二章 クラカライン屋敷

人物紹介 【二章】

ノエル・マイエル / ノワール・クラカライン

 本編主人公

 赤の領地ロホの西のはずれにある小さな村で生まれ育った少女。

 黒い髪と黒い瞳を持って生まれたため、幼い頃から家族や親族から疎まれ、虐げられてきた。

 特に母親から酷い扱いを受けており、実年齢は9歳だが見た目は5、6歳と幼く酷くやせっぽち。

 さらに精神年齢は幼く、言葉も少ない。

 父クラウスが出した手紙により、白の領地ブランカの領主セイジェル・クラカラインに引き取られることになったが……。

 黒曜石オブシディアンと呼ばれる希少種。

 その魔力の属性は不明だが治癒能力があるらしく、ユマーズの襲撃によりアーガンが負った、騎士廃業を覚悟するほどの大怪我を、傷跡も残さず一晩で完治させた。

 また一章37話で、それがノエルの仕業とは誰も気づかなかったが、弟のマーテルを真似て火を操っている。



セイジェル・クラカライン

 クラカライン家の当主にして、白の領地ブランカの現領主。

 濃い金色の髪に紫の瞳をした長身の美丈夫で、白の領地ブランカ最強の白の魔術師と言われるクラカライン家直系の一人。

 暗君と呼ばれた父ユリウスから、わずか15歳にして領主の座を譲られた苦労人だが、たった五年の内に他の三領主と肩を並べるほどの手腕と貫禄を付けた。

 魔術師としても剣術の腕も一流だが、人としてはかなりポンコツらしい(エルデリア&マリエラ談。

 叔父クラウスからの手紙を受け取り、ノエルを引き取ることにしたのは希少種【黒曜石オブシディアン】に興味を持ったから。

 だが従兄弟のセルジュ・アスウェルを迎えとして遣ったのは、表向きは同じクラカライン家の直系に対する儀礼的なもの。

 実際は白の領地ブランカへの帰還を望むクラウスの真意を推し量り、場合によってはセルジュにクラウスの始末を付けさせようとしていた。

 すでに代も時代も変わった今さら、過去の因縁を蒸し返されることを疎んだのである。

 アルフォンソを筆頭とする側仕え五人の本性を知っていて、彼らの自由をある程度許している。



ミラーカ・リンデルト

 白の領地ブランカの下級貴族 白の魔術師

 リンデルト卿令嬢でアーガンの姉、セルジュの従妹。

 年齢のわりに小柄で童顔のためまだ少女のようだが、性格はしっかり者。

 弟同様に幼い頃から交流のあったセイジェルのことを毛嫌いしており、世話をすることになったノエルがセイジェルに触れるのも嫌がるほど。

 現在は退官しているが、母システアとともに神官を務めていたことがあり、ルクスとも面識がある。

 未婚だが婚約者がいる。



セルジュ・アスウェル

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門アスウェル家の公子で、クラカライン家出身の母を持つクラカライン家直系の一人。

