165.二軍の実力
「そうなると、前乗りしたほうがいいわね」
クレシェンテ集合として東富士演習場までは一時間半はかかるそうだ。合同訓練開始が八時だというので、前乗りのほうが楽だな。
「それはいいとして、服装はどうする? 俺たちは私服でいいのか?」
「……聞いてみる」
さすがに戦闘服を着た中に私服は浮きすぎるだろう?
「そうなると作業着を作ったほうがいいのかしら?」
「作業服って感じのは勘弁してほしい。それを着て街中を歩くのは嫌だな。瑞葵も麗華も嫌だろう?」
「そうね。個性のない服は嫌ですわ」
「私は動きやすければそれで構わない」
「少し考えてみるわ。合同訓練には間に合わないけど」
そんな話などを終え、勇樹と二軍連中、赤星さんを呼び、事情を説明。
「僕は行けないんですね……」
「諦めろ。向こうだって高校生が来たら対応に困る。来週から高校も始まるしな。今週の水曜までで、当分はホルダー休業だ」
それでもこの夏休み中に七体の七等呪位を狩っている。結構な額を稼いだことになる。まあ、勇樹の場合はその一部しかもらえないようだが、残りは勇樹に内緒で勇樹の知らない通帳に貯金されるらしい。高校生が好き勝手に金を使えたら腐るからな。
「健志たちは参加で問題ないな?」
昌輝も派遣会社を辞めてホルダー稼業一本になった。そのほかは元々フリーターや自宅警備員だから問題ないと思っている。
「宿泊費とかはどうなるのでしょうか?」
「交通費、宿泊費は全額うちで持ちます。出張費、日当もちゃんと出るので安心して。ちゃんと契約した後だけどね」
金のない葵には切実な質問だな。その辺は月山さんにお任せ。二軍三人に前払いしたことも言ってある。
それでは今夜の狩り場の選定をしよう。
車が用意できないので近場で三体選ばないといけない。依頼がない七等呪位でもいいので探してみる。
先週まで狩りをしていた戸山公園とは別の場所に戸山公園大久保地区というのがある。そこも七等呪位が多いな。今日、明日はここでいいだろう。六か所ボタンをポチっと押す。
わいわいがやがやとおしゃべりをしている全員に、今日明日の狩り場の説明。瑞葵も麗華も二軍に混ざって話をしていて、雰囲気も悪くないようだから安心した。
水曜の狩り場は星野さんたちのほうで考えてもらう。今日のサポートは赤星さんだけ。それと水島顧問がついてくる。二軍がどれだけ戦えるかの状況を見たいそうだ。
俺もずっと二軍のサポートをしているわけにもいかない。メインは瑞葵と麗華のレベル上げなのだからな。
一度、試験をして問題なければ、今週以降は勇樹抜きの二軍だけで狩りをしてもらう。
十九時近くに移動を開始。いつも以上の人数での移動、正直うるさい。特に健志、昌輝、陸が妙にやる気を見せている。瑞葵と麗華にいいところを見せたいようだ。
朱珠と葵は女性同士ということもあり、瑞葵、麗華、赤星さんとのおしゃべりで姦しい。勇樹は水島顧問に戦い方のコツなどを聞いている。
俺は最後尾を歩いている。決してぼっちじゃないからな!
戸山公園大久保地区に着いた。
地獄の門柱 七等呪位 地獄の巨大な門を守る門柱。開け放たれた門の左右に建っており、左右六面に付いた目で地獄に来る者を威圧し見張る。
六角形の二本の柱が立っている。その柱の面すべてに大きな目がある。不気味な
「最初は健志たちだ。準備しろ。それと勇樹の
「えっ!? ぼ、僕のバリーをですか!」
こいつ、
「そう、そのバリーを朱珠の専属にする」
「そ、そんなぁ……」
「勇樹が自分のカードを持つのは高校卒業してからだ」
「す、すみません。大事に使わせてもらいます」
これで二軍全員が
「よし、行ってこい。朱珠と葵は回復を優先させろ」
健志がバトルフィールドを展開し、全員が
そういえば、陸に一度最強大ハンマーの大槌・火柱を使わせたが、やはり使い難いと返してきた。せっかくの最強武器もお蔵入りだ。誰も使う奴がいないのでオークションに出そうか? 攻撃力は申し分ないが両手持ちってのがなぁ。
今のところ両手持ちの武器を持っているのは勇樹だけ。ほかの男性陣は盾を持ったほうが安心できるそうだ。まあ、仕方がない。
「思った以上に戦えているな」
「全員、いや
「それほどのものなのかしら?」
それほどのものだ。持っているといないでは戦いが全然違う。
「ステ値が上がれば上がるほど、その有用性が際立つ。瑞葵だと身体強化を使えばレベルが一上昇したステ値になる。結構な恩恵だぞ?」
「二軍は全員覚えているのかな? 恢斗」
「覚えている。いや、覚えさせた。瑞葵と麗華にも覚えさせるから安心しろ」
「そ、そうか。お手柔らかに頼むよ」
任せておけ!
今のところ、
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