187.奥義
「神将ってどのくらいいるんだ?」
「神将は各結界に五人いる。知らないようなので教えるが、守護は三十人だ」
「定員制か? どうすればなれる?」
「定員制ではない。たまたま現状この人数になっている。なるにはホルダー管理対策室の推薦が必要で、神使に認められることだ。推薦をもらうにして六等呪位を十体と五等呪位一体以上は倒さないと話にならない」
六等呪位ならなんとかなるな。五等呪位にはまだ会ったことがないからなんとも言えないな。
「神将になりたいのか?」
「神将、守護などには興味がない」
「きょ、興味ないのか……。ならどうして聞いたんだ?」
「四等呪位以上を倒すには結界の中に入らないと駄目なんだろう? ならば、神将になるしかない」
将来的な狩り場はそこになるだろう。ならなくても入れるならそれに越したことはない。神将とかになると制約とかありそうだしな。縛られるのは嫌。
「神将にならなくても、どこかの神将のチームに入れば戦えるぞ? 私のチームに入るか? 自衛隊に入らないと駄目だが、君なら私のチームに入る資格はあるぞ?」
「断る」
「そ、即決か……」
わかってないな。俺とそして俺が選んだメンバーで戦いたいのだ。チュートリアルならまだしも。強いNPCみたいな奴と一緒に戦って何が面白い。
「そろそろ、話はいいだろう。今度は私が本気、いや本気一歩手前の奥義を放つ。もし受けきれたら、少し手ほどきをしてやろう」
「受けるのか? 相殺や躱すことは?」
「受けるだけにしてくれ……。それと、攻撃を受けてる時に回復もなしな」
加速で躱そうと思ったんだが駄目か、仕方ないな。それにしても制限が多くないか? それだけ、奥義は万能じゃないってことか。秘剣が凄すぎるんだな。一瞬、それもおそらく回避不可のだからな。
太刀・焔と小太刀・威霙を構える。
「では、いくぞ。紅蓮龍牙斬」
塚原さんがクリスタルの剣を振りかざすと、そこには西洋の竜ではなく、炎で出来た東洋の龍がいた。剣を俺に向け振り下ろせば龍が俺に向かって飛んでくる。
どう見ても炎系の攻撃、名前からしても斬撃系も付いているな。こういうヒントが出るから、技の名前とかは言ってはいけないのだ。対策ができてしまうからな。
なので、小太刀・威霙で 受け流しの技水簾の如しを使わせてもらおう。相殺や躱すのは駄目だが、受け流しは駄目だとは言っていない。
小太刀・威霙を肩で押さえ炎の龍を受ける。
凄い衝撃だ。吹き飛びそうになるのを必死に耐える。BPがガリガリ削られていく。水簾の如しは炎無効が付いている。なら、BPを削っているのは斬撃のほうだ。受け流し切れていないということか!?
ならば、並列思考で太刀・焔を使い水簾の如しを発動。小太刀・威霙の前に出し十字で炎の龍の攻撃を受ける。
よし、いける!
ありったけの力を振り絞って炎の龍に抗い、すべての力を受け流す。
「う、嘘だろう!? 受け流し技如きで防げるはずがないだろうに……」
ふう。ヤバかったな。BPが半分削られた。
咄嗟に思いついた二刀流の並列思考による技の発動、功を奏したな。
あれ? これっていけるんじゃね? いや待て、水簾の如しはリキャストタイムのない技だからいけた可能性もある。リキャストタイムのある技はどうなんだ? 検証の必要があるな。
秘剣の同時発動、最強じゃね?
しかし、瑞葵はそれを並列思考なしで行ったのか……。天才ってああいうのを言うんだろうな。
「どうして立っていられる? 本気ではないにしても、十分に倒し切れた力だった。まさか!? 私の知らない奥義の書か!」
「普通の剣技の小技だ」
「あり得ない。小技や大技を受け流せることは知っている。だが、今のは奥義だぞ! 同等の奥義でもなければ防げるはずがない」
ということは、水簾の如し同時発動は奥義並みだったということだな。同時発動は二倍ではなく二乗なのかもな。教える気はないけど。
それにしても、この結果はとても夢が膨らむ。
「私の常識が崩れていくようだ……」
知らんがな。
「それより、手ほどきしてくれるんだろう?」
「そうだったな。スキルというのはアシストでしかないというのはわかっているか?」
「剣術のことか?」
「いや、おそらくだがほぼすべてのスキルに言えることだと思っている。スキルはレベルに応じて戦い方を教えてくれるだけ。それより先に行くにはスキルに頼らず地力を上げるしかない」
言っていることは俺の考えと同じだ。同じステ値の者がプチ剣術Lv1の者とプチ剣術Lv2が戦えば、何もしなければプチ剣術Lv2が必ず勝つ。そのレベルに応じた技量しか出せないからだ。
「魔法などもか?」
「そうだ。魔法はレベルに応じて魔法を覚える。覚える魔法はベーシックなものでしかない。いい例がTP上乗せだな」
なるほど。何も考えず魔法を放てばベーシックな魔法が放たれるが、本来はそこに自分のアレンジを加えられるってことか?
威力や形態変化が可能ということか?
面白いな。
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