167.久しぶりの狩り

 場所を少し移動。


「次は瑞葵と麗華の番だ。俺はPTには加わらないが、最初は攻撃に加わる。その間に二人にはまずは筋トレを行ってもらう」


「筋トレですの?」


「身体強化スキルを覚えろということか。私に必要か? 恢斗」


 後衛の麗華がそう思うのは当然だが、覚えておいて損はない。


「確かに後衛の麗華には必要ないかもしれない。だが、身体強化を覚えるのは保険だ。いつか、その時の実力では倒せない化生モンスターが出てくるかもしれない。そうなった場合は自分の足で逃げるしかない。そのために身体強化を覚え鍛えておくべきだ」


「わかったやろう。恢斗がそう言うなら必要なのだろう」


 氷人形アイスゴーレム 七等呪位 魔界の奥の氷烈山脈で生まれた人形ゴーレム 並みの火では溶かすことは不可能。氷属性の攻撃をしてくる。その巨体から繰り出される攻撃は脅威。


 氷かちょうどいいな。瑞葵の黄麟兜と雪精の帽子を交換させる。


「可愛らしい帽子ですわね」


「黄麟兜よりBP量が上だし、氷無効が付いている。今回の化生モンスターには相性がいい」


 氷人形アイスゴーレムがただのゴーレムに成り下がる。


 麗華にも氷魔法のオーブと奇抜な靴を渡す。


「氷魔法のオーブはありがたいが、この靴を私が履く……のかい?」


「性能はいい。狩りの時だけだから我慢しろよ」


「恢斗がそこまで言うなら……履くとしよう」


「それとこれを二人に渡しておく」


 瑞葵にI 木偶人形パペットLv9と小天使リトルエンジェルLv9、麗華に草原狼グラスウルフLv9の使役化生モンスターのカードを渡す。


「その三体には身体強化を覚えさせているが、まだ前線を張れる実力にはないからな。二人で育ててくれ」


「恢斗は使わなくてよろしいの?」


「いつもの二体がいるし、今回もう一体増やすから問題ない。それと麗華の指揮棒にこれを合成してほしい」


 破綻のシタールだ。衝撃波が付いているので麗華の指揮棒にはちょうどいいと思う。これは攻撃のためでなく、万が一のためなどのけん制用だ。


 ・指揮棒+1 指揮+20 全体の士気を上げる。衝撃波 TP5 武器合成可(1/1)


 合成後こうなった。指揮が10増え衝撃波が付いた。


 最期に瑞葵にとっておきを渡す。剣技の書だ。


「これは?」


「使ってみろ」


「剣技 大技 三段突き? 面白そうですわね」


 瑞葵が獲物を見つけた時の猛禽類の目に変わる。怖ぇよ!


 瑞葵と麗華が久しぶりの狩りのため装備を確認。麗華は身体強化以外にBP回復も覚えさせるためアンクーシャを持たせる。


 二軍の使役化生モンスターのカードを集め二人に渡しておく。ついでにレベル上げしてもらう。二人PTなので一人五体まで召喚できる。二軍の戦力アップに使わせてもらう。


「では、行きますわ」


 瑞葵がバトルフィールドを展開し、使役化生モンスターを召喚。数が多いので命令も大変だ。猿猴えんこう鬼豚戦士オークウォリアー以外は待機だ。


「か、可愛いですわ!」


 瑞葵が小天使リトルエンジェルを抱きしめ頬をスリスリ。小天使リトルエンジェルは天使をデフォルメした二頭身キャラそのもの。見た目はキューピットだな。小天使リトルエンジェルが嫌がっているぞ、瑞葵。


 最初に決めていたとおり筋トレを開始。


 俺はアタッカーの猿猴えんこう良銀腐犬エリートコボルド、タンクの鬼豚戦士オークウォリアーとで氷人形アイスゴーレムの足止め。俺は忍者刀影縫いと天戒砲を持ち、使役化生モンスターのサポートに回る。


 氷人形アイスゴーレムは力が強そうだが速さは大したことがない。注意すべきは氷属性の攻撃だろう。


 鬼豚戦士オークウォリアーが上手く敵愾心ヘイトを稼ぎ、猿猴えんこうが隙を突いて三節棍で攻撃。さらに良銀腐犬エリートコボルドが追撃。


 猿猴えんこうってよく三節棍なんて武器を使いこなせるよな。俺が三節棍を使ったら、自分自身を攻撃する自信がある。


 時間が経つにつれ氷人形アイスゴーレムが力技から氷属性を織り交ぜて攻撃してくるようになる。化生モンスターにもTPには限りがあるからあまり使いたくはないのだろうが、猿猴えんこう良銀腐犬エリートコボルド鬼豚戦士オークウォリアーの動きがいいせいでそうもいってられないようだ。


 とはいっても、氷人形アイスゴーレムにほとんどダメージはない。猿猴えんこう良銀腐犬エリートコボルドの攻撃で体にヒビが入っても、氷属性の攻撃をする度にその余力で回復もしているみたいだ。攻撃と回復を同時にできる属性持ちっていいよな。まあ、弱点にもなるのだけど。


 葵がお姉さま方、頑張れ~と声援? 奇声を上げていたが、何事もなく瑞葵と麗華の筋トレも終わったようだ。


 じゃあ、そろそろ代わりますか。





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