61 養育係 (3)
マディンがセルジュとミラーカを通したのは、食事室からほど近いところにある応接室である。
話が終わるとマディンが一足先に退室し、ノエルを抱えたセイジェルたち六人も続いて部屋を出る。
どこへ行っても広いウィルライト城だが、クラカライン屋敷自体は規模こそ広大だが造りは普通の貴族屋敷である。
公邸と呼ばれる建物とは完全に切り離された、広大な禁足の森の中に建つ独立した建物である。
その公邸にある執務室に向かうセルジュの見送りをウルリヒに任せ、二人と別れたセイジェル、ノエル、ミラーカ、そしてアルフォンソの四人はセイジェルを先頭にノエルの部屋に向かって廊下を進む。
「閣下、わたくしにも抱っこさせてくださいまし」
「女性には重い」
セルジュがいなくなると、すぐにまた言い始めるミラーカ。
歩きながらセイジェルも先程と同じ返しをするが、止めるセルジュがいないのでミラーカは食下がる。
「まぁ失礼ですわ!
わたくし、こう見えましても
「叔母上仕込みの腕はわたしも知っている」
ミラーカの母方の叔母であるアスウェル卿夫人マリエラはセルジュの母であり、セイジェルやノエルにとっても父方の叔母にあたる。
先々代領主ヴィルール・クラカラインの第二公女として生まれた彼女は、兄ユリウスと同じく全く魔力を持たない。
有事において女性が戦場に征くことはないが、戦場から男たちが戻るまで城を守るのは女性たちの役目である。
マリエラもクラカライン家の一人として戦うべく、騎士団より弓隊の指導者を呼び寄せて、時に自分から騎士団に赴き弓を習い、その腕は騎士団の弓隊と比べても遜色ないほど。
決して大柄ではないが、大弓を引いて遠投までしてみせるほどの腕前である。
ミラーカとセルジュは、そんなマリエラの手ほどきを受けた弓の名手である。
「まさか大弓まで引くとは思わなかったが、武具と
「腕力のお話ですわ」
「腕自慢もいいが、一人で
そなたの側仕えを借りたいと思うが?」
「もちろんでございます」
だが他の貴族の反感を買わないように生活は質素倹約を心掛け、名門貴族出身のシステア夫人はともかく、アーガンとミラーカの側仕えは一人だけ。
けれど今回、ノエルの養育係としてクラカライン家に住み込むことになったミラーカ。
さすがに一人では手が足りないだろうということで、システアの側仕えから一人借り受けてきている。
今回の養育係の話はあまりにも唐突で、ろくな準備も出来ず慌ただしくリンデルト卿邸を出ることになったが、それでも貴族の令嬢である。
それなりに支度も荷物もあり、領主との面会に立ち会うことの出来ない彼女の側仕えたちは、クラカライン屋敷に用意された彼女の部屋でそれらの片付けをしている。
もちろん側仕えたち自身の荷物もあり、彼女たちにも使用人部屋が割り当てられている。
片付けに忙しいだろう自分の側仕えのことを想像したミラーカは、セイジェルの話に気前のいい返事をしてから気がつく。
「……そういえば、姫様の側仕えたちはどうしたのです?
