157.モンスターも筋トレ

 戸山公園北側のアスレチック広場に来た。


 そこにいたのは不死徒弟リッチ・アプレンティス。こいつも二度目だ。それも、強敵だ。こいつの自爆攻撃はヤバい。今の二軍連中だと、あの自爆技を喰らうと大怪我するかもしれない。


 どうする? 俺が先にやるか? それともアンクーシャを誰かに持たせるか?


 不死徒弟リッチ・アプレンティスは確かに強敵だが、倒すには簡単だ。それに実際に戦うのは筋トレが終わってからだ。


 その間は使役化生モンスターに戦わせておけばいい。骸骨戦士スケルトンウォリアーも復活している。


 そして、全員に初級ポーションを持たせよう。止めを刺す時に全員で投げつければいい。怯んだところで袋叩きだ。


 アンクーシャはもしもの時のために、俺が持っておいたほうがいいな。


 よし、これで行こう。


「今、あそこにいる化生モンスター不死徒弟リッチ・アプレンティスというだが、あいつは自ダメージが蓄積すると自爆攻撃を使ってくる。正直、強敵だ。だが、アンデッド系の化生モンスターには絶対的な弱点がある。聖属性の攻撃と回復薬だ」


「ゲームの法則ですね。わかります」


 昌輝はさもありなんって顔だな。葵はなぜかしてやったりといった顔をしている。


「なので全員に初級回復薬を渡しておく。止めを刺す時に全員で投げつけろ。もう一本は予備で持っておけ」


 ということで、ショップから初級回復薬を買い、全員に二本ずつ渡す。


 今回は五人PTなので一人当たり使役化生モンスターは二体召喚できる。なので、今回は朱珠に不死の指輪を持たせる。


 葵には猿猴えんこうのカードを持っているので、銀腐犬コボルドのカードを追加で持たせる。健志と昌輝、陸に小妖精鬼ゴブリン空腹狼ハングリーウルフ鬼豚オークをそれぞれ持たせた。


「よし、始めるぞ。バトルフィールドを展開しろ」


「よっしゃ! 俺がやるぜ! バトルフィールド展開!」


 健志がやったが、大声出すなよ……。まだ、言ってなかったな。後で言っておこう。


 バトルフィールドが展開され、全員が使役化生モンスターを召喚する。これだけいると壮観だな。


 骸骨戦士スケルトンウォリアーにダークシールドとアイスシールド、骸骨魔術師スケルトンウィザードに暗黒神のメダル、猿猴えんこうに俺の黒羽の鎧と風祈りの錫杖を渡す。これでこの三体は闇耐性以上を持ったことになる。


骸骨戦士スケルトンウォリアー骸骨魔術師スケルトンウィザード猿猴えんこうは攻撃。残りはお前たちと一緒に筋トレさせろ」


「えーと、アニキ。俺の狼はどうすればいいのでしょう?」


 そういえば昌輝の使役化生モンスター空腹狼ハングリーウルフだったな……。



「き、気合でやらせろ!」


 全員がこいつなに言ってんだみたいな顔をしているが、気合でやるしかないんだよ! 取りあえず、やってみろ!


「りょ、了解。気合で筋トレをやれ!」


 空腹狼ハングリーウルフは困った顔をしながら腕立て伏せを始める。


 できるじゃないか!


「よし、お前たちも筋トレ開始だ!」


「……アニキ、俺は?」


 そういえば、陸は身体強化を覚えたな。


「陸は身体強化を使いながら、ひたすら剣を振れ。ちゃんと考えながらだぞ」


「……了解」


 骸骨戦士スケルトンウォリアー骸骨魔術師スケルトンウィザード猿猴えんこう不死徒弟リッチ・アプレンティスに対し上手い立ち回りをしている。


 タンク役の骸骨戦士スケルトンウォリアーがいるので安定した戦いができてる。


 不死徒弟リッチ・アプレンティスの魔法攻撃を骸骨戦士スケルトンウォリアーをダークシールドでいなし、骸骨魔術師スケルトンウィザードが土魔法で、猿猴えんこうが風祈りの錫杖で攻撃。この二体が敵愾心ヘイトを稼いでも、すぐに骸骨戦士スケルトンウォリアーが挑発を使って敵愾心ヘイトを変える。


 これぞ、PT《パーティー》戦の鏡って感じだ。録画しておけばいい教材になったのにな、残念。


 不死徒弟リッチ・アプレンティスは闇魔法だけでなく火魔法も使ってくるので、使役化生モンスターにダメージが蓄積していく。まだ、筋トレが終わっていないので、加速を使って三体のBPを回復させてやる。


 今回も葵を残して筋トレが終わったので、三人は投擲の訓練に移る。筋トレしていた使役化生モンスターはそのまま続けさせる。空腹狼ハングリーウルフはちゃんと腹筋もできているし、スクワットも二足歩行の立った状態で出来ている。器用だな。


 それに比べ、自宅警備員の葵は……。


「ふぇぇぇ~~」


 投擲組が石を投げ終わった頃にやっと筋トレ三セットが終了。やはり、ジムに通わせる必要がありそうだ。


 月山さんに相談だな。








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