108.瑞葵の成長

 本日のミーティングも終わったので、本日の狩り場の選定に移る。


 杉並区和田堀公園のグランド、ここに決めた。車で三十分くらいの場所だ。ここだと周りを気にせず戦える。


 さあ、移動開始だ。


 駐車場に車を停めてグランドまで移動。この時間だと人っ子一人いない。代わりに十等から八等までの化生モンスターが多い。弱いホルダーの狩り場にはいいんじゃないか?


 そして、グランドにいるのは一本足の化生モンスター。妖怪から傘の傘が無いバージョン? なのだが、そのムキムキマッチョな風体から醸し出させる気配は強者のもの。こいつ強いぞ。間違いなく。


 一本踏鞴いっぽんだたら 七等呪位 怪我をした踏鞴師たたらしという説もあるが、一つ目で一本足の姿の妖怪。一つ目の鍛冶神、天目一箇神あめのまひとつのかみの零落した姿ともいわれている。


 有名な妖怪だった……。


 これは面白くなりそうだ!


「有名どころの妖怪ですわね」


「踏鞴師ということは物理攻撃型かな?」


「いや、天目一箇神あめのまひとつのかみの零落した姿ともある。天目一箇神あめのまひとつのかみは鍛冶の神として有名だ。おそらくだが、火、炎系の魔法を使えると見たほうがいい」


「天目一箇神は一目連神社の祭神と同一視されています。一目連神は龍神ともいわれ天候を司る神ともいわれていますので、ほかの属性も使えるかもしれませんよ」


 ほう。赤星さん博識だな。


 となると、瑞葵の素早さの腕輪を骸骨戦士スケルトンウォリアーの水の腕輪(中)と交換したほうがいいな。


 これで瑞葵は水、火、炎、雷に耐性を持つことになる。


 麗華がバトルフィールドを展開して、装備の入れ替えも終わり、赤星さんの撮影準備も整った。


「作戦はいつもどおりだ。気づいていると思うが、この化生モンスター強いぞ。十分に気をつけろ」


「今まで会った化生モンスターの中で一番恐怖を感じますわ」


「そうだな。正直、息が詰まるほどの気を放っている」


 間違いなく、中ボスの中で上位にいる化生モンスターだな。こいつが狩られずに残っていたのは、純粋に強かったからなのかもしれないな。


「では、始めよう。骸骨戦士スケルトンウォリアー骸骨スケルトン召喚! 骸骨スケルトンは離れて魔法を使え。 骸骨戦士スケルトンウォリアーは挑発を使い防御に徹しろ。危なくなったら下がれよ」


小精霊リトルスピリット召喚! 私の横で合図したら魔法攻撃をするんだぞ」


 おっ? 麗華が化生モンスターを召喚した。麗華の横に光の玉がふわふわと浮いている。精霊・逆波せいれい・さかなみ戦の特殊アイテムで手に入れた化生モンスターのカードだな。


「勇撃の波動」


 麗華曰く、勇撃の波動に関してはわざと声を出しているそうだ。勇撃の波動はなんのエフェクトも出ないし、感覚的にもよくわからない。だから、みんなに使ったよ~という意味で声を出しているそうだ。


 骸骨戦士スケルトンウォリアーが挑発を使い敵愾心ヘイトを稼ぐ。一本踏鞴いっぽんだたらの注意が骸骨戦士スケルトンウォリアーに向いたところで、瑞葵が双剣水弧で攻撃。


 その攻撃を一本踏鞴いっぽんだたらが背負っていた大槌スレッジハンマーを手に持ち払う。払っただけの大槌で瑞葵が吹き飛ばされる。凄いパワーだな。


 吹き飛ばされた瑞葵もヒラリと空中で態勢を立て直し、着地と同時に一本踏鞴いっぽんだたらの懐に飛び込み二連続で剣を振るいすぐに離脱。


 見事なHit and Away。剣を振るった後に一本踏鞴いっぽんだたらが態勢を崩したところを見ると、瑞葵がスキルを使って反撃されないように動きを阻害したようだ。


 なんかひと皮剥けたって感じか? 骸骨戦士スケルトンウォリアーとの連携もいい。なにより、瑞葵の動きがとてもいい。自堕落天使ディソルートエンジェルとの戦いがいい経験になったのかもな。成長したもんだ。


 だとしても、一本踏鞴いっぽんだたらのほうが上手なのは歴然。よく見ると振り回す大槌に炎が纏われている。物理攻撃に属性攻撃もプラスされてのダメージになっていそう。


 そういえば、柿崎の剣も火を纏っていたな。何気にいい武器を持っていたんだな。


 あの属性攻撃をプラスするのってどうやるんだろう。ゲーム的に考えれば付与魔法って感じか? でも、そんなのを使った様子はなかった。となると、武器自体にそういう機能が付いている?


 持っている武器を再度鑑定してみる。


 水流槍 (+70) 水の力を宿した槍 水球 TP10


 堕罪の剣 (+60) 闇属性 斬撃TP10


 ん? 水の力を宿した槍? 水属性ではないのか? 堕罪の剣は闇属性になっているな。使える技は物理攻撃の斬撃で闇属性ではない。水流槍は水属性ではないけど水属性の魔法水球が使える。


 そういうこと? 


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