 薄い金の髪に緑の瞳を持つ上級魔術師だが、どうも不得手があるらしい。

 運動も苦手で乗馬も下手。

 だが文官としては有能らしく、白の領地ブランカの領主に仕える上席執政官の一人。

 母方の従兄弟にセイジェルとノエル、ラクロワ兄弟がおり、父方の従兄弟にリンデルト姉弟を持つ。

 領主の命を受けて赤の領地ロホまでノエルを迎えに行ったが、セイジェルの思惑を理解していてのことと思われる。

 未婚だが婚約者がいるらしい。



アーガン・リンデルト

 白の領地ブランカの下級貴族 赤の魔術師

 白の騎士団に所属する騎士で、小隊長を務める。

 部下であるファウス、イエル、セスの三人を率い、従兄弟のセルジュとともに赤の領地ロホへノエルを迎えに行った。

 軽々と大剣を扱う大柄な男だが、燃えるように赤い髪を持つ白の領地ブランカ有数の焔の使い手でもある。

 お人好しな性格。

 リンデルト卿家の公子でミラーカは実姉。



リジー・マディン

 クラカライン家の使用人頭しようにんがしら

 元はセイジェルの筆頭側仕えだったが、セイジェルが当主となるとともに不正を働いていた前の使用人頭を解雇。

 その後任に据えられた。

 それに伴いアルフォンソが筆頭側仕えとなったため、五人は軽口を叩きながらも今もマディンには頭が上がらない。

 40歳前後の男で、薄い枯れ草色の髪をした中肉中背。

 クラカライン家で、セイジェルの他に、唯一クラウスの手紙のことを知っていた人物。



アルフォンソ

 クラカライン家の使用人 白の魔術師

 五人いるセイジェルの側仕えの一人で、筆頭を務める。

 その姿を見れば魔術師であることはわかるが、セイジェルと同じクラカライン家の魔術師であるセルジュには 「厄介」 と言われ、アーガンには 「筆頭殿」 と恐れられている。

 主人であるセイジェルには忠実だが、他の四人も含めて性格にやや難がある。



ヴィッター

 クラカライン家の使用人 白の魔術師

 五人いるセイジェルの側仕えの一人で、一番口数が少ない。

 その姿を見れば魔術師であることはわかるが、なぜかセルジュやアーガンには疎まれたり恐れられたりしている。

 主人であるセイジェルには忠実だが、他の四人も含めて性格にやや難がある。



ウルリヒ

 クラカライン家の使用人 白の魔術師

 五人いるセイジェルの側仕えの一人で、アルフォンソの相方的立ち位置にいる。

 その姿を見れば魔術師であることはわかるが、なぜかセルジュやアーガンには疎まれたり恐れられたりしている。

 主人であるセイジェルには忠実だが、他の四人も含めて性格にやや難がある。



クレージュ

 クラカライン家の使用人 白の魔術師

 五人いるセイジェルの側仕えの一人。

 その姿を見れば魔術師であることはわかるが、なぜかセルジュやアーガンには疎まれたり恐れられたりしている。

 主人であるセイジェルには忠実だが、他の四人も含めて性格にやや難がある。



ヘルツェン

 クラカライン家の使用人 白の魔術師

 五人いるセイジェルの側仕えの一人で、他の四人のフォローが多い。

 その姿を見れば魔術師であることはわかるが、なぜかセルジュやアーガンには疎まれたり恐れられたりしている。

 主人であるセイジェルには忠実だが、他の四人も含めて性格にやや難がある。



ノル・カブライア

 クラカライン家の女性使用人

 他の女性使用人より格上で、使用人頭マディンの片腕。



ジョアン・ロデリ

 リンデルト卿家の使用人

 リンデルト卿令嬢ミラーカの万能側仕えで、主人の立場も理解している。



アスリン・オルレア

 リンデルト卿家の使用人

 リンデルト卿夫人システアの側仕えだが、ジョアン一人ではミラーカとノエルの二人を世話出来ないため、手伝いに駆り出された。



ニーナ・エデエ

 白の領地ブランカの領民

 白の騎士イエル・エデエの妹で、両親はすでに亡い。

 兄同様整った顔立ちをしたなかなかの美人だが、そのために難儀している。

 成人とともに郷里で商家の隠居夫婦の側仕えをしていたが、相次いで亡くなり、新たに勤めた商家ではその容姿が災いを招くことに……。

 新たな職探しも難航し、兄を頼って領都ウィルライトに来るが、なぜかリンデルト卿家の屋敷に連れて行かれ、そこでリンデルト卿夫人システアの側仕えとして仕事を覚えることになるが……。



