144.選択の自由

 さすがにここまで説明して残った連中なので、全員真剣な表情をしている。


 なので、更に詳しくホルダーのことや化生モンスターについて説明を加える。ついでに、クレシェンテ以外の組織についてもだ。もし、うちが嫌ならほかの組織を紹介してもいい。


「うちが嫌なら、警察官や自衛官を目指すというのもありだぞ。ホルダーを管理しているホルダー管理対策室直下の部隊がある」


 表の職業としても名乗っても問題ないだろう。何人かが興味を示しているな。


「では、最後の質問をしよう。クレシェンテで働きたいと思うものは挙手してくれ」


 六人が手を上げた。正直もう少しいるかと思った。自衛隊などのことを言ったのが不味かったか?


 残りの九人に話を聞くと、やはり五人が自衛隊と警察に興味を持ったようだ。残りの四人はアウトサイダー希望だそうだ。


 うちを希望した六人は少しの間待っていてもらう。


 自衛隊と警察希望は水島顧問が担当で説明。アウトサイダー希望連中は俺が担当で説明を行う。


 アウトサイダー希望の四人はヤンキー仲間。組織に入らず、仲間だけで成り上がりたいらしい。成り上がるって……何になるつもりなのだろう? まあ、いいか。


 成り上がるにしても、お金は必要。なので、化生モンスター討伐後のホルダー管理対策室への申請は、クレシェンテでしてやると言っておく。貴重なアイテムが出たらオークションにも掛けてもやる。うちで交渉して買い取ってもいい。


 もちろん手数料は取るが、SHAAシャアズのようにぼったくりはしないとちゃんと言っておく。代わりに錬成用のアイテムをすべてクレシェンテに売るという条件を付けた。彼らとしてはショップに売っても、クレシェンテに売っても同じなので承諾。


 後日、契約書を交わす約束をして帰した。


 水島顧問のほうの説明も終わったようだ。自衛官に比べ警察官のほうが試験は難しいだろうな。だが、ホルダーの場合紹介状がもらえるらしい。そういうのあるんだな。ホルダー不足だから意外と有効なのかもな。


 こっちも後日再度相談ということで帰っていった。


 さて、クレシェンテで働きたいという六人だが、まずは昼飯だな。もう十三時を過ぎている。ピザでも頼むか。シーフードとクォーターのLサイズにフライドポテト盛りを三つ頼んだ。飲み物は近くのコンビニで買ってきた。ピザにはコーラでしょう!


 この中には留置所にいたやつもいるので、大変喜んで食べていた。ジャンキーな食べ物って中毒性があるからな。食べれないとなると、なぜか無性に食べたくなるんだよな。


 水島顧問はあまり手を付けていないな。年齢的に重すぎたか?


 食べ終わったところで自己紹介をしてもらう。


 草刈健志くさかりけんじ Lv1 23歳 見たまんま目付きの悪いオールバック茶髪のヤンキーだな。スカジャンがに合いそうだ。身長は俺と同じくらい180cmくらいか。


 真野朱珠まのあけみ Lv1 21歳 健志の彼女らしいが、レディースとかには見えず、化粧も普通。あまりにも普通すぎて健志には似合わないな。


 遠野昌輝とおのまさてる Lv1 20歳 プログラマー派遣社員らしい。草食系のメガネ男子だが、この中で一番背が高い190cm近くはあるだろう。


 上泉陸かみいずみりく Lv2 23歳 建設業アルバイト、所謂日雇い。剣道二段、空手初段持ち。現在も新陰流の道場に通っているそうだ。170cm半ばの細マッチョ。目が開いているのかわからないほど細いな。


 立花葵たちばなあおい Lv2 19歳 短大卒後、家事手伝いをしている、所謂自宅警備員。コミケ会場でスカウトされたそうだ。見た目は可愛らしいが、そこはかとなく腐臭を感じる……。


 那須大河なすたいが Lv2 17歳 高校二年生 聞けば意外と有名な進学校に通っていった。部活は弓道部で部長らしい。すでに初段を持っているそうだ。勇樹とは正反対に位置するキリっとしたイケメン男子だな。



 健志、朱珠、遠野昌輝とおのまさてるはリュウと一緒にいた連中だ。


 うーん。五人は問題ないな。問題があるのは那須大河なすたいが高校二年生だな。


「那須は高校卒業してからだな。それまでは保留だ。そして、勝手にレベル上げをしたら、不採用とする」


「どうしてですか?」


 そう言うよな。だが、駄目なものは駄目なんだ。


「これは秘匿される情報だから詳しくは話せないが、その辺のホルダーより強くなるための方法がある。だから、勝手にそれを無視してレベル上げするような奴は、うちには必要ない」


「ほかのホルダーより強くなれる?」


「そうだ。いろいろと条件はあるが、間違いなく強くなれる。だから、あと一年半我慢しろ。そこで、まだクレシェンテに入りたいというなら鍛えてやる。あー、大学には行ってもいいぞ」


「わかりました。お願いします。それと、都内の大学志望です」


 じゃあ、問題ないな。


「それでほかの五人はうちに入るってことでいいのか? すぐに決めろとは言わないぞ?」


「問題ありません。アニキ」


「健志がいいなら」


「すぐに今の仕事を辞めます」


「強くなりたい」


「正義の味方に憧れていました!」


 アニキって誰よ? 健志のほうが年上だろうが。それと瑞葵と麗華の同類がいるな。魔法少女に憧れていたくちか?


「いいだろう。お前たちがやる気なら今日から鍛えるが?」


「「「「「お願します!」」」」」


 一度、帰ってから十七時にクレシェンテに来るように言うと、三時間しかないのでこのまま行くと言っている。


 まあ、いいか。


 このまま連れていってスキルと装備の確認をしよう。






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