186.最強のホルダー
「ははは、思ったより面白い子ですね。あの映像を見て、もっとジャックナイフのような者と思ってましたよ」
ジャックナイフって……どこのチンピラだよ!
「しかし、ますます一条さんが負けたのが信じられない」
「新宿中央公園の件も彼が主犯だ」
しゅ、主犯って……。犯罪も犯してねぇし、捕まってもねぇよ!
「七等呪位を一瞬で消し炭にした、あれですね。見ました。うちの隊員も驚いていましたね。いくつの魔法や技を集中するとああなるのだと」
あれの映像も流れているのかよ……。情報駄々洩れだな。
「ん? あれもちゃんと許可をもらっているぞ」
さいですか……月山さん!
「ちなみに聞くんだがどれだけの魔法と技を重ねたのかな? 言いたくなければ言わなくてもいいが」
「別に構わない。最初に強化系、そこからフレイム、風切り、雷光、ダークバレット、斬撃を連発だな。TPの上乗せはしていない。というより、あの時点ではTPの上乗せを知らなかった」
「TP上乗せなしであれほどなのか……。だが、数が合わない気がするが?」
「そこは企業秘密だ」
並列思考はレアスキルっぽいからな。並列思考を知っていたとしても、その性能までは知らないだろう。
「レアスキルかユニークスキルか?」
「ご想像にお任せする」
「どうだろう。私とランクバトルをしてみないか?」
キター!
「レベル差が127あるぞ? 今の俺では塚原さん相手では手も足も出ないが、それでもいいのか?」
「一条さんを倒したんだ。秘策の一つや二つは持っているのだろう? 現役ホルダー最強の私にどこまで通用するか試したくないかな?」
「試したい。俺が目指す、いや更に先を目指す通過点のあなたがどれほどのものか」
「通過点……言うじゃないか。神を目指すか? 面白い。リクエスト、ホルダーランクバトル」
『ホルダー10よりランク戦の要請がありました。受けますか?』
今日はこれでランク戦は打ち止め、嶋崎さんにリベンジできなかったが、それ以上の
もちろん、受けるさ!
『仮想バトルモードに移行します』
って!? どこの国の白騎士だよ!
真っ白な鎧に金糸で縁取りされた真っ白なマントを羽織り、兜の代わりか青い宝石のサークレットを着け、クリスタルの剣と若草色の盾。クリスタルの光の戦士か!?(天〇喜孝先生風)
「正直、こういうのは好きではないのだが、最初に君の持てる最大の力で攻撃してくれないか?」
舐めプは嫌いだが、俺の実力は知っておきたいということか。さすがにレベルが六倍ともなると、俺の最大攻撃でも倒せないよな。ワンチャンあるか?
秘剣はリキャストタイムが六十秒あるので連続攻撃ができない。そうなるとコンボ、ゲーム用語で技や攻撃を繰り出す効果的な組み合わせのことな。Combinationの略だな。
そのコンボを使うしかない。今できるとしたら、最大状態の秘剣→氷炎の杖のフレイム→氷嵐かな。武器を持ちかえればもう少し続けられるが、相手が黙ってそれを受けるとは思えない。
氷炎の杖の代わりに霊子ナイフでもいいかもな。一撃一撃は弱いが連続で技を放てるし命奪が発動する可能性もある。
「一撃か? それともコンボありか?」
「さすがにコンボはきついかな。おそらく君は奥義の書で奥義を覚えた口だろう? 奥義の書で覚えた奥義はシャレにならない威力だ。あれをぽんぽん使われたら私でももたない」
残念、秘剣です。
そうか、コンボは駄目か。
「わかった。それでは逝け!」
「えっ!?」
小太刀・威霙を構え、今回は上段の構えから、
身体強化! 直撃! 秘剣ソリッドスラッシュ!
仮想空間が割れ、そして元に戻っていく。このパターンは初めてだ。
ということは……。
「あ、危ねぇ、BPが三分の二持ってかれた……。おいおい、神使並みの攻撃だぞこれは。コンボありにしないでよかったわぁ……」
素が出てるな。
やはり、倒し切れないか。さすがだな。それでも三分の二は削れたか。コンボありなら逝けたか?
「奥義の書でもBP半分がせいぜい……秘剣か!?」
「正解」
どうせ、水島顧問から情報が流れるから、隠しても意味がないのでここで教えても問題がない。
しかし、奥義だと塚原さんのBPを半分くらい削れるのか。勉強になった。
「そうか、秘剣か……。君は現ホルダーで二人目の秘剣持ちだな」
「ん? 二人目? 水島顧問は数人いると言っていたが?」
「去年一人亡くなった。今年一人が引退した。去年亡くなった方が私の前のホルダー10だった」
「殉職か?」
「いや、鬼道樹臨会、民間のホルダーだ。強い人だった。だが、それでも
結局は弱かったってことだろう。
鬼道樹臨会の者にはまだ会ったことがないな。烏丸、帝都のトップはカスだったが、どうなんだろうな? そういえば、土屋陰陽会のトップにも会ってなかったな。たしか、ホルダーランク200台とか言っていたな。
民間の組織にも少しはできる奴がいるってことか?
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