おばあちゃん
「座りなさいな」おばあちゃんの声は、静かで綺麗で、安心する。「ほら、こっちにおいで」
分厚いレンズの向こう側、小さな瞳が私を見つめる。あたたかくて大きな手のひらが、私の頬を撫でる。ぎゅうと抱きしめられれば、どれだけ怖くても悲しくても、すぐに涙は止まった。
これはいつの記憶だろうか。ふわりと香った花が連れてきた、いつかの思い出。茶色の柴犬ハナが死んでしまったときも、先生にこっぴどく叱られたときも、受験に失敗したときも、おばあちゃんがいたから乗り越えられた。おばあちゃんがいたからこそ、今こうして笑っていられるのだ。
「大丈夫だよ、おばあちゃんがいるからね」
今度は私がその番だ。上手く、できているだろうか。
お題:椅子 300字
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