まさか閣下ともあろう御方が一人も付けないおつもりですか?」
自分には五人も付けているのに……と猜疑の目を向けるミラーカの前で、不意に三人を追い越したアルフォンソが、廊下の少し先にある扉の前に先回りする。
そして三人が追いつくのを待って扉を開く。
そこは部屋の中央あたりにカーテンを引いて居室と寝室を分ける、
だが一歩室内に踏み込んだ瞬間、ノエルを除いた三人の大人は違和感を覚える。
「……これは……閣下、どういうことですの?」
朝だというのに窓に掛けられたカーテンは引かれたままで室内は薄暗く、奥に見える寝台は毛布やシーツが乱れたまま。
さらには部屋全体が酷く埃っぽく、その上湿っぽい。
幼い頃、セイジェルに剣の稽古をつける父フラスグアについて弟のアーガンと一緒に出入りしていたミラーカは、クラカライン屋敷にこんな管理の行き届いていない部屋があるとは思ってもおらず、信じがたい面持ちで戸口で足を止める。
さらにはセイジェルが思案でもしている様子で応えないため、痺れを切らしたように 「もう!」 と声を上げると大股に部屋を進み、次々にカーテンを、少し乱暴に開いてゆく。
そうして明るくなった室内を改めて見ると、さらに違和感が強くなる。
広さの分だけ強く感じる空虚感は、まるで使われていない空き室を思わせるほど。
その理由を求めると、部屋の広さに似合わない調度品の少なさである。
例えば壁を飾る一枚の絵画もなければ、立派な花台はあるのに花瓶はない。
やはり立派な鏡台はあるのにその上にはなにもなく、何気なく引いてみた引き出しも空っぽ。
さらによく見れば絨毯には染みも出来ている。
なにを思ったのか衣装部屋の扉を開けたアルフォンソは中を覗きこみ、少し呆れたように 「これはまた……」 と呟く。
何事かと部屋を早足に進んだミラーカも覗くが、衣装部屋にはなにもない。
それこそ肌着の一枚もないのである。
「閣下!
まるで姫様をお迎えする用意が出来ていないではありませんか!」
声を荒らげて責めるミラーカだが、セイジェルは相変わらずなにかを考えている様子である。
その腕に抱えられたままのノエルだけが、自分が怒られていると勘違いしてビクリと体を強ばらせている。
「用意どころかなんですの、この部屋の有り様は……」
「湿気の原因はこれですね」
いつのまにか浴室に続く扉の前に移動していたアルフォンソが、奥を覗きこむように主人、あるいはミラーカに向かって声を掛ける。
すぐさまミラーカは何事かと早足に向かい、自身の目で状況を確かめる。
外側に埃がついた浴槽には使用後と思われる汚れた水がそのまま残っており、周囲には、幼い子どもが水遊びでもしたのかと思えるほど水が飛び散ったらしく、乾いたあとが染みになって残っている。
部屋と浴室のあいだにある次の間にも服が脱ぎ散らかされたまま。
床にも濡れたあとが染みになって残っている。
「……確か、姫様が着かれたのは昨日と聞いておりますが、湯を使われたのですか?」
「下働きの者たちは水を運ばされたと話しているようですが」
この惨状は、浴室を使用したあと一晩そのままにした結果と推測するミラーカに、昨夜、マディンがセイジェルにした報告を、主人の就寝準備を手伝いながら聞いていたアルフォンソは、少しわざとらしく思い出すような素振りを見せながら話す。
そんなアルフォンソにミラーカが食ってかかる。
「この時季に水風呂など、風邪を召されたらどうするのですか!」
「誤解なさらないでください、わたくしが命じたわけではございません」
「では誰が?」
問い掛けながらもミラーカの目はセイジェルを見ている。
その視線に、一瞬遅れて気づいたセイジェルはわずかに口の端を上げて苦笑を浮かべる。
だが答えるのはアルフォンソである。
「側仕えたちの話では、姫が水風呂を所望したそうです」
「側仕え?」
不意に声を落としたミラーカは眉をひそめる。
その目が上目遣いにアルフォンソを見る。
「やはりそなたたちが命じたのではありませんか」
「わたくしたちは旦那様の側仕えでございます」
「では他に側仕えがいるというのですか?」
「見掛けは幼くとも、さすがに九歳の姫をわたくしたちがお世話をするわけには参りません。
マディン様が姫のために側仕えを手配されました」
「その者たちはどこですっ?」
間髪を置かず返すミラーカに、アルフォンソはわずかに苦笑を浮かべて肩をすくめてみせる。
もちろんそれで誤魔化されるミラーカではない。
「下手に隠し立てしようものなら、そなたもただでは済まされませんよ!」
「わたくしの
それこそ主人ではないミラーカが怒っても怖くもなんともないと、アルフォンソは澄ました顔で返してミラーカの怒りに油を注ぐ。
そこでようやくその主人セイジェルが口を開く。
「
この屋敷にここまで自由に振る舞える者が、そなたらの他にあったとは知らなかったぞ」
そう言ってうっすらと笑みを浮かべてアルフォンソを見ると、アルフォンソも応えるように笑みを浮かべて返す。
「わたくしたちも存じませんでした」
「閣下!」
金切り声を上げて物凄い速さで戻ってきたミラーカは、セイジェルの鼻先に噛みつかんばかりに迫る。
身長差があるため実際に噛むことは出来ない上、あいだで怯えているノエルに気づくと、とたんに慌てふためく。
「ひ、姫様?
