61.新たなるホルダー
「考えは人それぞれというが、君の考えは独特だな」
「麗華お姉さま。恢斗は正義とは程遠い、こういう男ですわ」
悪かったな。正義なんてものにはこれっぽちも興味はないんだよ。正義なんてものはその時代の勝者が決めるもので、今の俺たちが勝ち続けなければ敗者となり悪となり得るのだ。
「間違えるな。否定はしないぞ。二人の考えはわかった。私もホルダーになろう」
「理由は?」
「私もヒーローは云々として、瑞葵と考えは同じだな。そこに助ける命があり、助けられる力があるのなら助けるべきだと思う」
「それが悪人でも?」
「悪人でもだ。助ける命の善悪は関係ない。もし助けた者が悪人だったとして、それを裁くのは私ではない。助けた後に法が裁くべきだ」
なるほど、コマンダーらしい考えだな。俺と違って立派な考えだ。俺としては首肯できないけどな。まあ、仲間とするには合格だろう。
未登録のホルダー七つを取り出す。
「好きなのを選んでくれ」
麗華は革製の白いウエストポーチを手に取ると、ぴくっと眉が上がる。登録が始まったようだ。
しばしの時間、虚空を見つめる麗華。
「面白い。能力が数値化されているのはわかりやすいな。しかしだ、聞けばホルダーというのは飛鳥時代以前からあったという。文字もない数字もない時代はどうしていたのだろうな?」
そこ? 疑問に思うのはそこですか?
視覚的にわかるようにマークとかゲージで表現してたんじゃね? 神か管理者か知らないけど、時代時代にアップグレードしていったんじゃないのかねぇ。
「麗華お姉さま、それを言ったらこの
確かに。ホルダーになるには
「それよりこれにステータスを書いてくれ」
「見せなければならないのか?」
「仲間以外には見せないほうがいいと思うが、俺と瑞葵は見せ合っているぞ」
「そ、そうか。なにか(私のすべて晒されているようで)恥ずかしいな……」
そうか? 恥ずかしがる要素なんてあるか? わからん。
書いてもらったステータス値は瑞葵とそれほど変わらないな。
覚えているスキルは勇撃の波動と追撃。
俺と瑞葵と違って、名前からではその効果はわからない。だが、名前からして勇撃の波動は間違いなく
自分のスキルの効果がわからないのは不便だよな。俺はプチ鑑定があるからある程度分かるけど、鑑定を持たないホルダーは実際に使って調べるしか方法がない。
もしかすると、プチ鑑定のプチが取れると、相手のステータスなんかも見れるようになるかもしれない。それまでは実際に使って効果を確認し検証を続けるしかない。
麗華に俺たちのステータスを書いたノートを見せながら説明をする。
「本当に面白い。誰がこんなものを考え作ったのか、何をもって適合というのだろうか? 本当に興味が尽きないな」
ステータスについて説明を終え、設定についても瑞葵が説明。
「何か質問は?」
「スキルは後天的に覚えることもあるのだな?」
「
「なるほど。危険を冒してハイランクキラーを得る価値がそこにあるのだな」
小エリアボスを倒せば特殊アイテムを得られ、ハイランクキラーも得られる。一石二鳥なのだ。まあ、適合率チートあってのことだけどな。
「適合率がノーマルの者がこれをやるとしたら賭けになる。それもそうとう分の悪い賭けだ。懸っているのは自分の命だけに難しいだろう」
「恢斗がいるからできる作戦か」
「レベルの低いうちだけな。その辺の検証もしたいところだ」
例えば、PTを組まないで戦った場合、どう経験値が振られるかとかだな。同じバトルフィールド内にいても戦闘に参加しなければ経験値は得られないのは、何度か経験しているのでわかっている。そこで、戦闘に参加したらどうなるのだろうか?
参加した全員に経験値は得られるのだろうか? 止めを刺したPTだけに経験値が入るのか、総合的な貢献度で戦闘に参加した全員が経験値をえられるのか?
その結果次第では強制レベリングも可能になってくる。早めに検証しておきたい案件だ。強制レベリングができればこの後に仲間になるホルダーにも、ハイランクキラーを取らせることができる。
俺のレベルが上がりすぎると、俺とPTを組んだホルダーがハイランクキラーを得られなくなってしまうからな。
ハイランクキラー取得はうちの組織の最大要件となるからな。
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ステータス情報
ホルダー6378
ホルダー適合率182%
BP 141(50+91)
TP 141(50+91)
STR 10(1+9)
VIT 10(1+9)
INT 10(1+9)
AGI 10(1+9)
DEX 10(1+9)
LUK 10(1+9)
勇撃の波動 Lv1
追撃 Lv1
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