告白×2
「はい、失礼します」
そう言って保健室を出るとそこには朝倉さんが立っていた。
「黒瀬君!大丈夫?」
「うん、大丈夫…だよ」
「何があったの?」
何気ないその言葉に顔がこわばるのがわかる。
「それは……」
口篭っていると朝倉さんは俺の表情を読んだのか
「ごめんなさい、聞いちゃダメな事なんだね……」
「それ……は、ごめん!」
そう言って走り出すしかし少し走った所でお腹の痛みが襲ってくる。
「ぐっ……」
「黒瀬君!?大丈夫!?」
俺はまた朝倉さんに支えられ保健室へと戻った。
「黒瀬君その期間は激しい運動しちゃダメよ。初めてだからわからないのは仕方ないけど……授業でもやったはずなんだけどね」
「すみません……」
「謝る事はないわ。ところでさっきの薬、飲んだ方が良いわ」
「そうですね」
ポケットに放り込んであった薬を取り出す
時にナプキンを落としてしまった
「黒瀬君……?それナプキン?」
「あっ!違うこれは……」
(しまった)
俺は急いで落としたナプキンを拾うが時すでに遅しだ。
「えっと……これは……その……」
朝倉さんの顔を見るとなんとも言えない表情をしていた
「黒瀬君、ちゃんと話してくれませんか?」
「黒瀬君、こうなったらちゃんと伝えた方がこじれないわよ。黒瀬君にも女の子でサポートしてくれる娘が必要だと思うし。あっ!」
「なんですか!?先生!」
「いえそれは朝倉さんの意思ね。さてと私は少し外すわ」
そう言うと先生は部屋から出て行った。
「黒瀬君……教えて……くれる?」
朝倉さんの潤んだ瞳に見つめられると俺は観念したように全てを話した。
「そんなことが……」
「気持ち悪いと思うかもしれないけど俺の身体は女になった、朝のは生理が来たんだって」
「ごめんなさい。話し辛い事だったよね。あぁだから先生は“私の意思だ”って言ったんだね」
「えと、朝倉さん?言い辛い事なら言わなくても」
「ううん、言わせて。私のも気持ち悪いかもしれないけど」
そう言ってパンツを脱ぐとスカートに手をかける
「ちょっ!?」
「黒瀬君、見て」
朝倉さんがスカートを捲り上げるとそこには俺が失った物
ちんぽが有った
「驚いた?私ふたなりなの」
「えと、どう反応すればいいのか……」
「そうだよね。でもこれだけは信じて。周りの人と違う事で悩んでいるのは黒瀬君だけじゃないから。近くに同じ境遇の人が居ない心細さは多分誰よりも分かち合えるから」
そう言って優しく抱き寄せてくれた。
その優しさに涙腺が緩む
「泣いてもいいんだよ。辛かったんだよね、本当の意味でわかってくれる人が居なくて」
俺は声を上げて泣いた。今まで耐えてきた感情を吐き出すかの様に
「怖かったよね。変わってしまう事も、それが理由で排除されてしまうかもしれないって事も」
「うん……」
「でももう大丈夫だよ。私がついてる。出来る事は少ないかもしれないけど、黒瀬君が少しでも安心できるように頑張るから」
「ありがとう、朝倉さん」
それからしばらく泣き続けて落ち着く事が出来た。
「もう大丈夫?」
「うん、ごめん」
「良いよ。ところでさ」
そう言って朝倉さんは悪戯っぽく笑った
「黒瀬君……あきらちゃんの女の子の所も見てみたいなぁ」
「女の子の所って……」
「思った以上に柔らかかったよ?」
そう言って見てくる視線を辿ると俺の胸だ
それに気付くと胸を隠す様に腕を組む
「見たいって言われても恥ずかしいって……」
「大丈夫だよ、可愛いから」
「そういう問題じゃなくて」
「私の秘密は見たくせに〜」
「朝倉さんが見せてきたんじゃ無いか……」
「でも見たよね?」
彼女の笑顔には勝てそうにない
「わかったよ……」
俺は制服のボタンを外す。
そして胸を潰しているバストホルダーを外すと ぷるんっと大きな乳房が揺れた。
「おおぉ〜!思った以上に大きいねぇ!サイズは?」
「触るな!揉むな!揺らすな!ったく、80のD」
「すごい!私より大きいじゃん!」
「朝倉さんだって……」
「触ってみる?」
「いや、遠慮シマス」
そうして女の子らしい?やり取りの後真面目な話に戻る
「それで?黒瀬君はこれからどうなるの?」
「生理が始まったからな、医者からは『女だと診断書を出す』って言われてる。そうしたら法的にも女として扱われるんだと思う。学校ともそうなったら女子生徒として扱うって方向で話は進んでる」
「そっか……」
「心配してくれてありがと」
「友達だから当然だよ」
「ありがとう。まぁこれから迷惑かけるかもしれないけどよろしく」
「うん!よろしく」
そんな話をしていると
「そろそろいいかしら?」
と先生の声が聞こえた。どうやら聞かれていた様だ。
「「すみません」」
「いえ、仲が良くて何よりよ。それより黒瀬君、もう大丈夫ね」
「わかりません……でも今までよりやっていけそうな気がします」
「ふぅ……ごめんなさいね朝倉さん。こんな事になってしまって」
「いえ、元はと言えば私が黒瀬君を問い詰めたせいでもありますし」
「そう言ってもらえると助かるわ。さてと、2人とももう帰りなさいいい時間よ」外を見ると日はすっかり傾いていた。
「「はい」」
「それじゃあね」
俺達は保健室を出て帰路につく。
女の子としての生活はこうして始まった
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