63.麗華初戦
最近、青い猫を構内を我がもの顔で歩いているのをよく見かける。それもご主人様である瑞葵以上の取り巻きを連れて歩いている。どうやら、〇ゅ~るをもらうと一定時間抱っこできるシステムがあるようだ。
俺の顔を見ると一瞥はするものの、我関せずとばかりに通り過ぎていく。こいつ何やってるんだろうな。
午後の講義を終え、一つ先の駅前で瑞葵と麗華を待っている。
この間の土曜以降、
メールの内容は一度会って話がしたいと書いてあるが会う気はない。この件に関しては瑞葵父に任せている。組織設立に大いに役立ててほしい。
見たことのある高級車が駅前に入って来る。降りてきたのは瑞葵と麗華だ。二人共パンツスーツ姿だ。
一人でも凄いのに美女二人が並ぶと、周りの視線が集中するのがわかる。歩いている人も必ず二人を振り向いてまで見る。特に男ども。
その美女二人と待ち合わせのモブの俺。妬み嫉み僻みの視線が痛い……。
そんな視線を避けるようにさっさと駅裏に移動。瑞葵が麗華にレーダーについて説明しながら
「この赤丸がそうなのか?」
「赤丸は十等呪位か九等呪位ですから、私たちの対象外ですわ。麗華お姉さま」
「そうか。それと、その麗華お姉さまはやめないか? 私たちは命を預け合う仲間だろう。恢斗と同じででいい」
なんだ、そんなこと気にしていたのか。どちらかというと、瑞葵のほうが呼びにくいんじゃないかと俺は思っていた。いちいちお姉さま付けしていたら、咄嗟の時に間に合わないんじゃなねぇ? って。
「ですが、麗華お姉さま……」
「公式の場ではそれでいい。こうしてホルダーとして動いている時は麗華で頼む」
「……わかりましたわ」
俺のレーダーに星のマーカーが現れる。五人組だな、土屋陰陽会の木村か? それとも別のグループか?
まあ、今は構っている暇はない。まずは瑞葵と麗華のレベル上げが急務だ。
「むっ!? この紫が目的の
「そうですわ! 麗華おねぇ……」
瑞葵の奴、癖でお姉さまと言おうとして麗華に睨まれていた。癖ってなかなか治らないからなぁ。
リザードマンの女性版か。弱点無しの耐性持ち。それも攻守に秀でている。なかなかの難敵だ。
水流槍を装備している瑞葵の天敵だな。
この
瑞葵のプチBP回復習得訓練もしてもらうため、アンクーシャを渡す。
麗華は勇撃の波動を使いつつ、余裕があればダークバレットで攻撃。
瑞葵のTPが切れたところで俺と交代して俺が訓練。後にまたみんなで袋叩きにして終了という作戦。
「バトルフィールド展開!」
『バトルフィールド展開』
麗華の気合の入った声が響く。できれば小声でしてほしい。目立たないためにやっているのだから……。
「
「ほう。これが召喚獣か」
「よそ見している余裕はないぞ! この
「油断するつもりはない。だが、危なくなったら守ってくれるのだろう?」
麗華のデレ、頂きました!
「おっ、おう……」
それにしてもなんて凄い破壊力だ……一瞬、その妖艶な視線にゾクッとして息を呑んでしまった。
そして、なぜか感じる王女の威圧……。俺に向けるんじゃなくて、
「勇撃の波動」
麗華が勇撃の波動を発動させると、何か機嫌の悪そうな瑞葵が双剣を持つ
「女の敵は滅せよ!」
女の敵って、そいつ一応女だぞ?
それより、
それにしても、戦いというより殴り合いだな。剣技、槍技云々ではなく、女同士の修羅場って感じの殴り合いだ。怖いわぁー。
水流槍のリーチが長い分、少し瑞葵が有利。というか、瑞葵はちゃんと作戦を聞いていたのか? 今回の趣旨を間違っていませんか?
「
瑞葵ってこんなキャラだっけ? 戦闘に入ると人格変わるタイプに目覚めちゃった?
れ、冷静になろうよ、ね?
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