初潮

8月上旬 夏休み真っ盛り

だが俺は学校へ行く用意をしていた

TS病の発症と研究で2か月以上休んでいた分の補習の為だ

「晶ちゃん、お弁当持った?」

「ちゃんはやめろって母さん。弁当は入れたよ」

「ハンカチは?」

「持ってるって」

「忘れ物は?無いわよね」

「大丈夫だって」

心配そうな母親に苦笑しながら答える。

「行ってきます」



夏の強い日差しが差し込む廊下を、セミの声を聞きながら歩く。

「あっつ……」

まだ8月になったばかりのはずなのに既に気温は30度を超えていた。

(今日も暑くなりそうだな)

そんなことを考えつつ歩いていたその時

最初の時の痛みほどではないが下腹部に痛みを感じて壁に寄りかかる

「ぐっ……うぅ……」

歯を食いしばり脂汗を流す。

ズキンズキンとした鈍痛は徐々に強まっていきついに我慢できなくなった

「うぁ……ああぁ……」

俺はその場にしゃがみ込み下腹部を抑えた。

「黒瀬君⁉︎大丈夫?」

「あ…さくら……さん?」

「どうしたの?顔色が凄く悪いけど……」

「ちょっと……腹が痛くて」

「お腹?って血が出てる⁉︎どうしたの⁉︎」

「え?あ……」

視線を落とすとズボンに赤い染みが広がっていた。

「保健室に行くよ‼︎」

「わぁっ!」

俺は朝倉さんに肩を借りて保健室に運ばれた。




「失礼します!先生いますか!」

朝倉さんの声で保険医の先生が出てくる

「あら〜どうかしたの?黒瀬君!」

「廊下でうずくまってて……お腹が痛いって言ってて血が……」

「‼︎その椅子に座らせて、そしたら貴女は戻っていいから」

「でも……」

「夏休み真っ盛りの今に学校に来てるんだもの貴女にもやる事があるんでしょ?彼のことは私に任せて」

「わかりました」

朝倉さんは俺を椅子に座らせると渋々では有るが去っていった。

「さてと、黒瀬君楽にしてなさい」

ズボンを脱がされる

「あーこれは経血ね」

「経血って」

「生理の時に排出される血の事。黒瀬君、君生理が始まったのよ」

「そうですか……」

「それと君にはショックだろうけど君のペニス、完全にクリトリスになってるわ」

「そうなんですか?」

「えぇ。ほら見てごらん?」

下半身を見ると開けるとそこには見慣れない俺の下半身があった。

朝にはまだ有ったちんぽが本当に小さな豆のようになっていた

股間の割れ目からはけっこうな量出血していた

「これから毎月この調子だから覚悟しておいてね?」

「はい」

「ズボンの替えとかタオルとかナプキンとか用意するわ、大人しく休んでなさい」

「わかりました」



タオルで秘所を清め生理用品を身につける

そうして落ち着いた所で

「痛みは落ち着いた?」

「あ、少しマシになったと思います」

「そう、ところで生理についてはどれぐらい知ってる?」

「授業で教わった事ぐらいです。近々来るだろうとは言われてたんですが聞こうって気にはなれなくて……」

「仕方ないけど始まっちゃったんだからこれからは覚えて行かないとダメよ」

そう言って詳しく説明してくれる。

「じゃあこれ、鎮痛剤と替えのナプキンね」

「ありがとうございます。あの、このことは……」

「もうお家と病院には連絡してあるわ。今日と明日は休みなさい。明後日病院に来て欲しいって」

「……わかりました。」

「それと、黒瀬君は女の子になるんだから色々と大変だと思うけど頑張りましょう?」

「はい、失礼します」

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