150.今後の説明

 ファミレスに来ている。角席とその隣のテーブルを占拠している。大所帯だから仕方がない。


 本当はファミレスじゃなくてほかの店に行きたかったのだが、多数決でこうなった。ファミレス、嫌いじゃないぞ? だが、今日は飲みたい気分だったのだ。まあ、ファミレスにもアルコール類があるから我慢した。


 各々、タブレットとにらめっこしてメニューを選択。最後にタブレットが回ってきた俺がビールとつまみになるものを選択し注文。


 注文数が四十を超えている!? 一人当たり五品以上頼んでいる計算だ。勇樹と葵以外はビールだな。二人はまだ未成年だからドリンクバーだ。


 飲み物はすぐに来た。取りあえず、本日の狩りが無事に終わったことに乾杯!


 そして、酔う前に明日からの予定を説明。俺の夏休みが終わるまでは、二軍の狩りに付き合う予定。基本、日曜日は休み。ほかの日も休みたいときは事前に連絡。来週からはクレシェンテの夏休みも終わるので、ほかのメンバーに紹介、そして契約を行うことを説明した。


 全員と電話番号、アドレス交換もしておく。


 そして、葵から給料に関して質問がある。狩りの時に説明すると言ったからな。


「クレシェンテはホワイトな会社だからな、一応最低賃金は補償する。この補償は事情により狩りに出られなかったなどの場合に支払われる給与となる。基本、狩りに出て最低賃金を上回った場合はこの限りではない」


 健志などはよくわかっていない顔だな。


「クレシェンテのホルダーになり、仕事をした場合は歩合制。要するに成果報酬型の給与形態になる。だが、何らかの事情で最低賃金を下回った場合は、その下回った分をクレシェンテで補償して支払ってくれるということだ」


「それって、働かなくても給与がもらえるってことですか?」


 目を輝かせて聞いてくる葵。この自宅警備員がよからぬことを考えていることは見え見えだ。


「極端に言えばそういうことだ。だが、さっきも言ったが何かしらの事情がある場合だ」


「何かしらの事情とは?」


 昌輝が真面目に聞いてくる。


「ホルダーは危険と隣り合わせだ。怪我などをすることもないとはいえない。怪我だけでなく病気で休むってこともあるだろう? だが安心しろ。給与を補償するだけでなく、うちは雪乃製薬と提携しているから系列の大病院に入院できるぞ」


 みんな微妙な顔をしている。小さな病院より大病院のほうが安心できると思うのだが?


「まあそれはさておき、今日の収支を計算してやろう。今回討伐した七等呪位は討伐依頼の懸った化生モンスターだ。依頼達成で五百万支払われる。その辺の詳しいことは今度説明する」


「「「ご、五百万……」


「「……」」


 声にならない奴もいるな。


「そこから三割がクレシェンテ、残り七割を頭数で割った金額が取り分となる。もちろん、そこから税金などは引かれるからな。そうなると……俺の分は抜きとして勇樹と合わせて六人だから、所得税を抜いて一人当たり約四十六万くらいにはなるな。だが、クレシェンテに所属すれば、そこから保険なども引かれると思ってくれ」


「「「よ、四十六万……」」」


「「……」」


「言っとくが今日一日だけの金額だぞ」


「「「「「……」」」」」


 今度は全員が声が出ないようだ。


 そういう話をしていると、続々と料理が運ばれてくる。凄いな二つのテーブルが料理で埋め尽くされている。ほかのお客さんもびっくりした顔でこちらを眺めている。許可なく写真を撮っている奴らもいる。非常識な奴らだ。玉を潰してやろうか。


 これで、瑞葵と麗華もいたら注目の的だな。いなくてよかった。食べるように促して話を続ける。


「今日から月末まではこんな感じになる。だがこれはボーナスだと思え。今のお前たちは戦力外で役に立たない。俺がいるからできることだ。お前たちだけなら七等呪位を狩ることは無理だ。死んでもいいなら止めはしないがな」


 勇樹がいればなんとかなると思うが、夏休みが終われば勇樹は学校がある。また長い休みに入るまではホルダー休業だ。その間にどれだけこいつらを鍛えられるかな?


「お前たちがちゃんと戦えるようになるまでは面倒をみる。その後はお前たちで考えて、身の丈に合った化生モンスターを狩ることになる。金を取るか、命を大事にするかは自由だ」


 十等呪位で十万、九等呪位で三十万、八等呪位で二百万となることも教えた。こう見ると七等呪位の依頼料って破格に見えるな。それだけ狩る者がいないってことだ。まあ、命の対価としてはどうかと思うが。


 こいつらだと相当強くならないと七等呪位を倒すのは無理。八等呪位がせいぜいだろう。俺がLV0の時に八等呪位を倒せたのだから、こいつらがLV20になった時のステ値と同じくらい。それが五人もいるなら余裕か? 武器防具で補強してやれば更に問題なく狩れそうだな。


「ドロップアイテムの所有権はどうなりますか?」


 朱珠はいいところに気づいたな。この話はしっかりとしておかないといけない。


 それと、こいつら一回ないし二回は化生モンスターと戦っている。その時はどうしていたんだ? リュウに全部没収されていたのか? だから聞いてきたのかも。後で聞く必要があるな。


「ドロップアイテムはすべて提出。武器防具以外のアイテムはほとんど錬成用のアイテムで、錬成スキルを持たない者には価値がない。うちでも今後錬成を行っていく予定であるので、ショップで売られるのは困る。なので、代わりにボーナスに反映させる」


 ハイランクキラーが育っていない状況だからたいした量はドロップしていないだろうが、リアルラックが良ければ十万円分くらいのはアイテムを得ているかも。


 だとしても、それをショップに売られるのはもったいない。


 錬成アイテムがどう化けるのかわからないからな。




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