姫様を叱っているわけではございませんのよ。
どうぞ、ご安心なさって。
ね? 大丈夫ですわ、怖くありませんのよ」
「慌ただしいことだ」
ミラーカの百面相ばかりの変化に呆れてみせるセイジェルは、戻ってきたウルリヒがすぐそばに着くと、その耳元でなにか囁く。
するとわずかに頭を下げたウルリヒはまたどこかに行ってしまう。
入れ替わりにマディンがやってくるが、探しに行ったはずのノエルの側仕えたちの姿はない。
「申し訳ございません、旦那様」
「逃げられたか?」
「いえ、どうやら使用人部屋に戻っているようです」
女性用の使用人棟は男子禁制で、使用人頭のマディンでも普段は立ち入ることが出来ない。
そこで部下のノル・カブライアを探し、下働きを何人か付けて女性使用人棟に向かわせたという。
「そなたしては珍しい失態だな」
「返す言葉もございません」
この部屋を最初に用意したのはマディンである。
だから昨日、部屋に入ってすぐ、絵画や花瓶などがなくなっていることに気づいた。
さらには、とりあえずで用意した衣装や小物までが全てなくなっていると聞き、表情こそ変えなかったけれど、内心ではさぞかし落胆していたはず。
だが主人の静かな叱責にも弁明しない。
そしてここに来て、ようやくミラーカにも状況が理解出来たらしい。
「つまりなんですの?
その新しく雇った側仕えたちに一杯食わされたということですか?」
主人の持ち物を盗む手癖の悪い使用人というのは、貴族のあいだだけでなく、使用人を雇える中流階級でも知られている話である。
盗んだ物はいつまでも使用人部屋に隠して置くわけにもいかず、さっさと売り払ってお金に換えてしまうのも
主人の中にはお気に入りの使用人や、ご褒美代わりに自分の衣装や小物などを与えることがある。
もちろんそのほとんどや使わなくなった物や着られなくなった衣装だが、使用人にそれらを身につける機会はないと言ってもいいため売り払ってしまうことがほとんどで、町にはそういったものを買い取る店がある。
宝飾類や小物はもちろん、衣装も糸を解いてレースや刺繍糸を再利用したり、よい生地は小物に再生などして売りに出される。
盗んだ物も同じように売り払われてしまうが、中には盗品と知っていて買い取る店もあり、その場合は宝飾類でも手を加えて盗品とわからなくしてしまうため足がつきにくい。
また盗品専門の闇市もあるという。
それなりに高価な宝飾ともなれば屋敷の主人が管理していることがほとんどのため、側仕えでも持ち出すことは難しく、そういった形で盗み出されることは少ない。
このクラカライン屋敷でもマディンによって管理されており、これまでに被害に遭ったことはないし、このあと念のため確認してみたが大丈夫だった。
使用人にとっても高価すぎる物は簡単に売り払うことが出来ず、魔術具に至っては手に負えない。
しかも事が露呈すれば解雇程度では済まず、命さえ危うい。
そういう事情もあり、ただ手癖が悪いだけの使用人たちが狙うのは、町で簡単に売り払えるものに限られていた。
ミラーカの話によれば、令嬢たちのあいだでは、暇潰しに行なわれるお茶会などでわりとよく上がる話題なのだとか。
元々噂話が大好きでお喋りも大好きな令嬢が多い。
どの使用人が怪しいとか、手口についてとか。
