第2話 雨宿り
雨は止むどころか、どんどん激しくなってきた。
「雨、スゴいね~~」
神様は、僕の横で優雅にフルーツサンドをモフモフ食べながらボソッと呟いた。
「あ……あのさ、この店って神様一人だけなの?」
「うん。基本はね。髭もじゃマスターは忙しい人だから、たまにしか店に来ないし」
「ふ~ん………」
初めてこの店に来た時、神様の姿を発見し、何故かホッとしたのを覚えている。明るい彼女がいるから普段は気にならないけど、なんだかこの店は、店全体が蝋燭の炎のようにひどく儚くて………。
「ひゃぁ! かみなりぃっ」
慌てて、僕の体に抱きつく。
「ぐる…じ…ぃ……。く、首をしめるなッ!!」
「あっ、ごめん」
首を押さえ、何気なく神様の顔を正面から見据える。相変わらず、すごく可愛かった。
「……そんなにジロジロ見ないでけろ」
一時間後。
会計を済ませ、外に出た。雨も止んでいる。そういえば、神様にはお姉さんがいるらしい。一人っ子の僕は、そんな神様を少し羨ましく思っていた。
「お姉ちゃんはね、すんごい巨乳なんだよ~~。私と違って背も高いし。美人でスタイル抜群。でも人間の男が大嫌いだから………ハクシが妹である私と仲良くしてるの良く思ってないんだよ」
「へ、へぇーー。まぁ、でも……大丈夫だろ。ここは、天国じゃないし。何も出来ないっしょ~」
「あっ、ダメだよ! そこにいちゃ」
突然、神様に思い切り突き飛ばされた。地面に転がり、全身を強打した。
「いきなり何すんだっ!!」
猛抗議。でも神様は、そんな僕を無視し、目の前を指差していた。
ジュウゥゥ………ゥ…。
先ほどまでいた場所。そこには、天から降ってきたと思われる漆黒の槍が地面に深く深く突き刺さっていた。今も槍からは赤い湯気が出ている。持ち主の凶悪な意思をこれでもかと強く感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます