203.六等呪位
瑞葵と麗華が工事現場の外に出たことを確認して戻ってくる。
バトルフィールドを展開して、
俺の
実戦投入するかは、まずは俺が戦って六等呪位の実力を測ってからだ。なので、秘剣は最初からは使わない。最初に秘剣は使わないがそれ以外は全力で行く。
並列思考、加速、身体強化を使い、使い慣れた太刀・焔と小太刀・威霙を構える。
ちなみに
それと、アンクーシャは
ゆっくりとスコルに近づく。
デカいな。普通乗用車よりでかい。威圧感も半端ない。そして、目を見て理解する。こいつは知性があり賢いと。唸り声を上げ、俺の動きを一挙手一投足を油断なく窺っている。
「俺の言葉がわかるか?」
「……」
声は発しないが、目が理解していると物語っている。
「なぜ、お前たちは人間を襲い、下位の
未だ唸り声をあげているが、少し困惑しているようだ。
「お前は知性がある。俺たちと共存できるのではないか?」
七等呪位にはこいつのような明確な知性を持つ
だが、こいつならどうだ? 話が通じるのら討伐する以外の道があるのではないか?
スコルの目をジッと見る。悲しそうな目を一瞬させた後、殺気の籠った目を向けてきた。
残念だ。
だが、一瞬見せた悲しみを含んだ目はどういうことだ? なにか理由がありそうだが、聞く時間はなさそうだ。
スコルが飛び掛かってきて前脚が俺に振るわれる。
小太刀・威霙で受ける。
ぐっ、お、重い……。
体を吹き飛ばされないようにするのが精いっぱい。そんな攻撃が連続で繰り出される。
受けきっていると思ったが、徐々にBPが減っている。
水簾の如し!
攻撃を受け流し、スコルの体が流れた隙に太刀・焔の炎尾をスコルに巻き付け小太刀・威霙で連撃。
か、硬いなぁ。
スコルの体を斬り裂いたが、深手ではない。途中で止められたって感じだった。強い、そして面白い!
一瞬見せた悲しみの目が頭をよぎるが、交渉は決裂したのだ遠慮はいらない。
今は強い相手と戦えるという高揚感に心が躍っている。意外と俺ってバトルジャンキーなのかもな。
スコルの動きは俺にとってそこまで速く感じるものではない。だが、俺の加速のほうが速いのは明らかなのに、動きが読まれているというか俺の位置を把握しているかのように攻撃を躱しそして攻撃してくる。
戦いの経験によるものなのか、野生の勘なのか、或いは何かのスキルの力なのか……。 ん? スキルの力? そういえばそんな感じのスキルを俺も持っているな。気配察知、こいつじゃね?
並列思考の一思考を使って気配察知を使う。目で見ているスコルとは別のスコルの気配を感じる。その気配を辿れば、目で追う動きより一瞬だけ速いことに気づく。要するに、気が向くってことか?
体ではなく頭で考えたほうに気が向くので、動く方向に気配が一瞬速く動いてしまうってことだな。
おぉ、わかるぞ、スコルの動きがわかる。相手の動きが手に取るようにわかるとまではいかないが、攻撃してくる方向はわかる。方向がわかればなんとかだが躱したり、受け流したりしやすくなった。
これは使える。ほかの連中にも教えよう。スキルの習得方法もだいたいわかっている。
問題は並列思考を使っているからここまで上手くやれるということ。まあ、その辺は各自の鋭意努力に期待しよう。瑞葵と麗華なんかは簡単に使いこなしそうだしな。
このまま押し込めるかと思ったが、急にスコルの気配が消えた!?
そのせいでまた、俺のほうが押し込まれていく。
目の前に確かに動くスコルはいるのに、急に気配だけ消えた。スキルの力か? やってくれる。
さすが六等呪位、七等呪位とは違うな。
だが、面白い!
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