きっかけ

事の起こりは5月の頭、いよいよ大型連休が始まると言う頃だ

その日の朝、俺は猛烈な腹の痛みで目が覚めた。

トイレに行こうとするが腹の痛みのせいで立ち上がる事すら出来なかった。

痛みにのたうつ声に目を覚ました両親が救急車を呼んだ事で俺は近くの総合病院へと搬送された。

様々な検査の末に出た結果が


『後天性性別変化症』

通称TS病だった。


10代半ばから20代の間に1億人に1人以下の確率で発症し徐々に性別が変わっていく病気だそうだ。

原因は不明で治療方法も見つかっていない。

そもそも発症率が低いので研究自体があまり進んでいないらしい。


それから色々あった。

俺は比較的初期の段階で発見されたので研究への協力を求められた。

俺は研究の結果男の身体に戻れる事を期待してしてそれを了承した。

研究と言ってもやる事は簡単だ。

連日にわたる女性化の進行具合の確認と様々な薬の効果、副作用の検査だった

7月の半ばを過ぎた頃には変化も終わりに近づいたのか変化の度合いも小さくなったので週に1度の通院による検査に変わり復学も許された。

家族を除くとTS病の事は校長と担任、あと養護教諭の3人にしか伝えてない

俺が男で居る事を望んだから、男のままでの生活を続けたかったからだ、そして今に至る。

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