挙げ句に行ったこともない屋敷の使用人のことや、どこぞの貴族の若様が婚約したとか、どこそこの令嬢が婚約破棄されたとか、その話題はとにかく幅が広くとりとめが無い。
そして全てが噂の域を出ない。
やはり真偽は不明だが、盗品と知っていて買い取る店の名前まで具体的に出てくることもあるという、実に胡散臭さが満載のお茶会が開かれている。
また自身もなにかを盗まれたことがあるなどといった話も出てくる。
そのあとの犯人探しやその使用人がどうなったかなども、恥や外聞を憚ることなく声高に話されるのが貴族の令嬢たちのお茶会である。
今回被害に遭ったのは絵画や花瓶、衣装に女性用の小間物などなど。
衣装に至っては、そもそもノエルには大きすぎて着られなかったのだが、おそらくすでに売り払われているに違いない。
あの側仕えたちが、掃除に来た下働きを箒で殴ってまで追い払ったのも、描かれていたものなどは覚えていなくても、さすがに壁に掛けられていた絵が一枚もなくなっていればわかるだろうし、花瓶などは花台が残っているのだから言わずもがな。
それらの発覚を少しでも遅らせたかったのだろうが、ノエルが到着してからはどうするつもりだったのか……。
それにわからないこともある。
衣装などは隠して持ち出せるが、さすがに花瓶や絵画は大きすぎる。
それにここはクラカライン屋敷である。
使用人ですら出入りは厳しく制限されており、気軽に出掛けられるわけではない。
そうなると盗んだ物のいくつかはまだ彼女たちの部屋に隠されているかもしれない。
それに外部から手を貸している人間がいる恐れもある。
ここで疑われるのは出入りの業者だが……そんなことまでを考えると、とてもミラーカの言うように 「一杯食わされた」 程度では済まない。
そんなあれこれを、決して表情には出さず考えていると思われるマディンにミラーカは言う。
「そんな小物に騙されるなんて、本当にマディンらしくないこと」
「面目ございません」
「とりあえずこの部屋は掃除からです!」
「すぐに手配いたします」
主人同様に決してミラーカの気迫に押されることなく、淡々と答えるマディンに続いてセイジェルが口を開く。
「では支度が出来るまで別の部屋を使うといい。
来なさい」
踵を返すセイジェルが少し笑っていたような気がしたミラーカだったが、案内された部屋を見て見間違いではなかったと確信する。
そして声を上げる。
「ここは閣下のお部屋ではございませんか!」
「今から別の部屋を用意していては時間がかかる。
「そういうことではございません!
たとえ
領主の私室を借りることに恐縮しているのではなく、九歳とはいえ姫に男の部屋を使わせることに納得がいかないというミラーカ。
彼女の中にはすでに ノエル >
ミラーカ自身がどこに位置するかはともかく、領主であろうと男は男……というか、このマルクト国では女性に家督は相続出来ない。
よって領主も当然男になるのだが、領主である以前に男であり、男である以上にセイジェル・クラカラインという人間がミラーカには許せないのだろう。
すぐ使える客間はないかマディンに訊くためノエルの部屋まで戻ろうとする。
「とりあえず着替えは……」
「肌着はともかく、旦那様のチュニックでも着せておけばよろしいのでは?
