164.合同訓練賛否
二軍に関しては月山さんに任せよう。後日改めて集めて給料や就業規則、契約について話をするそうだからな。
「ホルダー交流会で知り合った水島顧問の元部下の嶋崎さんから、ホルダーの合同訓練に誘われている。水島顧問、説明を頼む」
「自衛隊のホルダー部隊は年に二回、全ホルダー隊員を集めて合同訓練を行っている。そこに我々クレシェンテに一緒に参加してはどうかと連絡があった。今週の金曜、土曜がその訓練になるので、できれば今日中に回答したい」
「その訓練に参加するメリットはなんですの?」
「クレシェンテ以外のホルダーの実力が見れる。そしてどういう訓練をしているか、どういう連携を取って戦っているのか勉強になることは多い。ほかのホルダーとも交流をもてる。上手くいけば、今後協力体制を築くことも可能だろう。組織としても悪い話ではないと思う」
まあ、実際に役に立つかは別として、どういう訓練をしているのかを知ることは為になるかもしれない。協力体制というのはどうメリットがあるのかは俺にはわからない。そういうのは、麗華や月山さんの管轄だ。
「では、デメリットは何かあるだろうか? 今回参加するのはクレシェンテだけなのかな? それと、なぜ新興の我々が呼ばれたのだろうか?」
「そうだな、強いてデメリットを言うなら、自衛隊のホルダー部隊は自衛隊員ではあるが、管轄はホルダー管理対策室の直下となる。そのせいで頭の固い上層部の連中からは、いい目では見られないことだろうか」
だが、ホルダー管理対策室って総理の直下の組織だよな? 内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を有すると法律に定められているのだから、同じ直下同士ってことじゃないのか? こういう、醜い権力争いってよくわからん。
「今回の訓練に参加するのはクレシェンテだけだ。ほかの組織が訓練に参加するのは異例のことだ。おそらく今回が初めてだろう。呼ばれた理由は、クレシェンテがどこの派閥にも属していないということも一つの理由だが、一番は風速くん個人に対して興味を抱いたからだろうな」
「恢斗のおまけということかしら? それは不愉快ですわ」
「ホルダーになって半年も経たず、守護から実力を認められた。ほかの組織も躍起になって、風速くんについての情報を集めていると聞いている。興味を持つなというほうが難しいだろう」
「で、どうする? 俺は誰も参加しなくても参加するつもりだ。ランク上位のホルダーも来るというしな、会ってみたい」
正直、訓練よりそちらのほうに興味がある。レベルが上がり秘剣を覚えた今、嶋崎さんには勝てると踏んでいる。そして、その嶋崎さんより強い神将のホルダーの実力とは、どれほどのものか興味が尽きない。
「訓練は二日間のようだが、スケジュールはどうなっているんだい?」
「一日目は東富士演習場での訓練。二日目が富士箱根伊豆国立公園、というより青木ヶ原樹海と言ったほうがわかりやすいかな。その樹海での実地訓練となる」
青木ヶ原樹海ねぇ。静岡の富士山に
「宿泊などはどうするのです? 水島顧問」
月山さんらしい質問だな。
「演習場の施設が使える。それが嫌であれば、次の日の実地訓練に間に合うなら好きな場所に泊まてもらっても構わない」
俺はどちらでも構わない。逆に自衛隊の施設に興味があるくらいだ。
「最終日は御殿場市で打ち上げがあるから、それも参加してほしいそうだ。そちらはホテルを用意すると言っている」
意外と至れり尽くせりだな。ホルダー管理対策室の差し金か?
「うーん。悪い話でないように感じる。私は賛成かな」
「お姉さまが賛成なら私も賛成ですわ」
「なら、参加でいいかしら?」
「勇樹と二軍連中はどうする? 勇樹は高校生だぞ?」
八月の月末なので夏休みも終わりだろう。
「そうね。さすがに勇樹くんは連れて行けないわね。そうなると、一軍、二軍、水島顧問と私ね。赤星が大型免許を持っているからバスを借りようかしら? 富士箱根伊豆国立公園なら御殿場市にホテルを取ってもいいわね」
さすが、元自衛隊の赤星さん。大型免許まで持っているのか。
これで移動の問題も解決だな。
猫(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ猫
ホルダー戦記と違いおれおれ主人公ではない、のほほん主人公の下記、現代ファンタジー小説も楽しんでいただければ幸いですにゃ!
スメラミクニラビリンス~月読命に加護をもらいましたがうさぎ師匠には敵いません~
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