211.三軍初戦

 自己紹介も終わったので、今後の予定を話す。


「三軍は形になるまで、来週を目途に俺が鍛える。その後は健志たちに引き継ぐからちゃんと面倒を見ろよ」


「引き継ぐって何をすればいいんすか? アニキ」


「何かしろってことじゃない。相談に乗ってやれってことだ」


「アニキがそう言うから、特別なんだからね!」


 葵、うるさい。


「それより、来週って……二週間ないですけど? アニキ」


「大学が始まるから仕方がない。超スパルタでやる。三軍は来週の日曜まで休みなしで化生モンスターを狩る。そうすれば、レベルは十二上がるはずだ」


「「「「「鬼だ……」」」」」


 うるさいぞ、二軍。


「なんかヤバくね? 俺たち」


「「「……」」」


 本当は宮城の実家に帰りたかったが、そうもいっていられない。今の二軍のレベルが十くらいだから、十二まで上げれば使役化生モンスター無しでも七等呪位を倒せる……ように鍛える。


 正直、使役化生モンスターが欲しいところだが、そんな余裕はない。使役化生モンスターが欲しいなら、三軍自身で集めてもらおう。


「私たちはいいのか? 恢斗」


「瑞葵と麗華は普通に休んでくれて構わない」


「恢斗とレベルの差がまた開きそうですわね」


「どこかで調整はする。瑞葵と麗華が休みの日は俺はレベル上げをしないで。こいつらに付きっきりで鍛えるつもりだ」


「まあ、仕方ないな。無理はするなよ。恢斗」


 麗華は優しいな。それに比べ……。


「恢斗は問題ありませんわ。体力馬鹿ですもの」


 いやいや、つらいんですよ? 自分の時間がほとんど取れていませんからね? たまには家で惰眠を貪りたいのよ?


 月山さんのほうも説明と契約が終わりこちらに移ってきた。


松平柊まつだいらしゅうです。よろしくお願いします」


 松平柊まつだいらしゅう Lv1 135% 19歳 


 デザイン専門学校卒のイラストレーターらしい。170cmくらいの痩せ型。まあまあ、優し気なイケメンだな。ヤンキー四人組とは対照的だが大丈夫だろうか?


「ということで、今日の狩りが終わったら新人歓迎会をしようと思うが、 賛成は挙手してくれ」


 全員が手を上げる。


「月山さん、お願いします」


「歓迎会は明日にしない?」


「どういうことですか?」


「明日から社員が一人増えるから、一緒に行えばいいと思うのよ。どう?」


 そうか、二軍のサポート要員が明日からくるんだったな。


「じゃあ、そういうことで。俺たちは俺たちでやるか?」


「「「「「うぇ~い!」」」」」


 じゃあ、宴会部長の赤星さん、お店の選定と予約お願いしますねと目で頼むと、赤星さん力強くサムズアップを返してきた。


「ほどほどにしなさいよ。あなたたち……」


 出発まで少し時間があるので、三軍に余っている防具を渡す。武器は初期装備のままでいい。


 着替えて出発だ。


「アニキたち格好ぇ……」


「うちの戦闘服だ。後でお前たちの分も注文するから安心しろ」


 ヤンキー四人組+αを引き連れて歩く俺たち。悪目立ちじゃね?


「ねぇ、恢斗。今日は一体だけ狩るんですの?」


「六等呪位狩りでは二PTパーティーでやれることに気づいた。なので、こいつらも一緒にやらせる」


「さすがに無理じゃないか? 恢斗」


「戦わせる気はないぞ? まずは筋トレ。その後はスキル習得だな。離れたところでやれば問題ないだろう。それと、今日は瑞葵と麗華も見学な」


 まずは六等呪位を見て感じてもらう。戦いはその感覚になれてからだ。


 女子大の校門についた。もちろん閉まっている。時間も時間だし、夏休みだしな。職員の通用口に回り、門をを乗り越える。


「不法侵入じゃね?」


「犯罪は犯すなって言ってたよな?」


「俺たちダークホルダーになるのか?」


「死にたくな~い!」


 うるさい、黙れ!


「大事の前の小事だ。このくらい気にするな」


「これでも弁護士志望なのだが、だんだん罪の意識が薄れているような?」


「仕方ありませんわ、お姉さま。これもひいては正義のためですわ」


 そういうことだ。


 マップを見ながら進んでいく。そいつはグランドにいた。


 阿久良王あくらおう 六等呪位 元は人間だったが悪行を重ね鬼となった。東郷太郎、加茂二郎、稗田三郎という三人の家来を率いている。


 鬼だな。鑑定を見ると厄介そうだ。


 バトルフィールドを展開して三軍とレイドを組む。要するに協力プレイってことだ。


 三軍は六等呪位の気に当てられてガクブル状態。


「「「「「無理……」」」」」


「麗華はこいつらに筋トレさせてくれ。厳しくな。それと、麗華の精霊スピリットも筋トレできるから、瑞葵の新しい使役化生モンスターと一緒に筋トレさせてくれ」


「承知した。って精霊スピリットが筋トレできるのかい!?」


 できるんだな、これが。ついでに装備も渡しておく。魔法使い装備だな。アンクーシャは俺の天使エンジェルに持てせておこう。


 むじな・☆ ランクHエッチ プチ妖術Lv1 ☆盗む


 瑞葵の新しい使役化生モンスターだ。まんま二足歩行する狸だ。でもレア種だ。プチ妖術がデフォルトで昌輝の持つ盗むがレア種特有のスキルみたいだな。


 何気に羨ましい。暇があれば盗みを試してもらいたい。六等呪位ならいいものが盗めるかも。


「瑞葵は使役化生モンスターと待機。なんとなくだが、戦っていると援軍が出てくるような気がする。もし出たら、そいつらを使役化生モンスターと相手してくれ」


「わかったわ。任せなさい!」


 そうだ、忘れる前に装備の変更を行なおう。


 瑞葵から跳躍のブーツをもらい、神狼の靴を渡す。双剣・魔狼+2も渡し双剣・影水と武器合成させる。


 ・双剣・魔影狼+1 (+423) 影戒TP10 水刃TP8 ヒートレイTP50 合成可(0/1)


 凄い武器になった。


 瑞葵が双剣・魔影狼を見て恍惚の表情。刃とか舐めるなよ?


 瑞葵と麗華は昨日ほど恐れはないようだ。


 さて、りますか。







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