エルデリア・ラクロワ

 白の領地ブランカの上級貴族

 先代領主ユリウスの妹で、アスウェル卿夫人マリエラ、マリウス、クラウスの姉。

 ラクロワ卿夫人で、エセルス、ルクス兄弟の母親。

 クラカライン家には珍しい青の魔力の持ち主で、魔術師団の特別顧問。

 甥セイジェルの性格をよく知っているため、妹マリエラとともにノエルを手元に引き取ろうとする。

 言いたいことをはっきりと言う性格だが、どこか抜けている。



オーヴァン・ラクロワ

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門ラクロワ家の当主でエルデリアの夫。

 エセルス、ルクス兄弟の父親。

 宰相として領主に仕える。



エセルス・ラクロワ

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門ラクロワ卿家の第一公子だが、中央宮ちゅうおうきゅうしろみや宮官長きゅうかんちょうを務めるため、長く白の領地ブランカを不在にしているルクスの兄。

 通称クラカライン四兄弟の最年長。



ルクス・ラクロワ

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門ラクロワ卿家の第二公子で、エセルスの弟。

 通称クラカライン四兄弟の一人。

 領都ウィルライトにある大神殿に仕える上級神官で、システアやミラーカと面識がある。

 一見神官らしく穏やかな性格に見えるが、セイジェルやセルジュ同様腹の中で何を考えているかわからない。

 実はかなり性格が悪く、兄のエセルスからは 「腹黒三兄弟」 などと言われている。

 だがセイジェルやセルジュとは、兄エセルスの処遇を巡ってあまり仲がよくない。



マリエラ・アスウェル

 白の領地ブランカの上級貴族

 先代領主ユリウス、ラクロワ卿夫人エルデリアの妹で、マリウス、クラウスの姉。

 アスウェル卿夫人で、セルジュの母親。

 平均より淡い髪色をしているが、全くといっていいほど魔力を持たないクラカライン家直系の一人。

 甥セイジェルの性格をよく知っているため、姉エルデリアととともにノエルを手元に引き取ろうとする。

 姉エルデリアに比べておっとりしているが、言うべきことは言う性格。



ノイエ・アスウェル

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門アスウェル家の当主でマリエラの夫。

 セルジュの父で、リンデルト卿夫人システアの兄。

 領都ウィルライトにある大神殿で神官長を務める上級神官の一人。



システア・リンデルト

 白の領地ブランカの下級貴族 白の魔術師

 リンデルト卿フラスグアの妻で、ミラーカ、アーガン姉弟の母親。

 白の領地ブランカの名門貴族アスウェル卿家出身の令嬢で、現当主ノイエ・アスウェルの妹。

 兄イエルを頼って領都ウィルライトに来たニーナをしばらく預かることになる。



フラスグア・リンデルト

 白の領地ブランカの下級貴族 赤の魔術師

 赤の領地ロホの名門リンデルト卿家出身の上級魔術師だが、システアと結婚するため白の領地ブランカに帰属したミラーカとアーガンの父親。

 現在は白の騎士団特別顧問を務めるが、本人は現役のつもり。

 一章43話よりシルラスの獣狩りに遠征しており、領都を不在にしている。



イエル・エデエ

 白の騎士団に所属する騎士で、アーガンの部下。

 整った顔立ちをしており、貴族の令嬢たちからも人気がある。

 両親はすでに亡く、家族は5歳離れた妹ニーナ一人だけ。

 明るい性格で誰とでも打ち解けやすい。



ファウス・ラムート

 白の騎士団に所属する騎士で、アーガンの部下。

 魔術師ではないが、わずかに白の魔力を持つ。

 イエルとともに、ノエルを迎えに行くセルジュの護衛を務めた。



ガーゼル・シアーズ

 白の騎士団に所属する騎士で、リンデルト小隊の副長を務める。



カセッラ・ドロテア

 白の騎士団に所属する騎士で、リンデルト小隊の隊員。



ジョスティス・バーロール

