125.妹
「なあ、
「うーん。将来は図書館司書になりたいから、大学か短大に行きたいんだよねぇ。でも、父さんたちに迷惑かけるのもなぁって」
我が妹ながら出来た子だ。親のすねを齧って県外の大学に通っている俺とは大違いだな。
「東京の大学に来る気はないか?」
「無理だよ……。それこそお父さんたちに迷惑かけちゃう」
「俺は大学卒業後は昼間に行ったクレシェンテに就職が決まっているんだ。今でもそれなりに稼いでいるから、
「それ本当?」
今回、前払いしてもらった給料は二百万を超えている。オークションの代金はまだの状態でだ。来月の給料はそれ以上なのは間違いない。
「冬までには新しい場所に引っ越す予定も立てている。親父たちにはまだ言ってないけどな」
「じゃあ、2LDKくらいの部屋を借りようよ! そうすれば、私も一緒に住めるじゃん!」
「まあ、それはいいが、まずは志望校を決めろよ。じゃないと通うのが大変になるぞ」
「お兄ちゃんと同じ大学でいいんじゃない? おそらく偏差値的には届いているはず」
受験生の癖にぷらぷら遊んでいる割に勉強しているんだな。
「文学部あたりか?」
「そうだね。外国語科辺りがいいな」
「いいんじゃないか」
「考えてみる」
妹のホルダーの才能は惜しい。この才能を活かさずしてどうする。俺が直々に英才教育を施してやろうではないか。東京が嫌なら宮城で活動したっていい。クレシェンテ宮城支部を作ればいいのだ。
まあ、その前にホルダーを増やさないと駄目だけどな。
次の日は妹に付き合って東京観光という名の買い物。俺はたんなる荷物持ちだ。東京に住んでいるとはいえ、俺は東京観光などしたことがない。下手したら、ネットで調べた妹より、東京音痴かもしれない。
三日目は
「お兄ちゃん、お腹空いた~」
「こんにちは~、お兄さん」
「お久しぶりです。お兄さん」
どうやら、昼飯をたかりに来たようだな。仕方がない。というか、こうなることは予想していた。去年もそうだったからな。
「久しぶりだね。まあ、上がってよ」
コップとジュースを出してやり、休んでいてもらっている間に少し部屋を出る。近くをブラブラしてから部屋に戻る前に、交流会でもらった料理とお寿司二つを出してから部屋に入る。
今時の女子高生がどのくらい食べるのかわからないので、お寿司は二つ出した。およそ十人前くらいの量になるから足りなくなることはないだろう。
「お待たせ」
テーブルの上に載せると歓声が上がる。なんといってもお寿司だ。それも職人さんが握った機械で握ったお寿司とは違う天然もの? だからな。ネタも天然高級魚ぞろい。ウニ、アワビの高級ネタももちろんある。
「お、お兄ちゃん、奮発したね……」
「お寿司だー!」
「お財布、大丈夫ですか?」
気にするな、タダだ。お寿司だけじゃない。料理のほうも普段食べたことがない料理が並ぶ。フォアグラ、キャビア、トリュフと世界三大珍味を網羅している。
さあ、好きなだけ食べるがよい!
「「「いただきま~す!」」」
嬉しそうに食べる
女子高生、恐るべし!
ちなみに、俺はまだ一口も手を付けていない。女子高生フードファイターをただただ唖然と見ているだけ。
そんな
「ぶふっ!?」
「ちょっと、お兄ちゃん汚い!」
「急いで飲むからだよ~?」
「大丈夫ですか?」
我が妹ながら、持っているなぁ……。友達二人ともホルダー適合者かよ。それも150%超え。
望んでやまない人材がここに三人もいる。正直、すぐにでもスカウトしたいくらいだ。
人生とはままならないものだ……。
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