199.事務所で詰めの話

 その後は何事も起きず歓談で打ち上げは終了した。


 いろいろと、神将たちに質問を投げかけてみたが、のらりくらりと躱されてしまい収穫はゼロ。このおやじどもが!


 飲むほうは満足のいくものだったが、食べるほうはやや不満。いや、だいぶ不満。やはり、自衛隊員はよく食べる。料理の大皿が新しいのに代わると、すぐに群がりカス一つ残さず綺麗に無くなる。


 なんとかその群がる集団に入ろうとするが、体格差で弾き出される。ならばと、健志たちとタッグを組んで挑んだが、向こうも鉄壁のフォーメーションを組んできて撃沈された……。


 その貪欲な食欲を化生モンスターにぶつけろや!


 〆のチャーハン食いたかった……。



 宿に戻ってルームサービスで日本酒を頼みお弁当を食べる。弁当というより、重箱。このまま食べてもいいが、露天風呂に持っていき風呂に入りながら楽しむ。


 さいこー!


 この宿も今日まで、残念だ。このままゆっくりと風呂に入っていたいが、水島顧問の早く代われという無言の威圧がうざいので出る。


 しゃーない、寝るかぁ。



 朝、ゆっくりと寝て朝風呂を楽しみ、朝食を食べチェックアウト。赤星さんの運転でバス移動。来た時の映画の途中からエンディングまで見れて満足。やはり、両隣は瑞葵と麗華だ。


 事務所に着いて帰ろうかなと思ったら、月山さんに肩を掴まれ事務所の中に拉致される。


「簡単に帰れると思ったかぁ!」


 ヤバい、月山さんが壊れた! 瑞葵と麗華は迎えにきた車に乗っている。薄情者め~。


 あー、二軍は帰っていいぞ。明日は午後一集合な。明日からはフィットネスクラブ通いになるからな、その準備も忘れるなよー。


「明日では駄目なんですか?」


「明日は明日で忙しいのよ! それで、どうするのよ! 風速くん!」


「どうするといっても、いつもどおり?」


 これといって、いつもと変わりはないと思うけど?


「うちだって人材不足なのよ! そう簡単に人を増やせないの!」


「どの人材が足りないんですか?」


「サポートの人材も事務に関してもよ!」


 事務に関してはちょっと俺に言われても無理かな。


「サポートは自衛隊の教導隊にやらせればいいんじゃないですか? 二人来るって言ってたし。車の運転から、狩る化生モンスターの選定とか。そのくらいさせても問題ないでしょう? どうなのよ? 水島顧問」


「いいのではないか? クレシェンテに来る以上、仕事をさせるのは構わないだろう」


 新しい職員が決まるまで二軍は赤星さんと水島顧問に任せる。俺と瑞葵と麗華は、自衛隊と一緒に狩りをすることになるので車は二台必要になる。自衛隊員だから車の免許は持っているだろうしな。


 それに教導隊ってくらいだから事務仕事だってやってるだろうし、問題ないんじゃね?


「そ、そんなのでいいの? 風速くんは夏休み終わるのよ? どうするのよ!」


「基本、十八時以降だから問題ないでしょう。最初に俺たちが化生モンスターを狩って終わったら瑞葵と麗華を帰らせて、それから自衛隊のホルダーを鍛えてもいいと思う」


「体は持つの?」


「問題ない」


 ホルダーになってからは体調がすこぶる良い。ステ値の恩恵だろう。多少の無理は全然問題ない。


 自衛隊ホルダーも二軍と同じ勤務体系にする。午後に出てきてフィットネスクラブに通い、十八時から狩りをする。十月なら日の入りも早くなるので、夏の今より早く狩りが始められる。


 自衛隊が来る十月まで、どこまで瑞葵と麗華のレベルを上げられるかだな。今の二人に六等呪位が厳しいようなら、レベルが二十を超えるまでは二人で七等呪位を狩ってもらう。使役化生モンスターもいるから問題ないと思う。


 レベルが二十を超えたら六等呪位を俺と一緒に狩れるようになるだろう。そうすれば時間の短縮ができる。自衛隊のホルダーが帰った後に来るホルダーの訓練も引き続きできるからな。


「それじゃあ、引き受け体制を取るわよ?」


「今後を考えると、前に頼んでいたサポートの人員をもう一人増やしておいたほうがいいんじゃないですか? どうせ、必要になるし」


「そうね、考えておくわ。そうなると、この事務所では狭くなるわね……」


 今後を考えると、上か下のフロアーも借りないと厳しくなると思うな。思い切って自社ビルを買えばいいんじゃないか? 車の台数も増えるから駐車場付きの。


 そのくらいの稼ぎは出るはずだからな。


 今日のところはもう帰ろう。今日は完全休業日にしよう。飯もホルダーの中に入っているのでいいかな。


 明日のフィットネスクラブ用のトレーニングウェアなど買っていかないとな。それなりのものを買わないと恥をかきそうだからな。


 大型スポーツ用品店に行ってみるか。



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