 白の騎士団に所属する騎士で、リンデルト小隊の隊員。



クリストフ・ロートナー

 白の騎士団専属医師

 白の騎士団宿舎に住まい、日々生傷の絶えない騎士たちの手当に奔走している医師。

 ある日、半ば強引に連れられて来たクラカライン屋敷で、珍しい黒髪の子どもの診察を依頼されることになる。

 グリエルとエリーダの二人の助手がいたが……。



グリエル

 白の騎士団専属医師クリストフの助手。

 前任の医師から助手を務めるベテランで、赴任当時、右も左もわからない若いクリストフに色々と教えたため、今もクリストフは頭が上がらない。

 それなりに年配だがまだまだ現役で、自身の立場などを弁えた女性。

 若く浮ついたエリーダとはそりが合わない。



エリーダ

 白の騎士団専属医師クリストフの助手。

 数ヶ月前に配属されてきたばかりの新人で、若い女性の少ない騎士団宿舎で持て囃されて有頂天になっている。

 グリエルの代わりに行ったクラカライン屋敷で、初めて見た黒髪に興味を示しとんでもないことをしでかす。



クラウス・クラカライン / クラウス・ハウゼン

 赤の領地ロホで亡くなったミゲーラ、ノエル、マーテルの父親。

 養子先のハウゼン姓を名乗っていたが、実はクラカライン家の公子で、先代領主ユリウスの末弟。

 ほぼ魔力を持たない兄弟たちの中で、唯一強大な魔力を持つ白の魔術師だった。

 兄ユリウスと従兄弟であるバルザック・ハルバルトに嵌められ、双子の兄マリウス暗殺未遂の罪を着せられ、養子という形で追放された。

 クラカライン家への帰還を望んでいたが、果たせず病死。

 その死因は不明。

 当代領主である甥のセイジェル・クラカラインに、手紙でノエルの保護を求めた。



ユリウス・クラカライン

 白の領地ブランカの先代領主

 クラカライン家の先代当主で、エルデリア、マリエラ、マリウス、クラウスの兄。

 従兄弟であり義弟でもあるバルザック・ハルバルトと共謀し、弟マリウスの暗殺未遂の罪にクラウスを陥れ、クラカライン家から追放した張本人。

 だがそうまでして手に入れた領主の地位も、クラカライン家当主の座も、15歳になったばかりの息子セイジェルにあっさりと譲り、現在は領都ウィルライトからはるか南東にある保養地に建てた別邸で贅沢三昧の生活をしている。

 領主在位時は暗君と陰口をたたかれたほど無能で、ハルバルトの増長を許すことになった。

 生前の父ヴィルールとはクラウスの追放以来不仲だったが、息子のセイジェルとも、譲位の経緯などから決して良好な関係とは言えず、陰でお互いに嫌がらせをしている。



バルザック・ハルバルト

 白の領地ブランカの上級貴族 白の魔術師

 名門ハルバルト家の当主で、貴族院の院長を務める。

 先代領主ユリウス・クラカラインとは従兄弟であり義弟に当たるが、甥のセイジェルとは上手くいっていない様子。



ヴィルール・クラカライン

 白の領地ブランカの先々代領主 故人

 クラカライン家の先々代当主で、ユリウス、エルデリア、マリエラ、マリウス、クラウスの父。

 稀代の美女と言われたウェスコンティ卿家令嬢エラルを妻に迎え、愚息ユリウスに代わって孫のセイジェルを厳しく育てた。



エラル・ウェスコンティ

 白の領地ブランカの先々代領主夫人 故人

 稀代の美女と言われたウェスコンティ卿家令嬢。

 クラカライン家に望まれて嫁いだユリウス、エルデリア、マリエラ、マリウス、クラウスの母。



エビラ・マイエル

 赤の領地ロホの領民

 ミゲーラ、ノエル、マーテルの母だが、クラウスとの結婚は正式なものではなかった。

 元々短気で癇癪を起こしやすい性格だが、ノエルの黒い髪に黒い瞳を気味悪がっただけでなく、治癒の能力があることに気づいていた節があり、得体の知れない能力に対する恐怖から苛烈に虐げていたと思われる。

 一章28話にて、アモラに殺されたような呟きがなされている。

 息子のマーテルだけでなく甥のハノンとラスン兄弟も赤の魔力を持つが、実はマイエル家は……。

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