103.千軍万馬
勇樹の体が淡く白く光る。柿崎と同じだな。光が消える時間を計っておこう。
俺はゆっくりと観戦させてもらおうかね~。勇樹の実力を見せてみろ!
「う、うわぁー!」
お前はアホか? 減点二だな。
「ほら~、早く立て~。痛みはないはずだぞ~」
「あ、あれ? 本当だ」
だから、お前はアホか? 事前に教えていただろうが。減点三だな。
「まっすぐ走っていくのはいいが相手の動きをよく見ろ~。お前は猪突猛進か~。ちゃんと回避行動をとれ~」
「は、はい!」
「BPはどのくらい減った~?」
「ろ、六十です!」
六十か。補正値のないホルダーなら一撃で終わっていた可能性もあるな。勇樹の場合見た感じ身体強化が効いているのかよくわからないが、そのせいでダメージが抑えられた可能性もある。
しょうがない回復してやろう。加速。
一瞬で近づき、プチBP回復でBPを回復してやる。
「えっ!? えぇー!」
俺が近づいたことに気づかなかったようだが、BPが回復したのはわかったようだ。
所詮、八等呪位だとこんなものだろう。七等呪位なら気づいて俺に何かしらの行動を起こしていたはずだ。
勇樹はそれでもまっすぐ走って
「相手の動きを読んで攻撃しろよ~。
と思ったら、
勇樹はびっくりして動きが止まっている。しょうがない、回復してやろう。
それとだ、三度目になるが、お前はアホか? 減点四だな。
「ぼーっとしてんじゃねぇーよ!」
顔が異常にデカい女の子に怒られるぞ。
「す、すみません」
「謝っている暇があったら動け~」
そんなことを繰り返していたら、勇樹の身体強化が切れた。時間を確認すると五分間だな。
「勇樹~。今度は千軍万馬ってスキル使ってみろ~」
「は、はい。千軍万馬! ってあれ~」
だから、声に出すなって! 減点五だな。
「どうした~」
「気力が足りないって言われました!」
「じゃあ、気力とやらを溜めろ~」
「ど、どうやってですか?」
「知らん~」
「え、えぇー!?」
そんな会話をして隙を作ったせいで、また
「た、溜まったようです!」
「じゃあ~、使え~」
「TPをいくら使うか聞いてきました!」
「アンクーシャを使う分のTP50は残せよ~」
「りょ、了解です。千軍万馬!」
あー、こいつの口にテープでも貼るか?
勇樹の前に鎧と槍を身に着けた騎馬兵と刀を持った兵士二人が現れる。が、なぜか騎馬兵の表情が困惑顔?
そんな困惑顔の騎馬兵がゆっくりと後ろに下がっていく。Why? 兵士二人もなぜか
俺はなんとなくわかった。
「勇樹~。邪魔だ~。そこをどけ~」
「えっ? は、はい」
騎馬兵が俺のほうを向いて一礼して騎馬を走らせる。
ドッドッドッと馬の走る速度が上がり、構えた槍で
一仕事やり終えた騎馬兵が消えていき、兵士二人が
その後すぐに
「か、勝ちました」
「ご苦労~。レベルは上がったか?」
「上がりました。ショップというのも解放されました」
問題なさそうだ。報告は事務所に帰ってからだな。
時間もいいので昼飯を食べてから帰ろう。久しぶりにかつ牛丼が食べたいな。
新宿御苑を出て新宿駅方面に歩き目的のお店に到着。
俺はかつ牛丼の大盛、勇樹はかつ牛丼とうどんのセットの特盛。もちろん二人共ぺろりと食べきった。勇樹、凄ぇな……。
こいつホルダーじゃなくてフードファイターでいいんじゃね?
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