93.オークション出品経過
「早かったわね。すぐに見つかったのかしら?」
「倒しましたわ……恢斗が」
「瑞葵はもう少し経験が必要ですね。今回はトータル的にみて赤字です」
「あらあら」
月山さんも水島顧問もいたので事の経緯を説明。
「そう……。
「アンデッド系の
月山さん、
アンデッドは確かに聖属性で消滅というのは痛い。だがその分、基本的なステータス値はほかの
同じ七等呪位でもアンデッド系の
聖耐性、聖無効のスクロールが切実に欲しい。長年、ホルダーをやっている水島顧問が知らないということは、相当に珍しいのだろう。
「オークションの買取希望にあげてください。駄目もとで」
「いいの? おそらく高くつくわよ」
「構いません。聖無効ならあれを出しても欲しいです」
「本気?」
「本気です」
あれとはもちろん美酒満開だ。危険なものなので、できれば早く手放したい。
「そうそう、オークションに出品したわよ。そうしたら、出品した直後に美酒散乱の値が上がり始めたわ。びっくりするくらいに」
「本当ですの!?」
瑞葵が驚くように俺もまじかよと思っている。
オークションの出品期間は五日間。最低価格を上回らないか、落札希望者がいない場合は一旦引き下げられるが再度出品は可能。
なのだが、出品してまだ数時間だというのに、一本ずつ別々に出品している美酒散乱三本共に二百万を超え今も上がり続けているらしい。
誰が何のために落札しようとしているのだろう。己で飲むためか、或いは敵に飲ませるためか……。どちらも狂気の沙汰としか言いようがない。
値段が上がるのは嬉しいことだが、笑えねぇ……。
まあ、それはさておき、今回のドロップ品だが、
火魔法のオーブ(7/50) 600,000P
八等呪石 10,000P
・堕天使の服 (BP+60 INT-10)
・堕罪の剣 (+60) 闇属性 斬撃TP10
・跳躍のブーツ (BP+50 AGI+10) 跳躍力UP(微)
・グリップグローブ (BP+30 DFXI+10 INT-10) グリップ力UP(小)
といったラインナップ。
ただ、堕天使の服とグリップグローブはマイナス補正付。俺も瑞葵も麗華もINTがマイナスされるのはよろしくない。そこで、この二つは純粋な武闘派である
INTがマイナスされると馬鹿になるってことはないよな?
跳躍のブーツは瑞葵行きかな。堕罪の剣は攻撃力が微妙なので合成素材にしよう。青龍刀に付けると格好よくねぇ?
さて、それより明日の狩りの場所だ。
「明日は新宿中央公園の
新宿中央公園って確かに広いけど三体の七等呪位って……。ホルダーというかホルダー管理対策室の怠慢じゃね?
「問題ないな」
「よろしくてよ」
じゃあ、そういうことで。
水島顧問に資料の整理は順調か尋ねる。
「う、うむ……」
目を泳がせているんだが大丈夫か?
どうやら、PCの扱いがネックらしい。おいおい。
なのでアナログ方式で一度印刷して、それに赤ペンで添削、追記しているそうだ。それをうちの事務員がPCに落としていく方法にするらしい。二度手間だな……。まあ、頑張ってくれ。
「それより、ドロップ品の使い道だが、錬成してアイテムを作り出すというのは資料で見たが、実際にはどうするんだ?」
「錬成は錬成スキルを持った者が行う。錬成の掛け合わせ方法、レシピというのだが、公開されているものもあるが多くは組織ごとに秘匿されている」
なるほど、スキル持ちがいるのか。
「錬成スキルはそれほど珍しいスキルではない。それこそ、オークションでスクロール見かけることがある。問題は、長い間蓄積されてきた知識だな」
長い間、研究されてきた錬成のレシピがないと宝の持ち腐れってところか。こういうところも古い考えの弊害だな。すべての知識を集めて研究すれば、もっと効率よくできるのにな。嫌だ嫌だ。
それにしても錬成レシピか。
まじでゲームみたいだな。
レシピ探求はゲームの醍醐味だからいいけどな。
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