172.二軍の試験七等呪位
クレシェンテに戻ってきた。
俺と水島顧問、
そして二軍連中がその匂いに触発されて何か食べたいと騒ぎ出したので、仕方なくちょっと高いほうのハンバーガー屋のドライブスルーによってテイクアウト。事務所に電話して食べる人を聞いたら瑞葵と麗華も来ていたようで全員食べるとのこと。大量買いだ。
「どうでしたの?」
「八等呪位なら問題なく倒せる。余裕過ぎて試験にならなかった」
「ほう。そこまでの実力なのか。恢斗が言っていたほかの組織のホルダーとは違うようだが?」
「そうだな。どこがどう違うかと聞かれるとわからないが、やはり全員身体強化を持っていることと、
危険を冒すことなくレベルが上がって、すべての
ほかの組織の温室育ちの促成栽培ホルダーもここまではやってもらえてはいないだろう。間違ったやり方でレベルだけ上げられる、ほかの組織の新人ホルダーは可哀そうだな。一度レベルを上げてしまったらやり直しが利かないからな。
「では、今日の夜の七等呪位狩りでは期待ができるのではなくて?」
ポテトとシェイクという至高の食べ方をしている瑞葵が言う。なぜその食べ方を知っている!?
「七等呪位と八等呪位ではまったくといっていいほど実力が違う。ただの力押しでは勝てたとしても被害が出ると思われる。だから、試験には
えぇーとブーイングの声が上がる。ダメージ管理するのも戦いの基本だ。朱珠と葵はBP回復スキルを取得済みだし、
「このフィッシュバーガーは美味しいな」
「このかき揚げをバンズの代わりにご飯で挟んだものも乙ですわよ。お姉さま」
瑞葵のその意見には賛成できない。確かに旨いのは認める。認めるがそれをライスバーガーというのは無理がある。たんなる焼きおにぎりで挟んだだけだろう!
それにしてもここのシェークは美味いな。粉っぽくないしソフトクリームをそのまま飲んでいるようだ。やはりポテトが欲しくなる。が、ここのポテトっていまいち……。素揚げのポテトは嫌いじゃないが、やはりナンバーワンチェーンのポテトが美味い。
足して二で割ればちょうどいいのにな。
明日の前乗りして泊まる宿が決まったようだ。高級ホテルに泊まるのかと思ったら、本当に高級ホテルだった……。
瑞葵と麗華は別館特別室という、そのホテルに一室しかない部屋。俺と水島顧問、月山さんと赤星さんが別館デラックス室。二軍が少し値段の下がる本館デラックス室と一人だけ本館シングル室。
俺と水島顧問の部屋には野外の露天風呂が付いている。値段は目が飛び出る、とだけ言っておこう。特に瑞葵と麗華の泊まる部屋な。そこに三日間泊まることになる。
ははは……としか言葉が出ない。ドレスコードがないというのが唯一ホッとできたところだ。
そうこうしていると、勇樹がやって来た。今日は勇樹の夏休み最後の狩り。早く終わって打ち上げでもしてやりたいところだが、どうなることやら。
今日は勇樹は二軍には加わらない。瑞葵と麗華の狩りに加わる。上手くやってほしいものだ。
夜の狩り場は代々木公園。戸山公園より七等呪位の依頼が多く出ている場所だ。代々木公園といえば明治神宮のあるところ。それなのに
今日は珍しく月山さんも同行するそうだ。
「自衛隊の合同訓練に参加するのだから、自分が所属するホルダーの実力を把握していないのはおかしいでしょう?」
とのこと。だが、素人にはちょっと刺激が強いと思うが大丈夫か?
さて、最初の狩り場に着いた。
三尾の狐 七等呪位 天狐を目指す狐の妖怪。三つの尾を持つ狐で気狐ともいう。仙術を操り、人を惑わす術を使う。
ここに来て、搦め手の得意そうな
二軍にも鑑定を持たせるべきだろうか? できれば麗華に持たせたいのだが。
悩むなぁ。
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