袖を通しておられないものが何着もございますし」
ミラーカには 「好きにしなさい」 とだけ言ったセイジェルは、相変わらずノエルを抱えたまま独り言のように呟く。
するとすかさず答えたアルフォンソが、部屋でシーツの交換や簡単な掃除などをしていた同輩に、しばらくノエルがこの部屋を使うことを簡潔に説明する。
もちろん
「湯を使われるのでしたら新しい石けんを下ろしましょうか」
「そうですね、さすがに石けんは旦那様の使い回しはご気分がよろしくないでしょう。
タオルも新しいものを」
「御髪が長いので、何枚か用意したほうがいいですね」
「女性の香油などはこちらにはございませんが」
今から商人を呼ぶことはもちろん、直接町に買いに行ってもノエルが湯から上がってくるまでには到底間に合わない。
どうしましょう? と、セイジェルの側仕えたちが顔を見合わせると、ミラーカが少し胸を反らせるように割り込む。
「わたくしの香油を使って頂きます」
「まさかそんな
わざとらしく言葉途中で口を噤んでみせるクレージュだが、「安物」 と言い掛けたのは間違いない。
それこそ安っぽい挑発だが、安直に乗ってしまうのがミラーカの素直さである。
「お母様からいただいた高級品ですわ!」
聞き捨てならないと言わんばかりに声を張る。
理由、あるいは目的は説明されなかったが、それでも無理矢理に息子と娘を着席させた夕食の席で、娘がしばらく領主屋敷で過ごすときいたリンデルト卿夫人システアは、側仕えたちの慌ただしい荷造りを散々邪魔して、日頃娘が質素倹約に勤しんでいる身の回りの品々を検分。
その幾つかを、自分が愛用している高級品と取り替えさせた。
そんな娘を思う親心がこんな形で役に立つとは、システアはもちろん、ミラーカ自身も想像していなかっただろう。
今は下級貴族リンデルト卿夫人のシステアだが、彼女が名門アスウェル卿家出身であることは有名である。
だがその権威を以てしてもクラカライン屋敷は全く自由にならないのだが、おそらくこれからも、それこそ明日からでも、居候同然のセルジュを経由して色々な物を届けてくるに違いない。
彼女にとって甥セルジュの存在はいわゆる抜け穴であり、今は夫のリンデルト卿フラスグアが不在で暇を持て余している。
まず間違いなくするだろう。
そしてそんなシステアの行動を見て、セルジュもミラーカに身の回りの品を貢ぐのである。
実際にこの日、執務を終えてクラカライン屋敷に帰ってきたセルジュは、リンデルト卿邸から届いたという幾つかの箱を持っていた。
中には真新しい寝間着や肌着などが入っていたらしい。
領主の屋敷で娘が恥ずかしい思いをしないように……という親心を聞かされては、セルジュも断ることが出来なかったに違いない。
もちろん受け取るミラーカも。
「お母様ったら、また無駄遣いをなさって。
お父様がおられないからって……」
口ではそんなことを言っていたが、顔は嬉しそうだった。
肌着や寝間着はもちろん、衣装もミラーカとノエルでは大きさが違いすぎて貸し借りは出来なかったけれど、石けんや香油、櫛などといった小物は貸し借りが出来る。
石けんなどはいくらでも真新しい物がクラカライン屋敷にもあるけれど、ないものはない。
そこでやむなくミラーカの申し出を受けることになったセイジェルは、近くノエルのために商人を呼ぶので、その時にミラーカも欲しい物を買えばいいと言ったけれど、話を聞いたセルジュに断られてしまった。
いくら相手がセイジェル従兄弟とはいえ、
決して性格がいいとはいえないセイジェルだがそこはセルジュの気持ちを汲むことにし、一緒に選ぶだけ選んで、代金はセルジュが払うということで話をつける。
もちろんこれらの話はセルジュが帰ってからのことである。
屋敷にないものはやむなくミラーカに借りることにして、ノエルを湯に入れる手も彼女の側仕えを借りることにする。
だがここで問題が発生する。
ミラーカが声を荒らげるたびに怯えていたノエルだったが、それ以外はおとなしくセイジェルに抱えられていたのに、必要な物を揃えていざ湯へ……とセイジェルが床に下ろすと急に怯えだしたのである。
【騎士セス・ショーンの呟き】
「くそ! 汲んでも汲んでも水汲みが終わらねぇ!
どうして俺がこんなことを……」
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