135.ホワイトな職場
今日は土曜日。錦糸町でフリーマーケットが開催されている。残念ながら、骨董品の市はやっていない。代わりに結構大規模なフリーマーケットのようだ。
ただ、錦糸町は新宿の反対側なので移動が面倒。フリーマーケット会場に着くと遠くにスカイツリーが見える。スカイツリーって行ったことがないんだよなぁ。
夏休みだけあって人の入りが凄い。ちょっと人混みに酔いそう。天気が良いせいで日差しが強く暑いせいもある。日射病と熱中症に注意しながら見て回ろう。
なかなか、掘り出しものが見つからない。学術書みたいのが売値五百円で価値が二十万というのを見つけたが、買うか悩んでいる。買ってもどこで売ればいいのだろうか? 取りあえず、五百円なので値切って四百円で買った。
その後も誰のサインかわからないが、そこそこの価値のあるサイン色紙、ミニカーセット、ソフビの怪獣人形などを手に入れた。今回は不作だな。
唯一、ジャズのレコードで価値三十万というのを見つけたので買った。この頃よくお世話になっている、大学近くのジャズ喫茶のマスターにプレゼントしようと思う。
それから一つだけホルダーを見つけた。革製のシガーケース。ベルトに付けるタイプだ。小さいので目立たなくいいかも。
昼を過ぎたのでそろそろ撤退しよう。昼飯を食べてからクレシェンテに向かうか。どこで食べるかな?
スマホで店を探す。ここがいいな。ぼっちなグルメで出てきたお店だ。純レバ丼というのが旨いらしい。
行ってみたら、まんまラーメン屋だ。ラーメン屋なのにラーメンを頼まず純レバ丼とお薦めの餃子を頼む。
少し待つと、でーんと登場。ほう、これはこれは凄いな。甘辛レバーの上に大量のネギが載るどんぶり。これはビールでしょう!
大瓶ビール633mlを追加で注文。気道確保して一気に呷る。633は大人の義務教育というのは間違いない。ちなみに小学六年、中学三年、高校三年に掛けたことらしい。旨いねぇ~。
いやぁ~。旨かった。美味かったでなく旨かっただ。
両国まで歩き地下鉄に乗りクレシェンテに向かう。
「昨日も大変だったみたいね」
そのもってのはなんですかねぇ? 月山さん。
「お土産です」
「また、もらってきたのね……」
ちょうど、三時のおやつ時。みなさんとお茶を飲みつつ昨日の話をする。
「大陸の工作員とはな……。相手は間違いなくダークホルダーだ。厄介な相手だ」
「面倒事にならないといいけど……」
アウトサイダーの中で犯罪に手を染めている者たちがダークホルダー。闇組織として活動している者たちもいれば、フリーで活動している者もいる。
闇組織として活動しているのは反社会勢力、所謂ヤクザや左派右派の抗議団体が母体となっている場合が多い。おそらくだが、大陸の工作員であるリュウは左派の協力を得て活動していたと思われる。
まともな連中ではないのは明らか。あまり関わりたくない連中である。
まあ、なるようにしかならないから考えない。何かあったらその時に考える。
「それより、ホルダーを増やしていいですか?」
「さっき言っていた子たちのことね?」
「十八人+αってところですかね。話をして、面接して、十人くらい雇えればいいかなって思ってます」
「採算が取れるかしら?」
そこなんだよなぁ。瑞葵や麗華は収入とか気にしていないからまだいいけど、俺も含めてほかのホルダーは生活してくお金が必要だ。
最初は厳しいだろうな。だが、波に乗れば問題なく稼げるようになる。それに錬成も出来るようになれば、また違ってくるかもしれない。
ホルダーの適合率、能力によって平均的に振り分けし班分けするか、或いは能力の高い者同士を組ませて高位の
「まあ、捕らぬ狸の皮算用でしょう。実際に雇えたら考えましょう」
「そうね。一人も雇えない可能性もあるわね」
それはないと思うが、その時はしょうがない。また、ほかを探すしかない。
「アウトサイダーは扱いずらい。一応、
アウトサイダーがホルダーとして生計を立てようとすれば、副業程度ならまだしも相当大変だと思う。
一人で十等呪位を倒せたとして、ドロップアイテムを全部ショップで売ったとして20000Pくらい、九等呪位で40000Pくらい。複数人なら倒しやすくなり各々にアイテムドロップが出るのでいいのだが、アウトサイダーだと頭数をそろえるのが大変だ。
依頼料目当てで
そりゃあ、半グレにもなるわな。
その点、うちはもちろん上前を撥ねるが、福利厚生がしっかりとしているホワイトな職場。最低賃金は保証しているし、成果次第ではいくらでも稼げる。
これ以上ないくらいのホルダーの働き場だと思うけどな。
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