208.三軍との順位付け

「さっきのホルダー1775ってのがアニキですか?」


「そうだ。俺の上にまだ1774人の強者がいるってことだ」


 実際は百人くらいだと思うけどな。隼人を混乱させないようにそう思わせておけばいい。


「ここはランクバトルも行えるが訓練もできる、ここは時の経過も、痛みも、空腹も、疲れも、眠気もない空間。訓練するにはもってこいの場所だ」


「精〇と時の部屋……」


「そういうことだ」


 隼人の装備が変わっていないことから、設定がされていないのだろう。これも俺と同じだな。なので設定等について教える。


 といっても、隼人の持つ装備は鋼の剣(+30) 。


 訓練にはちょうどいいな。


「俺を殺す気でかかってこい」


「いいんですか?」


「ここではBPがなくなれば元の世界に戻るだけだ。うむ、ただやるだけだと面白くないか? せっかくだから、やる気になってもらおう。そうだな、もし俺の体に一当てでもできたらキャバクラ豪遊させてやるってのはどうだ?」


 隼人はニヤリと笑って剣を突き出してきた。


 ーーーーー

 ーーーー

 ーーー

 ーー

 ー


「ごめんなさい……。ごめんなさい……。この世に生まれてきてごめんなさい……ゆるしてください……」


 体感時間で二時間くらいか。根性がないな。最後は泣き喚き散らしていたな。


「な、何があったん……あったのですか?」


「順位付けと訓練ってやつだ。明日はお前な昴」


 本多昴ほったすばる LV2 127% 23歳 


 170cmくらいのがっちりした体格。見るからに目つきの悪いヤンキーだな。目付きの悪さは癖なんだろうな。矯正が必要だな、ほかの連中も。


「一人ずつやっていく。お前たちが束になっても、何をやっても敵わないってことを教え込む」


 チラっとガクブル状態の隼人を見ると、顔を更に青くさせ目を逸らす。


「よし、少し早いが飯を食いに行くぞ。奢ってやる」


「「「「ゴチになります!」」」」


 切り替え早ぇな、おい!


 何を食べるか聞かれたので、ファミレス以外なら何でもいいぞと答えたら天丼のチェーン店に連れてこられた。まあ、いいか。


 俺は天然車海老天丼の蕎麦セットを頼んだ。ヤンキー四人組も各々好きな物を頼んだようだな。まったくもって遠慮のない注文だったと言っておこう。天然車海老天丼、思ったより旨かった。


 事務所のお姉さま方にもちゃんとテイクアウトを忘れない。食の恨みは怖いからな。


 午後からは本当はフィットネスクラブに行きたかったのだが、月山さんに却下された。


 契約書や就業規則についてこれから説明を行うので、俺も立ち会えということだ。相手がヤンキー四人組だから一人では嫌らしい。水島顧問に頼んだらと言ったら、これから俺とは別のホルダー相談会があるそうで駄目らしい。


 そうこうしていると、瑞葵と麗華がやって来た。


「マ、マビィ~!? 俺と茶でもしないか? お嬢さんたち」


「恢斗、ゴミはちゃんとゴミ捨て場に捨ててきなさい!」


「「「「ひ、酷ぇ……」」」」


「安心しろ、一人は既に〆ている。残りは明日以降だ。気に入らなければ社会的に抹殺していいぞ」


「「「「お、鬼だ……」」」」


 ヤンキー四人組はまだ知らない。この世には逆らっては駄目な奴が、本当にいるってことを。


「それでどういうことかな? 恢斗」


「まあ、成り行きで、捨て犬を拾ったってところか?」


「「「「俺たちって捨て犬か……」」」」


「それはクレシェンテに所属するってことかしら?」


「そうなる。仕方がないから今日から鍛える。瑞葵と麗華は俺と一緒に六等呪位を狩ることにする」


 時間がないから仕方がない。


「私たちで六等呪位を倒せるのか? 恢斗」


「昨日狩った感じではなんとか行けると思う。まあ、今日はお試しだ」


「厳しいのではなくて?」


「二人とも適合率が上がってたろう? ステ値的には問題ない、後は慣れだな」


 今日はステ値が伸びた分を理解して体の慣らしになる。本番は明日からだ。


「ち~っす! げっ、酒井、なんでお前らがここにいる!?」


「俺たちもここ、クレシェンテでお世話になることにした」


「まじっすか!? アニキ」


「まじだ。先輩なんだからちゃんと世話をしろ。上下関係は教えてある」


 健志と隼人は睨み合ったままだな。


「残念だが、今日はフィットネスクラブには行けない。ちゃんとやってこいよ」


「うぃ~っす」


 月山さんとヤンキー四人組を連れて小会議室に戻る。


「フィットネスクラブってなんす……なんですか?」


 榊原翼さかきばらつばさ LV2 125% 21歳


 170cmくらいの細マッチョ体格で、厳つい顔した格闘家っぽい奴だな。二軍の陸のポジションか? 見たまんま武闘派って感じだ。木刀が似合いそう。


「お前らだけじゃなく、あいつらも不健康で体力がまったくないからな、フィットネスクラブで鍛えさせている。これもホルダーとしての仕事の一環だ」


「え~、じゃあ、俺もあの美女たちと一緒にフィットネスクラブで汗流すん……すのですかぁ?」


 井伊幸彦いいゆきひこ LV2 126% 22歳


 165cmくらいの痩せ型で見るからにチャラ男だ。瑞葵と麗華の粛清対象に一番になりそうで不安だ。


「これから正式に契約すれば、明日からフィットネスクラブ通いになる」


「「「「おぉー」」」」


 喜んでいるのも今の内だ。


 間違いなく、明後日は筋肉痛だろうからな。




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スメラミクニラビリンス~月読命に加護をもらいましたがうさぎ師匠には敵いません~

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884258759


眷属は埴輪、お供は猫又、ヒロインは戦神、商売仲間はケット・シー。

現代ファンタジーダンジョンハートフルサクセスストーリーですにゃ!

な、ながいですにゃ……。

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