109.隠し玉

 宿すってのは属性ではなく魔法ってことか?


 堕罪の剣を持って闇属性と念じてみる。


 銀色だった剣が黒色の剣に変わった。TP20減っている。一本踏鞴いっぽんだたらに向かって斬撃を飛ばしてみた。透けているが若干黒い線というか刃が飛んでいき一本踏鞴いっぽんだたらの左腕を斬り落とす。今のは斬撃に闇属性がのったのか?


「恢斗! 危ないですわよ! 攻撃するなら声掛けですわ!」


 おいおい、なに指差呼称は大事みたいなことを言っている!?


 ちゃんと瑞葵が危なくないことを見たうえで攻撃しているんだぞ。ずっと言っているが、化生モンスターが言葉を理解しているかはわからないが、攻撃する時に相手にわかるように声を出すのはナンセンスだ。


 攻撃しながらもちゃんと周りを確認しながら戦わない瑞葵が悪い。召喚化生モンスターは喋れないのだから、今のような状況はこれからも起こり得る。


 これは今日の反省会での議題だな。さっき成長したと喜んだばかりなのになぁ。残念。


「一旦下がれ、瑞葵。麗華、投石の準備だ」


「もうっ! 下がりますわ!」


「準備はいいぞ」


 瑞葵が下がったところで石投げを始める。


小精霊リトルスピリット、魔法攻撃!」


 麗華が使役化生モンスターに指示を出す。その瞬間、小精霊リトルスピリットが淡く光ったと思ったら、一本踏鞴いっぽんだたらが連続でのけ反る。だいたい二十回くらいだろうか。その後、小精霊リトルスピリットは動かなくなる。TP切れか?


 石を投げながら下がって来た瑞葵にプチ回復魔法を使う。


「まだ、行けるか?」


「TPは半分ね。もう一度行くわ」


「了解」


 一本踏鞴いっぽんだたらは俺と麗華の投げた石を大槌で払いながら、骸骨戦士スケルトンウォリアーまで近づき会心の一撃。骸骨戦士スケルトンウォリアーがたまや~とばかりに宙を舞う。


「行きますわ!」


 タンクの骸骨戦士スケルトンウォリアーが吹き飛ばされたことで前衛がいなくなり、瑞葵が戦線復帰する。


 一本踏鞴いっぽんだたら、強いんだが何かまだ本気を出していないような気がする。今までのパターンだと自爆技が濃厚。でも、この最初から強者の風格を持つ一本踏鞴いっぽんだたらが、そんなことするようには見えない。


 だが、必ず隠し玉はある。


「何か隠し玉を持っていると思う。動きに注意しろ。危ないと思ったらすぐに下がれよ」


「了解ですわ」


 麗華が勇撃の波動をかけ直し、瑞葵がまた素早い動きを活かして一本踏鞴いっぽんだたらに斬り込む。


 骸骨戦士スケルトンウォリアーも立ち上がり戦線復帰し、すぐに挑発を使い一本踏鞴いっぽんだたらの注意を引く。骸骨スケルトンのダークバレットも地味にいいタイミングで放たれ一本踏鞴いっぽんだたらの邪魔をしている。


 いい感じで理想に近い展開になっている。このまま押し切るか? 思ったが、やはりそうは問屋が卸さなかった。


 一本踏鞴いっぽんだたら大槌を振るい大回転をかまして瑞葵を吹き飛ばすと、一本踏鞴いっぽんだたらを中心に水の柱が立つ。その水の柱がだんだんと一本踏鞴いっぽんだたらの形を作っていき、倍の大きさの一本踏鞴いっぽんだたらが出来あがった。


 本体の一本踏鞴いっぽんだたらは水で出来た一本踏鞴いっぽんだたらの中にいる。水のパワードスーツか!?


 敵ながら格好いい! 俺もあれやりたい!


 なんて思っていたら、水の一本踏鞴いっぽんだたらが大槌を地面に叩きつける。地面から骸骨武者が二体現れた。


 召喚までするのかよ!?


 瑞葵が態勢を立て直し地面から現れた骸骨武者の一体に近寄り、何かを投げつけ、驚いた表情でなぜかすぐに離れる。


「ポーションが効きませんわ!?」


 そういうことか!? って効かねぇのかよ! ということは、あの骸骨武者はアンデッドじゃないってことだ。厄介だな。


 ここは参戦したほうがよさそうだ。


「瑞葵と骸骨戦士スケルトンウォリアーは骸骨武者を相手にしろ。一本踏鞴いっぽんだたらは俺が相手をする。麗華は適宜サポートな」


「「了解!」」


 水と火や炎は一本踏鞴いっぽんだたらに効かないと思ったほうがいいだろう。武器は今のままでいいな。加速!


 一本踏鞴いっぽんだたらに斬撃で攻撃。既に闇属性は切れているただの斬撃だ。水の一本踏鞴いっぽんだたらに斬撃が襲い水飛沫が跳ね上がる。今度は線も刃も見えなかった。霊子ナイフの風切と同じ感じだ。違いは物理と魔法の違いだけだろう。


 斬撃は水の一本踏鞴いっぽんだたらを斬り裂いたが、中の本体までには達していない。


 本体と水のほうではダメージは別々だろうか? 別々だろうな……。


 まずは水のパワードスーツから削るしかないか。


 面倒~。




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ホルダー戦記とはまた違った現代ファンタジー

スメラミクニラビリンス~月読命に加護をもらいましたがうさぎ師匠には敵いません~

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884258759

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