33.ステータス
ノートのステータスを見た瑞葵が素っ頓狂な声を上げる。
「レベルが十しか違わないのに数値が全然違うわよ。これが普通なの?」
「それを説明するうえでも、瑞葵のステータスをノートに書いてくれ」
今度は瑞葵のステータスをノートに書いてもらう。
ん? 瑞葵のステータス値を見て計算してみる。適合率178%だと補正値は50%あるようだ。ということは、適合率150%で50%分の補正でそれ以下が補正なしって感じか?
初期スキルは二つ、引力と斥力。多様性があり強力そうなスキルだな。
俺とのステータスと比べながらいろいろと説明。
特に適合率での補正値に関する仮説を聞かせると、
「チートね……」
と言われたので、
「瑞葵だって準チートなんだぞ。適合率150%未満の補正値ゼロのホルダーと比べたら、レベル十くらいのアドバンテージがあることになるんだからな」
と言い返しておいた。
それと瑞葵の初期武器はレイピア(+80)だった。武術は何かやっているか聞いたが、何もやっていないとのこと。こうなると、スキルを顧みて後衛が無難だろう。
「前衛が希望よ!」
「当分は無理だな。どうしても前衛をやりたいなら、何か武術でも学ぶんだな。経験によるスキルの習得ってのもあるようだし」
「むっ、考えておくわ」
ただ、後衛といっても今の瑞葵のステータスを見ると、攻撃する術がない。
引力と斥力は将来的には化ける可能性があるが、おそらく今は阻害系とみておいたほうがいいだろう。まあ、俺と一緒に戦えば問題ないだろう。攻撃魔法も後で覚えることもあるからな。
「ねぇ、恢斗のスキルが多いのはなぜ?」
「俺も初期は二つだけだった。残りは後から覚えたやつだな」
「さっき言っていた経験によるスキルの習得かしら?」
「それもあるがスキルを覚えるアイテムがある」
スクロールとオーブについて説明しておく。
「じゃあ、私も魔法戦士になれるのですわね!」
瑞葵の憧れは魔法戦士か、今の俺がその魔法戦士だな。
瑞葵に未使用のスクロールを渡す。
「こ、これは!?」
「睡眠耐性のスクロールだ。使っていいぞ」
「ほ、本当に!」
「俺は全耐性(小)の指輪を持っているから今のところは必要ない。それに耐性系は地味に有用だから持っておいたほうがいい」
「あ、ありがとう」
瑞葵がスクロールを開くと、うっと苦痛の表情を見せる。覚えたようだな。
最期に設定と
「本当にゲームみたいね。でも、燃えてくるわ!」
「今日はもう時間も遅いから、レベル上げは明日からにしたいと思うが?」
「問題ないわ。別に今日からでもよくてよ?」
やる気満々だな。だが残念ながら今日は無理。今、二十時を過ぎている。今からだと七等呪位を探して倒すには時間的に厳しい。
「俺たちが狙うのは七等呪位の
「えっ? 私、狙われていたの?」
「
「やっぱり、
なんか怖い。目がギラついている。
「と、取りあえず、明日からだ」
まだブツブツ言っているが、無視して帰った。
マスター、ごちそうさまでした。また来ます。
翌日、講義が終わり瑞葵にメールを送ってから、ひとつ先の駅前に移動。
約束の時間までは一時間ほどある。喫茶店に入って窓際でコーヒーを飲みながら、通りすぎる人を鑑定。
しかし、いないなぁ。いや、いたんだが、どう見てもおじいさんで適合率は101%。さすがに勧誘する気はない。
ホルダーになれる素質ってなんなんだろうな。俺の場合を考えると親は普通のサラリーマン、母は専業主婦、妹もどこにでもいる田舎のJK。親戚に寺社関係はいないし、霊感があるっていう親戚もいない。ご先祖様は下級武士だと聞いている。
「待った?」
「いや」
瑞葵は着替えてきたようでパンツスーツ姿。できる秘書って感じだ。
この場面だけを見れば恋人同士の待ち合わせに見えなくもない。がしかし、これから俺たちは
睦事どころか殺伐とした殺し合いの始まりだ。
「よし、いくか」
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ステータス情報
ホルダー6453
ホルダー適合率178%
BP 139(50+89)
TP 139(50+89)
STR 10(1+9)
VIT 10(1+9)
INT 10(1+9)
AGI 10(1+9)
DEX 10(1+9)
LUK 10(1+9)
引力 Lv1
斥力 Lv1
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