29.適合者発見
見た目は鎌を持たない死神みたいだな。まあ、九等呪位だからたいして強くないだろう。物理攻撃に耐性があるようだが、俺にはプチ聖魔法があり、使えるものの中にプチ浄化がある。使うと少し綺麗になるだけだが、対アンデッド魔法のようだからアンデッドにダメージを与えるはず。
神薙先輩がフラフラと
ここは助けて恩を売る絶好の機会。わざとホルダーの力を見せて興味を引き、ホルダーに勧誘する作戦だ。駄目もとでね。興味を持ってくれればラッキーだ。才女だから俺とは違ったアプローチを持っているかもしれない。
『バトルフィールド展開』
「
「えっ!?」
俺の声で我に返った神薙先輩が状況把握に追いつかず、あたふたしている。
その間に
前に出た
「な、なんなの!? うそ!? 映画の撮影中!? ご、ごめんなさ~い!」
神薙先輩、この状況下で意外と肝が据わっているな。もしくは、天然か? 神薙先輩の滅多に見せることのない、隠された一面を見たのかもしれないな。
「こ、これは撮影ですの?」
神薙先輩が話しかけてくるのを無視して、
「プチ浄化」
別に手をかざす必要も声を出す必要もないけど、なんとなく格好いいかなと思いやってみた。もちろん、神薙先輩へのインパクトを持たせるための効果も期待している。
プチ浄化の効果はてき面で
『アイテムをドロップしました。ホルダーに収納します』
『使役アンデッドのレベルが上がりました』
プチ浄化、強ぇー! プチなのにアンデッドを瞬殺。相手が九等呪位だからだろうけど、TP2で使えるのも効率がいい。アンクーシャはTP50も使うからな。
「ちょっと、今のなんですの!? 映画の撮影じゃないんですの!?」
少々恐慌状態の神薙先輩が俺の肩を掴み揺さぶる。あわわわわぁ……。
「お、落ち着いて! 神薙先輩!」
ホルダーからお茶のペットボトルを出して渡すと、
「い、今、どこから出しましたの!? あなたもしかして詐欺師!」
それを言うなら
近くの建築資材に座れそうな場所があったので、座るように促す。
「今のはあなたが消したのかしら?」
「あの二体は俺が使役していて、通常はこの指輪の中にいる」
「あなたは何者ですの?」
何者だろう? 今の俺の格好だと、どう見ても正義のヒーローには見えない。正義のヒーローっていうよりヒールっぽい格好だからな。
バトルフィールドを解除して普段の俺に戻る。
「本当は世間一般で言う正義のヒーローなのかもしれないけど、この力に目覚めたのは最近でな、よくわからない」
「正義のヒーロー……」
「どうやら、平凡な世界だと思っていたこの世界は、非日常の広がる危険が蔓延る世界だったみたいだ。表には出てこない国や民間の組織もあるくらいだしな」
それが本当に正義の組織かは怪しいところだが。
「あなたみたいな人がほかにもいるってことなのかしら?」
「正義の味方ではなくホルダーと呼ばれているが、思った以上にいることは確かなようだ。興味あるか?」
「ないと言ったら嘘になるわね。興味はあるわ。もしかして、なれるんですの?」
まさかの食いつきの興味あり発言!? 本気か?
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