです。そこの引き締めがメインの仕事となるでしょう」
「私から見れば、風速さんも私の子どもと同じくらいの歳に見えるが?」
あいつらやその辺のガキと一緒にしないでもらいたい。ヒーローごっこに喜ぶ子どもじゃない。ゲーム厨というのは否めないが。
「当面、慣れるまでは水島顧問が同行します。現状、赤星さんという方一人がサポート要員です。今後もホルダーが増えていく予定ですので、さらにサポート要員も増やしていきます」
「正直、人材不足が一番頭の痛い悩みの種ですわ。もし、信頼のできる方がおられれば紹介していただきたいですわ」
「うむぅ。いなくはないですが、年齢制限は?」
「ちゃんと正しいことを言える信念を持った方。年齢は不問ですわ」
どちらかと言えば、年配のほうがいいな。ホルダー側に問題がなければ、赤星さんのようなフレンドリーな方でもいいのだが……。難しいだろうな。
全員を大会議室に集める。
「最初に、中央テーブルに置いてあった石を持って帰った奴はいるか?」
全員、首を横に振る。ということは、夜勤組なのかな?
「そうか、ならいい。それと、今日から狩りのサポートをしてもらうことになった遠野さんだ」
「
二軍と三軍連中の表情が引きつっている。いい傾向だ。
「今日から二軍を任せることになる。慣れるまでは水島顧問にも同行をしてもらう。遠野さんの言葉は俺の言葉だと思え。言いたいことはわかるな?」
二軍が青い顔でコクコクと頷く。わかればいい。三軍はホッとした表情だが、自立できるようになったらお前らにも同じようなサポートが付くからな。
車も一台納車されている。十人乗りのワゴンタイプでグレードが最高級のグランドキャビン。俺たちと三軍プラス赤星さんで九人だから、遠出ができる。新宿近くは夜でも人が多く不夜城と言っても過言じゃない。狩りには向かない場所なのだ。
だから、放置されているんだろうな。いつかは狩らないと駄目だろうが、正直荷が重いし面倒。
移動手段ができたので、今日の狩りは二軍と同じ代々木公園にする。さすがにデカい公園なので七等呪位も六等呪位も豊富だ。豊富っていっていいのかは微妙だが。
「今日は全員、代々木公園での狩りにする。狩りの後は歓迎会だからさっさと済ませるぞ」
「「「「「うぇ~い」」」」」
こういうノリだけはいい奴らだ。
「月山さん、場所の確保は?」
「知り合いの焼肉屋を二十一時以降貸し切りにしているわ」
「「「「「うぇ~い!」」」」」
「焼肉♪ 焼肉♪ 食べ放題~♪」
葵、小学生か! いや、二軍と三軍はみな同じ感じだな……。
夜勤組の星野さん、赤星さん、
ということで、出発。この車は二軍が乗っている車のワンランク上のグレードだけあって、内装が豪華。しっかりと後部に荷物が置けるスペ-スがあるもかかわらず、全席ゆったりと座れる。
二軍は遠野さんがサポートに付き、水島顧問が更に遠野さんのサポートに付く。今日はカメラの設置くらいで、あとは見てるだけ。
見てるだけだが、どういう反応をするんだろうな。元自衛隊だし警備会社の主任をやっていたくらいだから、肝は据わっているだろう。歓迎会で話が聞けるだろう。
薄暗くなった公園を歩く。三軍はまだ私服。明日には作業服が届くそうだ。俺や二軍の服と違ってぱっと見、特攻服に見えなくもない服だった……。柊はそれを嫌がり俺たちと同じ服を選んでいた。
ベリト 六等呪位 ソロモンの悪魔 序列28番の地獄の公爵。赤い衣服と王冠を身につけ、赤い馬にまたがった兵士の姿。殺人と冒涜を司る。
ソロモンの悪魔とかって俺でも知っている大物悪魔だ。
「ソロモンの悪魔、有名ですわ」
「レメゲトンか……七十二柱の悪魔とはな。大丈夫か? 恢斗」
「ビッグネームには違いないが、所詮六等呪位だ。問題ないだろう」
バトルフィールドを展開し赤星さんがカメラをセットするまでの間に打ち合わせ。赤星さん、恐怖で足を振るわせながらもカメラのセッティングをしている。
いやはや、サポーターの鏡だな。
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