122.守護の実力
「四日に一回はレベルが上がった計算になるんだぞ。どれだけの
「そんなには倒していないぞ? ずっと言っているが、俺は七等呪位をメインで狩っている。それ以下はほとんど狩っていない。七等呪位なら一体狩れば間違いなくレベルは上がる。最初にレベルが上がった八等呪位以外は七等呪位でレベルが上がったから、十七体+αくらいだ」
「冗談にしか聞こえない……。だが、それだけギリギリでの場数を踏めばここまで強くなるのか?」
どうだろうな。俺は適合チートだからな。
まあ、それでも手緩いホルダーに比べたら、強くなることは間違いない。適合率が低くてステ値が低くてもハイランクキラーが伸びればドロップアイテムが増える。
そうなれば武器防具もドロップする率が増える。ステ値が低い分を優秀な武器防具で補えばいい。それに七等呪位を倒せば特殊アイテムももらえる。運が良ければスキルが手に入る。
元の適合率が低いとどうしても適合率が高いものと比べれば、ステ値に差が出てしまうのはしょうがない。それでも手緩いホルダーに比べれば適合率は上がっていく、将来的にはそこそこの強さにはなれるだろう。
「才能はある。だが、知識が足りない。せっかく水島さんがいるのになぜ活用しない」
「水島顧問を雇ったのは二週間前だ。無理だろう。それにあの人PC使えないから、筆記で資料作成しているんだぞ。ほとんど進んでいないのが現状だ」
「そ、そうだったな、あの人機械音痴だった……。すまない」
いや、あなたに謝られても困るんだが……。
「お詫びに一つ助言をしよう。君の言うとおりホルダーが組織化され昔に比べれば実力は落ちているのかもしれない。だが、組織化されたことで、ホルダーについて研究がされ多くのことがわかり、それが継承されるようになった」
「それはわかる。だが、その多くのことがその組織で秘匿されているんだろう?」
「確かにそのとおりだ。だとしても、ホルダーの力となるものがいくつも共有されている。その一つがTPの使い方だ」
TPの使い方? なんだそれ?
「今教えるのはTPの上乗せと、TPによる魔法のキャンセルだ」
今まで、魔法を使う時はその必要TPだけを使っていたが、そこに更にTPを上乗せすることで威力が変わるそうだ。
「ただし、非効率だ。TPを倍上乗せしたら威力も倍とはならない。魔法にもよるが、倍上乗せして五割増しってところだな」
魔法を二回使って攻撃するか、一撃必殺を狙って上乗せするかってところだ。TPに余裕があるホルダーでなければ使えない技だ。
「我々、自衛隊でレベルアップ時にはTPに多く振るように教えられている。知っているかもしれないが、TPが切れると動けなくなる。少しの時間の硬直でも、それが致命的になる恐れがあるからだ」
それは理解できる。だが、それも適合率が低い弊害でもある。適合率が高ければ、それほど気にすることではない。TPが増える装備品もあるしな。
「TPでの魔法キャンセルは簡単だ。一定のTPを魔法にぶつければ相殺される。さっきやったようにな」
TPをぶつけるってのがよくわからないが理解はした。俺が気づいた魔法に魔法をぶつけると相殺されるのも同じことだろう。これは良いことを聞いた。TPの使い方はおいおい検証してみよう。
「俺なんかに教えてよかったのか?」
「構わんよ。別に秘匿されているものではない。どうせ、水島顧問からいずれ教えられるだろうからな」
ホルダーの一般常識ってところか。一般常識ってのも侮れないな。水島顧問の資料整理を急がせよう。ほかにも有用な知識があるだろうからな。
「さて、助言はこんなところでいいだろう。続きを始めようか」
嶋崎さんが手をこちらに向けると、火の玉が放たれる。助言は終わりと言っていたが、実地訓練をしてくれるようだ。
ならば、サンダーバレットで迎撃だ。空中で火の玉にサンダーバレットがぶつかるが消えない。一発で駄目なら連発だ。三発目で火の玉が消えた。
「おいおい、なんだ今のは!?」
サンダーバレットはTP4が必要だから12使用して火の玉が消えた。火の玉がTP12前後の使用量だったのか、あるいはその半分、またはその倍ってのも考えられる。属性なんかも絡んでくるともっと複雑になりそうだ。
ただぶつければいいわけじゃなさそうだ。その辺も検証が必要だ。それがわかれば、こちらが放つ魔法で相手の魔法を押し切ってダメージを与えることができるかもしれない。
「どこに驚く要素がある。魔法で魔法を相殺できるのは俺も気づいていた。それに、自分でTPをぶつけ相殺するて言っていただろう? 原理は同じこと、知らなかったのか?」
「知らなかった。私の常識が砂で出来た城のように崩れていく気分だ。これが風雲児の実力か……」
その風雲児ってのやめてくれません?
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