溶き油

囁き

声にならない聲

喉の奥で生まれる甘い呻き


君の汗ばんだ曲線を

ぼくの指が辿っていく


少し目を細めてみる


上弦の仄かな灯りが

ぼくを窓辺へといざな



洋上のグランドピアノ


君が奏でる小夜曲ナハトムジーク



波打つ欲情よくが音となり

互いの身体に流れ込む


そうして


いつの間にか言葉は姿を消し

溜息となった呼吸を繰り返す



ぼくは君だろうか……

躰の中にあった感情たちが

次から次と熱を帯び色彩の中に融けていく


君はぼくだろうか……

貌も分からぬ程に

濡れた吐息に耳を澄ませながら瞳を閉じる



そうやってぼくたちはゆっくりと


互いの温もりの中に堕ちていった




・・・


参考音源

イングヴェイ・マルムスティーン

「miracle of life」

https://youtu.be/9qOFcvFugtE



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