リースバックをご存知ですか

ホントにもう何回も言わせないでくれ。

鍋に火をかけたままコタツでテレビ見てんじゃないよ。

「火には、き・を・つ・け・て・ね・っ!」

いつもそう言ってるよね?あっ…ダメだ…確か年寄りに高い声でガーガー言っても逆効果なのだと聞いたことがある。都合の悪いことは聞こえなくなるくせにヒソヒソ声はよく聞こえてるっていうけど、実母を見てるとヘドバンしたくなるほど納得できる。

ソレ!菜箸を舐めて味見するのやめてくれる?

手!漬け物をつまみ食いした指で冷蔵庫を開けないで欲しいんだけど。

トイレに入ったらちゃんと手を洗いませう…等々。言い出したらキリがないが何故こんなに目につくのか?それはもぉわかりきっている。ただただ実母が嫌いだから…それに尽きるのである。_坊主憎けりゃ何とやらですよ。

冬の時期、石油ストーブの取り扱いも心配でしょうがない。エアコンで暖をとってもらいたいところなのに、点火ボタンを押さずにわざわざマッチを擦って石油ストーブに火をつける実母。昔からそう、自分の考えややり方を決して曲げない人なのだ。

そんな実母と築60年近い木造平屋建てのこの家に、理由あってふたり暮らし。しつこく言おう…老老2世帯ふたり暮らし。火事で火だるまになるのは勝手だけれど、近隣に飛び火でもしたらどうするんだという心配しかない。こんな薄情娘で大変申し訳ない…ん?違うな、こんな娘に誰がしたである。

母娘らしい会話を全くしないどころか、日に一度も話をしないことも珍しくない。都会のマンション住人じゃあるまいし、隣の部屋に居ながらわれ関せず状態で過ごす日々は、私にとってもとても辛いものだ。

「生きざまが死にざま」というけれど、とうの昔に息子から見放され、出戻りころくでなしの娘が仕方なく同居。そんな中で実母は何を思って毎日を送っているのだろう。

食欲旺盛。快眠快便。

金もないのにこっそりお取り寄せ三昧。

わが道をゆく。シルバーカーでどこまでも。

【エピソードタイトル解説】

最近この手のCMをよく目にする。

いったいどんなもの?

面倒なだけだどうでもいい。

しかし、現実から目を背けてばかりもいられない現実。




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