32.計画
霊子ナイフで腕を少し斬る。痛い……。血がたら~と流れる。ちょっと斬りすぎた。BPが作用するの
「ちょ、ちょっと何をしているんですの!?」
「ポーションを」
「!?」
やっと気づいたか。遅い。
傷口にポーションをかけるとあら不思議。痛みも傷も綺麗になくなった。ポーションはBPを回復するだけでなく、少々の怪我なら回復できる。
「す、凄いわね……。現代科学に喧嘩を売っているようだわ」
確かにそのとおりだな。使えば多少の怪我ならすぐに傷跡さえなく綺麗に治る。その怪我がどこまでのものが回復するかまではわからないが。
それでも初級回復薬は200P、日本円で二百円で買えてしまう。これは簡単には表に出せないものだ。
まあ、知ってる連中はバンバン使ってるだろうし、研究もしているだろうけどな。知らない連中は可哀そう程度と考えているくらいだろう。
今度はアンクーシャを出して見せる。
「綺麗な杖ね」
「この杖の価値は六千五百万円する。高性能なので売るつもりはないが」
「マジですの!?」
「マジ。どういう原理かは知らないがホルダーになると、こういうアイテムを現金化できるようになる。その逆はできないが」
ポイントを現金化できるがその逆はできない。価値あるものを売りたくても、売れるのは
「ちなみにこの杖は使うと、今使ったポーション以上に回復効果がある。それこそ瀕死の怪我でも治せる。ただ、病気を治せるかはわからない」
「世に出したらとんでもないことになるわね」
だからこその裏世界なのだろう。
「それを父に提供するってことでいいのかしら?」
「
「お金持ちに限らずいろいろな理由で延命を望む者なら、どんなことをしても手に入れたいと思うわね」
そういうことだ。金の余っている連中なら、初級回復薬にだっていくらでも金を出すだろう。難病を治すポーションが手に入れば、それこそ値が付かないほどだろう。それをどう使うかは神薙家次第だ。今以上に大きな影響力を持つことも可能になるだろうな。
「この杖はやれないが、必要に応じて使うことは問題ない。それに、この程度のポーションならいくらでも手に入る。これで交渉できないか?」
瑞葵は少し考えた後、
「いいわ。交渉してみるわ。任せてもらってもよくて?」
「ああ、任せる。見ず知らずの俺が説明するよりいいだろう」
瑞葵に初級回復薬五個と毒回復薬を二つ渡す。交渉する際に現物があったほうが説得しやすいだろうからな。
「それと、大事な正義のヒーロー育成計画について説明を求めるわ」
「正義のヒーロー育成計画……ってなんだ?」
「決まっているでしょう!
正義のヒーローねぇ。瑞葵の目的ってそっちか。意外と子どもっぽいところがあるんだな。まあ、ゲームを楽しむのが目的の俺が言えることじゃないけどな。
「育成計画は立てていないが、効率的なレベル上げは考えている。というか、俺がそれを実践している。この方法はレベルが低いうちしかできないと思われる方法だ。キツイがやるか?」
「強くなれるなら、望むところですわ!」
「それとな、ヒーローじゃなくてヒロインでいいんじゃね?」
「駄目! いつも誰かに助けられているばかりの、軟弱ヒロインになんてなりたくないですわ! 私はどんな苦しく辛い逆境であっても、己の力で乗り越え克服するヒーローになりたい!」
さ、さいですか……。頑張れ。
「いつから始める」
「いつからでもいいわ! 強くなれるなら、寝る暇を惜しむことだって厭わないわ!」
心意気は良し。だけどな、
「あー、俺のレベル上げ方法は十八時以降の数時間で一体の
「はぁ~?」
「ホルダーはどんなに頑張っても、一日にレベルは一しか上がらないんだよ。だから、無理しても意味がない。下手に低レベルの
「一日にレベルは一しか上げられない……。じゃあ、最近ホルダーになった恢斗はレベルはいくつなのよ?」
「まだ、レベル十だ」
「素人もいいところじゃない!」
確かにレベルだけを見たらそう言われても仕方がない。
しかしだ! 俺は適合率チート!
モブとは違うのだよ! モブとは!
通学用のカバンからノートと筆記用具を出して、ノートに俺のステータス値やスキルなどを書いて瑞葵に見せる。実際の数値を見ればわかりやすいだろう。
「な、なによこれ!?」
ナイス、リアクション!
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