光に消える

 夜中に目覚めるようになって何ヶ月。目を閉じても眠りに沈めなくなって何週間。何も考えていないのに涙が流れるようになって……数えるのはやめよう。

 ベッドから起き上がってため息を吐く。国道を走る車の音はない。スマホの明かりだけが眩しい。午前三時手前らしい。正真正銘全てが眠っている世界でひとりきりにされたような気分。

 スマホに呼ばれて日付が目につく。七月七日。特に意識したことはなかったが、今日は「七夕」というやつか。

 カーテンの隙間をのぞけば、夢が広がっている。夜に生きる星々は自由だ。今夜は会えたのだろうか。と、東側に夜を蝕む光が見えた。弱きを挫く光。年に一度もこんなにすぐだ。

 明けない夜があってもいいのに。


お題:きらきら 300字

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